今月12日(日)午後1時から、横浜市中区の野毛商店街内にある野毛地区センターホールで「横浜・商店街イベントプランコンテスト2004」の発表会が開かれた。
発表したのは、横浜在住の学生を中心とした12のグループと個人。
優勝プランに選ばれたのは横浜国大の3人が提案した「Challenoge」。賞金20万円と来年(2005年)3月の野毛商店街イベントに採用されるという「特別賞」をゲットした。
優勝プランに選ばれた「Challenoge」を発表する横浜国立大学の大場潤一君(右)と島村賢太君
このプランをはじめ、多くのプランが「学生たちがこれほど真剣に取り組み、しかもおもしろいアイデアを出してくれるとは思わなかった」(野毛商店街協同組合・宮川廣事務長)という評価を受けた。主催した野毛サプライズ実行委員会の櫻庭岳宗委員長(横浜商科大学4年生)は、「商店街の方に、『学生との交流ができてよかった』と喜んでいただいたのがうれしかった」と言う。
提案者の半数近くは女性だった
■コンテストの経緯
ゼミ学生の提案が発端に
主催は、野毛サプライズ実行委員会(野毛商店街協同組合、野毛飲食業協同組合、横浜商科大学の学生で構成)。横浜商科大学と横浜商科大学地域産業研究所が協賛、横浜市と横浜商工会議所が後援。
この企画の発案から運営まで中心になったのは、横浜商科大学・佐々(さっさ)徹ゼミの学生たち。実行委員8人のうち6人を占めた(ほかの委員は野毛商店街協組と野毛飲食業協組の役員各1人)。
昨秋(03年)、ゼミ授業の中で当時3年だった櫻庭岳宗君が「学校の外、商店街などでまちの人と一緒にやるイベントを企画・運営して、横浜の商店街を元気にできないか」と提案したことが今回のコンテストの発端となった。
教授の人脈・奔走で形に
この提案を聞いたゼミ学生、そして佐々教授も「おもしろい。何とか実現させよう」と盛り上がった。
佐々教授は横浜市内各地の商業調査を実施したり、横浜TMOなどまちづくりや商業関係の各種審議会などで委員を務め、幅広い人脈を持つ。その人脈を生かし、横浜市経済局や横浜商工会議所、横浜TMOなどで、「学生たちに自由な発想と行動力で商店街イベントを企画してもらい、それをたたき台にしたイベントを実施してみては」と呼びかけた。この呼びかけに商店街活性化策の1つとして「商学連携支援事業」を04年度から新たに始めることにしていた横浜市経済局などが賛同した。
実施対象商店街としては、横浜TMOなどの会合で知り合った宮川廣氏が事務局長を勤める野毛商店街協組が野毛飲食業協組と共に名乗りをあげ、横浜市も同商店街を04年度商学連携支援事業の対象商店街の1つに指定した。
横浜市も支援
その後、横浜商大だけでなく、「横浜市内の大学生らに広く呼びかけ、商店街イベントプランコンテストをしては」、ということになり、今年(04年)9月に櫻庭君を委員長に、野毛サプライズ実行委員会を立ち上げた。佐々教授と横浜市経済局商業・サービス業課の宮崎孝雄課長がアドバイザーを引き受けてくれた。
このコンテストについては、横浜商科大学地域産業研究所が担当することになり、経費も同研究所が負担した。
市内及び周辺の大学などに案内
10月にイベントプランの案内を横浜市内を中心に経営や商学関係の大学、短大、専門学校の事務局に資料と掲示用のポスター一式を揃えて送付した。事務局だけでなく、商店街や地域振興に関係すると思われる教員名簿を調べ、約1000人に案内した。
案内の概要
<目的>
1.新しい発想によるイベントを通じて横浜市内商店街の魅力を高める
2.若い世代(学生)を自分たちが生活するまちの魅力づくりに巻き込み、まちへの愛着やまちづくり活動への参加意識を高める
3.横浜市内の大学、短大、専門学校との相互交流を進めるっかけをつくる
<応募資格>
・横浜市及び周辺の大学、短大、専門学校に通う学生
<イベントプランの条件>
・イベント実施期間 05年3月中の1週間〜10日間
・会場 野毛地区
・予算 総額100万円以内
・物販店にも飲食店にもメリットがある
・野毛の歴史や地域特性、観光資源と、なるべく関連性がある
<プラン提出締切>
2004年11月30日
<プラン発表会及び審査、表彰、交流会>
2004年12月12日
<審査員>(敬称略)
片岡 由美 審査委員長(商業プランナー、中小企業診断士)
宮川 廣 (野毛商店街協組事務長)
景山 和夫(野毛飲食業協組理事)
木下 克己(財団法人横浜市産業振興公社経営支援担当部長)
宮崎 孝雄(横浜市経済局商業・サービス業課長)
<賞>
優 勝 1プラン 賞金(まちづくり研究奨励金) 20万円
準優勝 1プラン 賞金(まちづくり研究奨励金) 5万円
特別賞 05年3月に野毛地区で実行するイベントに採用、当該プランを企画した学生、及び学生実行委員がスタッフとして参加・協力する。
原則として優勝プランと同一。該当なしの場合も
<コンテスト申込書の主な記入項目>
1.イベント名称
2.プランの概要
3.ターゲットとする来街者層
4.プランの新規性、独自性、その他のアピールポイント
5.野毛の歴史や地域特性、観光資源との関連性(絶対条件ではない)
6.支出額と内訳
イベントプラン募集のチラシ
10グループ2個人が発表
締切日の11月末までに15プランの応募があったが、発表までに企画の詰めが間に合わず途中辞退が3プランあり、発表されたのは10グループ(2〜6人)、2個人の計12プラン。
発表会での説明時間は、1プランあたり15分以内。5分前と3分前に合図の音を鳴らしたこともあったが、提案者全員が10〜15分で説明を終えた。
また、12プラン中、10プランがパワーポイント(プレゼンテーションソフト)を用い、用意されたスクリーンに大きな画面を投影して説明された。
審査は、「集客力」など4つの評価項目を設定し、採点した。プランの内容だが、「一過性のイベント提案ではなく、提案イベントにチャレンジすることで、商店街の自己変革、継続的な集客を可能にしていくことまで考えていたプランが多かった点は特筆すべきこと。一生懸命の企画が商店街の方々の心を揺り動かせたこと、それが、このコンテストの最大の功績だと思います」(片岡審査委員長)など、審査員全員が高い評価をした。
情報発信や人材結集の重要性などの問題提起も
提案者が、時間のある学生が大半ということ、そして「仕事だから仕方なく」ではなく、時間と手間をかけ楽しみながら企画づくりや実地調査をした様子も伺えた。
「2週間ぐらい野毛のまちを歩いた」、「野毛の人の話を聞くために飲食店やバーに何度も通った」、「平日と休日の通行量調査をした」という提案者もいた。
発表会では、「野毛には多くの人が知らない良さを持つ店が多い。歩いてみるといろいろなおもしろさ、資源があることがわかった。ただ、それらのよさがアピールされていない。もっと、地元のよさを打ち出すべきだ」、「大道芸など話題性、集客力のあるイベントはあるが、一過性に終わっている。日常的に来たくなる仕掛けが必要」、「呼びかければ、アートや建築、イベントなどで様々な人材が集まるだけの魅力があるまち」といった問題提起がなされた。
「野毛ハイキングや立ち飲み通り」など数々のアイデア
「ハイキング感覚での野毛まちあるき」、「ポイントポイントで記念写真をデジカメで撮り、それをその日のうちにアルバムにするスタンプラリー」、「野毛についてのクイズラリー」、「野毛 食のスタンプラリー」、「野毛街頭写真展」、「駅前に野毛の歴史やお勧めスポット、飲食店・物販店情報、各種サービスなどがわかるアンテナショップの特設」、「野毛マップをつくり、来街者に配るほか、各店、周辺の公的施設などにも設置する」、「大型のディスプレイをレンタルし、来街者が携帯メールで情報を流すと表示される仕組みで、参加意識と話題を集める」、「野毛についての川柳を募集し、提灯などに書いて展示する」「まちのなかにカウンターを並べ立ち飲み通りをつくる」、「休んだり、歩いたり、花を活けたり、商品を展示するなど自由な使い道ができるような長さ34メートルのクルーズ船のような縁台をつくり、日替わりで各通りに設置する」などのイベントアイデアが次々に発表された。
<提案プラン名と提案者一覧>
・野毛ヤミ市〜野毛の魅力を感じ共遊しよう〜
天住 仁(早稲田大学)
・Viva 野毛!!
大西加凡里(立教大学)、高原佑季(早稲田大学)
・横浜GEON―MATSURI
北原直敦・佐藤擁・田貝桂・高島康彰・宮川朋久・百瀬瑞生(多摩大学)
・N・O・G・E FESTA!
吉川萬太郎・石本真一・三浦洋一郎・野澤昌勝・菅野能主(横浜市立大学)
・野毛クイズラリー
本田圭・原口あゆみ(慶應義塾大学)
・Challenoge
大場潤一・松本純・島村賢太(横浜国立大学)
・Come on!!フロンティア
神谷一徳(桜美林大学)、神山大祐(国士舘大学)
・野毛街頭写真展「野毛 ノ ハンセイキ」
君和田敬之(慶應義塾大学)
・野毛 食のスタンプラリー
平哲也・長岡雅裕・阿部諒子・久能沙織・斉藤敦子(多摩大学)
・野毛文芸祭
松原隆行・青木博幸・星野まどか・市東洋一・清水健・畑大介(横浜商科大学)
・野毛イベント・コレクション
鴨川美紀・溝口陽介・中嶋哲朗・木谷修平・白井祐介(多摩大学)
・野毛クルーズ
檜垣誠佑・池上知見(関東学院大学)
交流会場で審査会の講評を聞く参加者たち
優勝プランは「Challenoge」
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