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 エコ、スタンプをからめた、お客が商店街を回る仕掛けたっぷりの
 
わらしべ長者的イベント

  東京都立川市・羽衣商店街

 東京都立川市・羽衣商店街の、わらしべ長者ともいうべきスタンプをからめたユニークなイベントをご紹介しましょう。(取材は2007年6月29日、「エコポスターラリー」と「グリコンラリー」の最終1日前)

■STEP1■
 はじまりは「エコポスターラリー」

 
商店街の中にある小学校の生徒が描いた環境をテーマにしたポスターを、商店街の各店に6月4日(月)〜6月30日(土)までの4週間掲示、このポスターを見て歩きながら、掲示している店で、「エコポスターラリー台紙」にハンコを押してもらう(第3回目)。商店街35店、西友、多摩信用金庫が掲示。
 10店以上捺印が条件で、この満点ラリー台紙が、7月1日開催の「エコフェスタ」での抽選券になる。

【エコポスターラリー台紙】店のポスターを見たら店名の横にハンコを押してもらう。取材者も13店、見て回りました。 【エコポスターラリーマップ】台紙の裏はマップ(面的な広範囲な商店街だ)

【赤松タバコ店】この店では毎月第4土曜日に実施するスタンプ倍セールに参加。「この時にまとめ買いするお客が多く大忙し」だという。 坊っちゃん(お好み焼き店)昨年店を出したばかりだが、スタンプを積極的に活用、「1店ではできない集客・宣伝効果を実感している」。

【プリムベール(額縁店)】エコポスターラリー1回目は25枚だったが、今回は55枚。すべてのポスターをきちんと木の額に入れ参加店に飾るまでを引き受けている。「小学校で描いた絵はたいてい丸めてどこかにしまって忘れたままになっているが、子供が描いたものを大事に額に入れて飾るということで愛情が伝わるし、コミュニケーションのツールとなる。参加店に飾りに行くと、僕自身が知らない店があったり、店のいいところもいろいろ見えてきたりして、この商店街は面白いことがいっぱいあるんだと気づいたりする」と経営者の梶原さん。

西友】今回初参加。エコポスター7点がレジ横に飾られた。


【テーラー安武】事業部長の店では、店頭に気合いの入った手作り看板を設置(後ろにはエコポスター)
【多摩信用金庫】ここも初参加。多摩信金では、年金受け取り日にスタンプ50枚進呈で顧客数を伸ばしている。

【パリー舎(クリーニング)】エコポスターは店内に掲示。
 06年度スタンプ買い上げは128%で、加盟店中一番の伸び。
 売り上げアップのツールの1つが上のカード。持参1回につきハンコを1回押す(金額に関係なく)。8回になると50枚、16回目に100枚、24回目では200枚進呈と、1枚のカードで3回、合計350枚のスタンプを進呈。お客にとってはかなりのメリット感。
 もう1つは、左の20%OFFクーポン券。毎月第4土曜日の商店街サービスデーの日に洗濯物を1点でも持ってくるとこのクーポン券を進呈。翌月の1〜20日までの間に使用すると、合計金額の20%引きプラススタンプ2倍進呈。8の日は4倍になるので、お客はサービスデーの時に1点出してクーポン券をもらい、次の8の日にまとめて出すと20%引きの上、4倍になる。
 「このカードで、客数も増えたし顧客の固定化にもなる。広告宣伝費だと考えれば高くはない。今までは外交して洗濯物を受け取ってというスタイルが多かったが、これをやることでお客が来てくれるので仕事に専念できるし、その分の経費(人件費、ガソリン代、駐車場代など)も節約になる。店としてもかなりのメリットがある」という。

■STEP1■その2
 一緒に「グリコンラリー」(って何だ)も

 グリコンとはグリーン・コンシューマー(緑の消費者=環境に良いことをする人)の略。
 羽衣商店街では日頃から、自店の環境への取組内容を店内に掲示する「グリコン宣言」活動を推進しており、「グリコンラリー」はこの運動とからめたイベント(6月15日(金)〜6月30日(土)、第3回目)。
 「エコポスターラリー」と同じく「グリコンラリー台紙」を作成。参加店で環境に優しい買い物行動をしたお客様にハンコを押し、5店以上のハンコ捺印で、7月1日開催の「エコフェスタ」での抽選券になる。
 参加店の「グリコン宣言」は、惣菜や味噌、精肉などは容器持参、米屋では米袋、茶舗では茶筒、飲食店ではマイ箸を持参など等(下の一覧表参照)。参加31店すべてに共通なのが、マイバック持参でレジ袋を断ること。西友ではちょうどマイバック5円分の捺印を止めて2円キャシュバック方式に変更したばかりだったこともあり、グリコンラリー初参加。
【グリコンラリー台紙】右の内容の買い物行動をするとハンコを押してもらえる 【グリコン参加店一覧&グリコン宣言】ラリー台紙の裏面に参加店と各店の環境へ配慮した買い物行動内容を掲載

■STEP2■
 そして「エコフェスタ」

 7月1日(日)開催。半月から1カ月かけてお店を回り、ハンコを押してもらった貴重なラリー台紙を握りしめた子供から大人までが続々会場に集まり、熱い期待の中で抽選会(先着300名)。
 賞品は、1万円のお買い物券3本、5000円のお買い物券7本、3000円のお買い物券15本、1000円のお買い物券30本、500円のお買い物券245本(ハズレなし)。2つのラリーどちらか全店制覇した人にはパーフェクト賞として全員に環境関連商品を進呈。さらにパーフェクトの中から抽選で任天堂Will(1名)、DSソフト(5名)が当たる(子供達の目当てはコレ)。
 ラリー台紙抽選会のほかにレジ袋抽選会も。使用済みレジ袋10枚で抽選1回。ふとん打ち直し券、リサイクルトイレットぺーパ−1年分、天然素材シャンプー、味噌量り売り券、お好み焼きテイクアウト(容器持参)券、古布利用の買い物bag、宅配便牛乳1年分など等、これまた環境関連のユニークな賞品がラインナップ。

■STEP3■
 「エコフェスタ」で終わりじゃない。今度は「3店ラリー」

 期間は6月30日(土)〜7月10日(火)。期間中に「3店ラリー台紙」に3店のハンコを押してもらうと3店目でスタンプ30枚進呈(この満点ラリー台紙は「たなた抽選会」の時の抽選券になる)。
 この時多くの参加店がスタンプ2倍から5倍の倍セールを実施する。ここでスタンプをためてもらって、次の「たなた抽選会」へ。

【3店ラリー台紙】右の参加店で500円以上の買い物をするとハンコ捺印。     ラリー台紙の裏面は参加店のセール内容。

■STEP4■
 そして最後が「たなばた抽選会」、おっと間違えた「たなぼた抽選会」

 一連のイベントの最終ゴールともいうべき「たなた抽選会」は7月7日、夜7時から始まる。スタンプ台紙(200枚貼り台紙は2冊、340枚貼り台紙は1冊)で1回抽選(1人2回まで)、夜7時までに会場で並んだ方全員が抽選に参加できる。
 賞品は、1万円のお買い物券5本、5000円のお買い物券10本、2000円のお買い物券30本、1000円のお買い物券100本、700円のお買い物券その他全員。
 さらに各店に集まった「3店ラリー台紙」の中から抽選。賞品は、1万円のお買い物券10本、5000円のお買い物券20本、3000円のお買い物券35本、スタンプ1000枚50本。

■STEP5■
 「エコフェスタ」「たなぼた抽選会」でGETしたお買い物券のゆくえは

 2回の抽選会で発行したお買い物券の総額は約100万円。抽選会直後から当った買い物券での買い物が始まる。有効期限は、「たなた抽選会」の台紙抽選で当たったお買い物券は7月14日。「エコラリー・グリコンラリー」台紙と「3店ラリー」台紙の抽選会のお買い物券が7月31日。
 このお買い物券をいかに自店に取り込むかが各店の工夫の見せどころ。
 本&文具店では文具に5倍、本に3倍、タバコに2倍進呈。
 寝具店ではおみくじ抽選で5倍〜2倍進呈。など等。
 3店ラリーは10日まで実施しており、これに合わせた倍セールなどが、今回の集客にも効果を発揮する。

 茶舗・狭山園では、7月7日の抽選会の夜に限りスタンプ5倍。営業時間はいつもより1時間延ばして9時までに。すると、お店は夜の7時ちょっと過ぎから大忙し。店内は待つ人で混雑状態になってしまうが、待っているお客さん同士で、何時に行っていくら当ったとか、1万円が2本当たった人がいたなど、話に花が咲く。
【狭山園・池谷健治さん・和子さんご夫婦】
商店街や個店のエコやスタンプをからめたイベントのほとんどが池谷夫妻のアイデア。
ご夫婦とも商店街・スタンプ会・環境問題など等、八面六臂の活動ぶり。骨身惜しまず、常に明るい対応のお二人だ。

商店街の広報紙『Wa!Ha!Ha!』も健治さんが記事からレイアウトまで一切を担当。
後ろの絵入り大ポスターも健治さん作。
【狭山園入口】
店の入口には隙間なくポスターや看板が。一人でも多くのお客様に知って欲しいという強い思いが感じられる。

■わらしべ長者さながらのイベントを楽しむには
 ひとつのイベントがその時だけで完結せずに興味をかき立てながら次へ次へとつながっていく。拾った1本のワラがきっかけで大金持ちになった「わらしべ長者」さながら。
 またお客は、何店も実際に回ったり、買い物したりしないと抽選に参加できない仕組みになっているのも特徴。(イベントを)1回だけ、(買い物を)1店だけでは終わらせないという、仕掛け人のアイデアの勝利とも言えるイベントだ。
 この一連のイベントを成功させるには、とにかくお客にも加盟店にも面白がって参加してもらうことがポイント。
 ただ難点は、流れが複雑で、面白がる前に「わからない」と参加しないお客がいること。加盟店からさえ「わかりにくい」という声があるほど。
 それぞれのイベントを単発で説明するだけでなく、「わらしべ長者」になるまでの一連の流れをイラストなどを使って分かりやすく訴えていく必要も感じた。

【羽衣商店街 概要】
 立川市の南東部、国立市と隣接する羽衣町にある。JR南武線立川駅から1駅目の西国立駅前から広がる面的商店街。西国立駅は駅前広場もなく、にぎやかな駅ではない。1965年に隣接する2つの商店会が一本化して商店街振興組合にしている。 振組加盟店は約90店だが、どちらかというと点在型で、商店街の人通りも多いとは言えない。買い回り品などは高島屋、伊勢丹など大型店が集中している立川駅前地区への流出が多い。最寄り品なども、何もしなければ立川駅前やロードサイドのチェーン店などにどんどん流出していくような状況で、実際近年は廃業する店も増えている。
 事業は、38店が参加するスタンプ、毎月第4土曜日に西友西国立店と共催する共同の折り込みチラシ、中元と歳末の共同売り出し、年2回の合同慰労会、タウン紙
『Wa!Ha!Ha!』(わはっは)発行(年4回程度)、など。

【スタンプ(ハローチップ)概要】
・開始   1994年10月
・進呈単位 100円
・台紙満貼 200枚(消費者は通常250円で加盟店、金融機関での預金、イベントなどに利用できる)
・有効期間 無期限
・発行額  06年度は約1200万円
・加盟店  38店(加盟店は5000枚1万円単位でスタンプを購入)

【狭山園 概要】
・1952年(昭和27年)創業。現経営者の池谷健治氏は2代目。店は健治さんのほか妻の和子さん、そして従業員の西山さんの3人で切り盛り。
・場所 東京都立川市羽衣町。立川駅からJR南武線で1駅目、西国立駅から100メートルほど。
・売り場は8坪弱。
・来店者には必ずお茶を振る舞う。入りやすいせいか、毎日のように訪れて長時間おしゃべりをする常連が10人ほどいる。
・環境にも配慮。店内に茶殻乾燥機を設置、自店及びお客さんの茶殻を乾燥、希望者に進呈。堆肥の素材となるほか、人形やまくらの中身に利用できる。マイバッグ持参者にはスタンプを進呈。
・毎日更新のHP
 
http://www.annex-tachikawa.com/cgi/units/index.cgi?siteid=tachikawa&areaid=36241&unitid=sayamaen

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