『せたがやスタ研ニュース』18号【経理】

 スタンプ経理研究1

  烏山駅前通り振組理事長・桑島俊彦氏

 今年度のテーマの1つであるスタンプ経理について、5月の全体会で参加者から問題を提起していただいた。
 特殊な分野の経理なので、税務署のベテラン職員や税理士でも精通している人は少ない。商店会スタンプの経理
担当者が頭を悩ますのは当然である。
 スタンプ経理で最大の問題は、未回収分のスタンプの扱いと言える。
 スタンプの有効期限を1年に区切っている場合の未回収分は全て収益計上すればいい。しかし、一般的には消費
者の利便等を考慮して無期限にしている。この場合、税務署が未回収分を永遠に引当金として認めてくれれば話は
簡単だが、発行後4年間分しか認めない(1980年=昭和55年の国税庁通達で発行から5年度目の未回収分は収
益計上しなくてはならないことになっている。それも、所轄税務署にその旨を記した文書を提出した上で)。
 仮に、95年度に1000万円のスタンプを発行し、98年度末までの4年間で600万円を回収した場合、99年度になると未回収分100万円が収益になる(下表参照)。
 差額の300万円は、加盟店の購入額と消費者が利用できる額の差で、会の収入となる。

bR月末決算、スタンプ有効期限無期限、350枚 満貼り500 円の場合
 スタンプの未回収分が収益になる年度
  

 1年度

 2年度

 3年度

 4年度

 5年度=収益
発行額

1000万円

 

 

 

 

*差額

1000万円

 

 

 

 

回収額

1000万円

150万円

100万円

50万円

 

累計回収額

1000万円

450万円

550万円

600万円

 

1年度発行分
未回収額

1000万円

250万円

150万円

100万円

100万円


*加盟店はスタンプ1枚を2円(350 枚700 円)で購入するが、消費者は1枚1.4円(350 枚500 円なので)で使えるので、1000万円を発行した場合、300 万円は最初から会の収入となり、消費者が使えるのは700 万円分

■収支は単年度ではなく、4年以上の累計で判断すべき
 預かり金(引当金)は、発行5年度目からは収益とみなされ課税対象となる。しかも、現実問題としては、発行
から5年目以降も回収されるスタンプが意外に多い(この場合は、欠損で落とす)。
 だから、未回収分の現金が手元にあるからといって、野放図に使うと大問題が生じる危険もあるということを考慮しておくべきだ。
 といって、預かり金は5年目には収益となり、収支が黒字の場合は、所得税を払うことになる。4年間程度のスパーンで柔軟な収支計画を立てておく必要があるだろう。

■経理から様々な問題が
 このほか、経理については消費税(スタンプについては発行時課税)、健全財政にするためのポイント、倍セールなどで補填した分のスタンプの扱いなど様々な問題がある。
 単に経理上の問題にとどまらず、消費者サービスの問題(どの程度、イベントなどに補填するか)、加盟店回収、イベント回収、預金回収いずれに力を入れるかといった問題も関係してくる。

*スタ研では、今後、毎回、経理について情報交換する時間を設けることにしており、本紙でもその結果を報告していきます。ご意見、ご質問等ありましたら、事務局までご連絡ください。

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