◆ 包接化合物/シクロデキストリン ◆
Jmol版

 市販のチューブ入り練りワサビなどに,酸化防止や香りの保持などを目的としてシクロデキストリンという化合物が含まれている場合があります。シクロデキストリンは環状オリゴ糖とも呼ばれ,α-グルコピラノース基がα-1,4-グリコシド結合によって環状につながったもので,そのピラノース基の個数により,α(6個,シクロヘキサアミロース,空孔径=0.45nm),β(7個,シクロヘプタアミロース,空孔径=0.70nm),γ(8個,シクロオクタアミロース,空孔径=0.85nm),δ(9個,シクロノナアミロース)を付けて呼ばれています。
 その王冠のような構造の内側は疎水性で,外側が親水性という性質を持つことから,内部に疎水性の分子(あるいは環に取り込まれる大きさの疎水基を持つ分子)を取り込んで,包接化合物をつくることが知られています。一般に包接化合物本体をホスト,そこに入り込んだ分子をゲストと呼びます。
 この性質を利用して,シクロデキストリンは不安定物質,香料,農薬の安定化剤などに広く用いられています。


●α-シクロデキストリン → ChemFinder WebServerの化合物情報


空間充填  球棒モデル
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential  OFF

α-シクロデキストリン(α-cyclodextrin)
※MM2計算のみ


空間充填  球棒モデル
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential  OFF

包接化合物の例;α-シクロデキストリン+フェノール
※フェノールが完全に環に入りきっていない状態(位置は適当)で,MM2計算実行


空間充填  球棒モデル
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential  OFF

包接化合物の例;α-シクロデキストリン+安息香酸 [1]
※安息香酸が環に入り込んだ状態(位置は適当)で,MM2計算実行


空間充填  球棒モデル
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential  OFF

包接化合物の例;α-シクロデキストリン+安息香酸 [2]
※安息香酸が環に入り込んだ状態(カルボキシ基が[1]と逆)で,MM2計算実行


◎任意の原子間の距離の求め方は,Chimeマニュアルの(5)図6参照


●β-シクロデキストリン(以下は図のみ) → ChemFinder WebServerの化合物情報


空間充填  球棒モデル
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential  OFF

β-シクロデキストリン(β-cyclodextrin)


●参考:シクロアミロース


空間充填  球棒モデル  スティック

シクロアミロース(cycloamylose)の例
PDBデータ1c58(Crystal Structure Of Cycloamylose 26)のChain A


《 その他新規情報はJmol版に記載します 》


「生活環境化学の部屋」ホームページ | 「分子の形と性質」学習帳