1月19日の全体会では「個店のスタンプ徹底活用」の2弾目として、烏山駅前通り振組・新生堂専務の桑島隆子さんから、DMのアイデアの数々を披露していただいた。話題性のあるものをいち早く取り入れ、前年をクリアし続けている秘訣とは……。
アイデア満載のDMを手に数々
の工夫を披露する桑島隆子さん
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店頭で販売している人、買い物をする人の8割が女性だと主人(桑島俊彦氏)から聞いているので、本当は女性の方に聞いていただきたかったのですが、今日は淋しいことに女性は2人だけ。参考になることがあったら、必ず奥様に今日の話を伝えてください。
新生堂は、商店街の中に本店と支店の2店ありますが、本店は雑貨、薬、化粧品で客層は30〜60代、駅前のジョイという店は20〜40代というように商品構成を分けています。
主人からは、激しい価格競争の中で値引きをしないで前年比を上げるようにと言われていますが、これは大変難しい。化粧品等はどこでも20%引きなどと大々的にチラシなどで宣伝していますが、うちの店ではほとんど値引きはしていません。だから厳しいのですが、頑張っています。
DMをはじめて10年くらいになり、そのファイルも8冊になりました。私はDMなどの担当で、どうやったらお客様に新生堂に足を運んでいただけるかを、いつも考えて作っています。
DMを考える際に3つのキーワードがあります。1つはお客様が参加できるもの(スクラッチとかあぶり出しなど)、2つ目は食卓の話題になるもの(クイズの内容を、今一番流行っているものにし、お年寄でも若い方でもわかるものにする)、3つ目は思わず吹き出してしまうようなユーモアのあるもの。この3つを基本にして、3カ月サイクルで考えて作っています。
手をかけて皆で考えて作った時にはいいものができる。今度はどんなDMなのかと楽しみにしている方が多く、DMの反響も2割くらいあります。
商店街のチラシはプロの方が作っているので素敵な出来ですが、この中にお客様が参加できるスタイルをとり入れたら、もっと回収率がいいんじゃないかと思います。多少経費がかかっても参加型のDMを出すと、お客様はワァーっと来てくれます。ただスタンプ2倍というのでは、「あ、2倍ね」というだけですが、参加するというだけで効果が高い。
■クイズ形式のDM 今話題のものをテーマに
視聴率の高いNHKの大河ドラマを題材に使うことが多い。登場人物をどのようにDMに生かしてスタンプにつなげるか。テレビを見たり雑誌を見たりして考えます。スクラッチ形式にすることが多いですが、スクラッチシールは1枚1円20銭程度で100枚綴りで市販されています。
以前、竹中直人が秀吉をやった時には、インターネットが出てきた時でもあったので、秀吉が大坂城でインターネットをやっている絵をつけ、削って大阪城と出たら100枚、名古屋城と出たら80枚、宍戸錠と出たら50枚。これは全部大阪城と出るようになっています。
2年前の15将軍の徳川慶喜の時は、慶喜と出たら100枚、志村けんと出たら80枚というように。この時は、「店頭で初代から15代までの将軍を言えた方には更にスタンプ100枚」とやったら、言えた方が8人いらした。ある奥様は、14代目がどうしてもわからず、夫婦喧嘩中のご主人に教えてもらって、これがきっかけで仲直りできたといって、後日お礼のお菓子を持って見えた。DMは夫婦の仲も取り持つんだと思いました。
昨年の「徳川葵三代」では、主役の西田敏行が携帯電話のCMにも登場していたので、これを結び付けた。吉宗が将軍になった年号が出るとダイヤスタンプ150枚進呈、携帯電話会社の番号が出ると100枚。これも全部が一番になるようにしています。「この年に吉宗が将軍になったのね」とお茶の間での話題のきっかけにもなります。
■店の創業祭には、店主・スタッフが登場するDM
毎年、店の創業祭の時にも必ずスタンプをDMに出します。たまに主人が店にいると問屋の人と間違えられたりするので、お客様にもわかっていただこうと考え、テレビ番組の料理の鉄人を使って、スタンプの鉄人・桑島俊彦、料理の鉄人・周富徳の対決ということで、桑島俊彦が出ると150枚、周さんだと80枚。このDMで、この店の主人がわかったという方もおられました。
次の創業祭では、私も出たいと思って、3人の隆子ということで店頭でのアミダくじにしました。常磐貴子さんなどと一緒に私も入れて、私が出れば120枚。
去年は店のスタッフ全員が登場。ハガキの下半分にスタッフの似顔絵を描き、上半分にはお客様にご自分の宛て名を書いていただく。スタッフを選んで投票箱に入れていただき、2カ月間ためたあとルーレット式の抽選をしました。ルーレットを回して、止まったスタッフの顔を選んでいたお客様には120枚。ルーレットをやった時には店頭が大変にぎわいました。これは経費はかからず、スタッフの名前も覚えていただけるので大変良かった。自分で何か書いたものが届くというのは印象的だったらしく、回収率が大変良かったです。
■押し花・折り鶴入りDM 手間ひまかけてアピール
化粧品は春と秋には新製品が出るので、この時に合わせて年2回、折り鶴とか押し花入りのDMにしています。
高尾山にもみじを取りに行ったり、那須までクローバーを取りに行って、半年間かけて押し花にしておく。4500人分もの押し花を作らなければならないので、4〜5人でわざわざ現地まで出かけ、摘んでいる様子も写真に撮ってチラシに載せています。
この間は鶴の恩返しということで、何カ月もかけて鶴を4500羽折って、DMに入れました。手間をかけたものは成績がいい。汗をかくとことにお客様が反応してくれるんだと思っています。
今まで何も入れずにDMを出したということはなく、いつも何か入れるように考えて、スタンプでお返しするという形にしています。
■暇になる年末に客を呼ぶには
12月には毎年ボーナスセールをやっていますが、ただの倍セールではなく、シールを作ってはがしてもらうというやり方にしています。マラソンの小出監督や腹話術のいっこく堂、天童よしみさんなど話題の人をシールにする(そっくりなものでは肖像権の問題があるので、少し変えて作る)。シールは1枚2円弱で作ることができます。
12月30・31日は、昔と違ってガタッと売り上げが落ちるので、25日以降に見えた方には、30・31日は倍セールということで、スクラッチとかシールを使ったものをお渡ししています。何倍になるかということで、時の人を使い(佐々木選手、タイガーウッズ、去年は涙の金メダルということで柔ちゃんと高橋選手)、全部が10倍出るようになっています(ただし化粧品と薬だけで、3000円以上お買い上げの方が対象)。これをはじめて6年目になりますが、30・31日は前年をクリアできています。
■2倍券や7つの特典
3枚綴りの2倍券(12・1・2月など連続3カ月間使える)を店頭で進呈していますが、これは経費も安くてとてもいい。私が講演でこのことをお話しすると、どなたもすぐに実行される。
新生堂7つの特典というのを店頭に掲げています。(1)日曜日はスタンプ2倍(2)祭日はスタンプ2倍(3)第1月曜日は台紙1冊で600円のお買い物(1人3冊まで)(4)クレジットカードで1万円以上のお買い物にスタンプ2倍(5)スタンプ50冊でお買い上げの方はスタンプ10倍(6)えるも〜るカード利用で誕生日の方はスタンプ5倍(7)雨の日のお客様には笑顔を添えてスタンプ1枚。
■料金別納印の下半分も宣伝に活用
また、料金別納のハンコの部分の下半分が広告に使えるようになったので、ここに、アイドルのイラスト(しんちゃんという男の子とジョイ子ちゃんという女の子)と「ご持参の方にダイヤスタンプ2枚」と入れています。
このハンコを押すと回収がすごくいい。ダイヤスタンプ2枚進呈だけで、経費は4円しかかかりません。
*烏山駅前通り振組の田中さんからひと言
私の娘のところにも新生堂さんからのDMが来ているが、娘は「これ全部10倍じゃないの」とか言いながらスクラッチを削っている。クローバーやもみじの押し花がセロテープでキチッと貼って入っていると感動するらしい、「本物だ」と。普通DMはあまり読まないが、こういうものがついていると隅から隅まできちんと読んで、お店に足が向かうようだ。娘は見事にはまっている。
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写真左上・本物のもみじを貼ったDMチラシ、右上に摘んでいる時の写真を添えて
写真左下・クイズ形式の参加型DMはがき。スマップのヒット曲と映画「ライオンキング」を取り入れて
写真右上・クイズ形式の参加型DMはがき。昨年の流行語大賞を受賞した香取慎吾の「おっはー」や新大河ドラマ「北条時宗」を取り入れて
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