(県立新潟女子短大)本間善夫
《 日本化学会第79春季年会(神戸市・甲南大学岡本キャンパス)/講演番号2PB006,2001/03/29/15:30〜 》
1. 場所を問わずにインターネットを利用できる携帯電話の普及が進み,中でも1999年2月にサービスを開始したiモード(NTTドコモ社)は,2000年12月現在で契約者数は1,716万人,iモードメニューサイト数が1,340,一般サイト数は33,100に達している。CGIやアニメーション画像を扱える利点があり,インターネットの活用促進が求められている教育現場でもその活用の可能性は大きく開かれている。その試みの一例としてアニメによる分子モデル集や化学基礎データ集などのコンテンツを収録した「iモード化学」1)を開設し,講義での活用を実践した。
2. Webブラウザ上で分子モデルを動かしたり様々な分子情報を表示したりできるプラグインを用いた教材集「分子の学習帳」2) をすでに公開している。分子を学ぶ上で立体的な構造の把握は重要であることから,同プラグインの回転機能を利用して動画キャプチャでアニメーションgif画像を作成し,iモード上で3次元構造を認識できるようにした。静電ポテンシャルや疎水ポテンシャル表示も可能なことから,分子の見方の習得に有用と考える。サンプルとしてアミノ酸,ビタミン,界面活性剤などを作成し,特に分子の親水性・疎水性が構造から類推できるかなどについて,講義で閲覧してもらった上で意見などを募っている。また,基本的な分子データ集やアニメ画像作成用のフリーウェア紹介と分子アニメの作成方法,iモード用ページ作成時の注意点なども公開して,誰でも教材を作れるように便宜を図った。
他のコンテンツとして化学計算に必要な原子量表なども掲載し,データ記載の書籍代わりに使えるような用途も模索している。
なお,2001年1月現在の「iモード化学」の総データ量は約400キロバイト,総パケット課金は約950円となっており,教育の場で活用するには生徒・学生の経済的負担が問題となり,教室のパソコンとの併用等の工夫が必要である。
図1(略) 「iモード化学」のメニューと分子モデル表示例.
《iモード携帯で見たトップページとビタミンB1データの画像》