・2005年度全体の数字やイベントなどの詳細は、『商店街通信』56号(06年10月発行予定)に掲載
・2005年4月〜9月は55号
・2005年10〜12月&2006年1月〜3月は56号(06年10月発行予定)
1.概況
厳しい状況続き、
加盟店の負担率や消費者への還元率、事業全般の見直しを図る会が相次ぐ
2005年度もスタンプ・ポイントの発行額減少団体が増加団体を大きく上回り、厳しい状況は続いている。郊外型商業集積の増加、商店街内でも地場の独立店舗の廃業やチェーン店の増加などによる加盟店の減少で、運営する人(組織)や財政面などで問題も高まっている。このような状況が何年も続くことで、事業そのものの継続が困難になりつつある団体も出ている。
打開策として、加盟店のスタンプ・ポイントの負担率を下げ、同時に消費者への還元率、販促費その他の経費を下げる商店会が増えている(津幡町販売事業協組、廿日市さくらポイント会は05年度。佐世保福栄会協組、協組草津スタンプ会は06年度から)。
しかし、この方法は財政を好転させる一方、スタンプ・ポイントの魅力・競争力を低下させる危険も含んでいる。
また、スタンプ・ポイントの魅力だけでなく、個店の魅力アップを図るため、1店逸品運動(04年度から取り組んでいる佐世保福栄会協組)などの動きも。
事業全般の見直し(墨田区商連)やポイントカード機器の老朽化に伴うシステムの見直し(協組新潟市商店連合会)のため委員会を設置し、検討作業を開始している会も出ている。
2.発行回収状況
発行額増加団体は4団体12%、減少は26団体81%
回収額増加団体は10団体31%、減少は19団体59%
【発行】
発行額が前年比4%以上増えた団体は4団体12%(04年度は9%)、減少した団体は26団体81%(04年度は79%)。
発行額全体では10%減(04年度は8%減)。
春日部市商業協組の19%増は、(1)発行額だんとつ1位のドラッグストアチェーン(春日部市が発祥地)が市内に新業態の店舗を1店を開設、そのPRの一環として同協組のポイント数倍サービスを何回も実施したうえに、市内の系列店全体でも同様のポイントセールを多発した、(2)他にも積極的に同協組のポイントカードを自店の販促に活用する有力店が複数ある、などによる。
協組さくらシール会の14%増は、昨年10月から開始したクーポンセール(クーポンを使うと1,050円買い上げごとに50ポイントが上乗せされる。05年度は10、11、2、3月に各1週間程度実施)が主因。
直方スタンプ事業協組の36%減は、発行額トップの店の閉店(その後、規模縮小し再開)、競合激化の影響などによる。
廿日市さくらポイント会の29%減は、全体的な落ち込みのほか昨年10月からスタンプをポイントに切り替えた際、加盟店買い上げ単価を2円から1・5円にしたことが主因。
発行額1億円以上は3団体で04年度と同じだが、入れ替わりが1団体あった。
津幡町販売事業協組が昨年6月から加盟店のポイント購入単価を2円から1.2円にしたことなどで20%ほど減少。一方、19%伸ばした春日部市商業協組が1億円を突破、小社調査では上位2位になった。
【回収】
回収額が前年比4%以上増えた団体は10団体31%(04年度は35%)、減少した団体は19団体59%(04年度は41%)。
回収額全体では増減なし(04年度は12%減)。
廿日市さくらポイント会の117%増は、05年10月のポイントカード化・スタンプ発行停止に伴い、同年末でスタンプ台紙の回収を停止したことが主因。
佐世保福栄会協組の41%増は、今年初めに、4月からポイントの最低交換単位を350ポイント500円から400ポイント500円にすると発表したことが主因。
協組草津スタンプ会の29%増も、今年5月からスタンプの台紙貼数を300枚から350枚に増やすことにしたことが主因。
山中スタンプ会の45%減は、04年7月から満点ポイントを300から400にしたため、当初は旧満点カードの回収が増えたが、その後は回収ペースが鈍ったことが主因と思われる。
直方スタンプ事業協組の32%減は発行減に伴うもの。
(株)アクティブモコの28%減は、05年4月から満点ポイントを400から500に変えたことと発行額減少に伴うもの。
単年度回収率100%以上が17団体53%
05年度の回収率(スタンプ枚数ないしポイント数での)が100%以上は32団体中17団体で53%。大半は発行額の減少・停滞傾向が続く一方、回収額の減少はそれを下回る傾向があるため。一部は、台紙貼数やポイント交換の最低単位を増やしたために手持ちの満貼台紙やポイントを使う消費者が増えたケースも。
3.その他の動き
■ポイントカード化やカードシステム更新
(1)(株)アクティブモコ
05年4月、TMO事業の一環として、従来の印字式使い捨て満点カードを、印字式だが繰り返し使えるリライトカードとし、カードリーダーにはポイントでの動きを記録するメモリーカードを内蔵、詳細な顧客情報の活用を図っている。
同時に400ポイント500円を500ポイント500円とした。
(2)石川県・津幡町販売事業協組
05年6月から加盟店のポイント購入単価を1・7円から1・2円とし、満点ポイントを700ポイント1000円から500ポイント500円とした。
(3)広島県廿日市市・廿日市ポイントカード会
05年10月にオフライン・印字式使い捨て方式のポイントカードシステムを導入、スタンプの発行を停止した(回収は05年末まで)。
(4)オホーツクカード事業協組(北海道斜里町など5町有志で構成)
06年3月にカード機器の老朽化に伴い端末などを一新した。システムは基本的に従来通りだが処理速度が速くなり、直前訂正ができるので金額や倍率などを間違っても修正が簡単になったという。
サービス内容もほぼ従来通り。新サービスとして、7月からエコポイント(レジ袋などを辞退した消費者に加盟店がサービス)を開始。エコポイントは加盟店での買い物には使えないが、ごみ袋の購入には使える。
8月中にはパークゴルフ場を利用したカード会員に健康ポイントサービスを開始の予定。このポイントは当面、パークゴルフ場で100ポイント単位でしか使えないが、今後は町民マラソン参加者などに進呈することも検討中。
(5)香川県丸亀市・丸亀中央振連
05年10月に端末を交換した。有効期限の設定やカード番号印刷などの機能があるが当面は従来通りの利用をする。サービス内容や加盟店負担、カードデザインなども従来通り。機器の経費は全額振連が負担。
*長崎県佐世保市・佐世保福栄会協同組合
06年4月1日から、従来350ポイント(枚)で500円相当だったのを400ポイント(枚)500円に。
*大阪府東大阪市・小阪スタンプ会
06年4月25日からスタンプの発行を停止、オンラインのポイントカードに変更。スタンプでは350枚500円だったが、ポイントは1ポイント単位で1円と交換できる。加盟店の負担は1ポイント1.5円。三井住友クレジットカードのポイント管理システムを有料で利用する。それでも独自に運営ソフトとサーバーを所有し、システムを運営するよりかなりコストダウンできるという。
*東京都世田谷区・烏山駅前通り振組
6月10日からポイントカードシステムを更新
88年、98年に続く3代目のICカードシステム。今回の特徴は、
(1)プリペイド機能を廃止し、ポイントサービスに限定
(2)加盟店での商品購入に伴うポイントサービスは基本的に従来通り。レジ袋や店の紙袋を辞退した消費者には店の負担・裁量でエコポイント進呈、商店街の清掃参加などにはボランティアポイント(振組負担)、よろず相談所利用者には相談ポイント、プリンターの使用済みインクリボン持参者にはリサイクルポイント(有料で回収する業者に転売)などの「コミュニティーポイント」を進呈する。
また、サーバ及び運営ソフトは所有せず、端末やカードを販売したNTTコムに委託する(ASP)。これにより設備費や運営費が安くなるという。
スタンプは併用。
■スタンプの扱い完全停止
(1)丸亀中央振連
05年6月末でスタンプの扱いを完全停止。それまでスタンプのみの扱い店が20店あったがそのうちカード加盟店に移行したのは2店のみ。残りは退会。
スタンプの累計回収率は85%(スタンプ開始は88年)
100%近く回収された場合は資金不足になるところだったが、若干の収益が出て、全端末の購入費などをまかなえた。
(2)廿日市さくらポイント会(旧廿日市さくらシール会)
05年9月末でスタンプの発行を停止、同年12月末で回収停止。
スタンプの累計回収率95%(スタンプ開始は92年)
余ったのは130万円。
■発行・換金業務を事務局で 廿日市さくらポイント会
05年10月のカード化以降、ポイントの販売、回収満点カードの換金などの業務を事務局に移行した。それ以前のスタンプ時代は金融機関が無料で代行していたが、金融機関からは代行廃止や有料化の声が上がっていた。このこともカード化を促した一因。
■満貼数を変更 東京都立川市・羽衣振組
05年4月末から従来の340枚500円台紙の発行を停止(回収は継続)、200枚250円台紙に切り替えた。
■ご当地ソング&ダンス制作 千葉県柏市・松葉町商店会協組
ご当地ソングと踊りを柏商工会議所などの協力で創作。作詞作曲と踊りの振りはプロに依頼した。作詞は住民から募集したキーワード・フレーズを参考にしてもらった。
8月末に同商店街で開かれる夏祭りで披露されるが、既にCDは完成、7月末から公開練習も始めた。
■地域一番店が復活 烏山駅前通り振組
同商店街の売り上げ一番店のスーパー、シミズヤが商店街のポイントカードシステムがリニューアルされた6月10日から同ポイントカード及びスタンプの扱いを再開した。
3年前まで同商店街だんとつのスタンプ・ポイント発行店だったが、競合激化、独自のポイントカードシステム導入などを理由に商店街のポイント・スタンプの扱いを回収のみ(独自のポイントは商店街スタンプとも交換)としていたが、烏山地区では商店街のスタンプ・ポイントカードが圧倒的に普及していること、消費者や振組役員の要望などで復活に踏み切った。
4.今後の方針・課題
■スタンプ事業の見直し 東京都・墨田区商店街連合会
常任理事の中から7名で「小委員会」を設置。中小企業診断士も加わって事業の現状分析、今後のあり方を検討中。
具体的には、(1)財政負担の軽減。各イベントにおける補助金を前年比大幅削減する。イベント回数は変更せず、交換および募集人員を減少、満貼台紙のスタンプ数増加など。
常時交換・イベントの追加----従来の映画鑑賞券に加え、「パスネット」および「バス券」交換を開始(共に満貼台紙2冊で交換)
■逸品運動 佐世保福栄会協同組合
06年度も引き続き太田先生の指導を仰いで逸品運動を実施。加盟店の3分の1ほどの参加しかないのが問題だが、昨年度の反省点を踏まえ、前進できると考えている。
■新規加盟促進 (株)アクティブモコ
協組森の腰商栄会以外の商店から、モコ加盟店に入会希望の問い合わせがあるが、実際入会していただけるかどうか? 新規加盟店にカード機器を準備するなど大変さもある。
■できるだけ販促につながるイベントを続けていきたい 羽衣商店街振組
■既存加盟店でのポイント発行、新規カード発行に注力 協組新潟市商店連合会
「ポイントカード機器老朽化」により新規店舗の拡大が難しいので、既存加盟店のポイント発行及び新規カード会員の拡大に注力する。
■HPリニューアル 広島県福山市・協組神辺わかば会
広島県中小企業団体中央会の支援で、06年度からホームページリニューアルの検討を始めた。また、ホームページの作成は専門家に委託する。
・暗中模索‥‥丸亀中央振連
これまでいろんな方策を打ってきているが、郊外SCなどへの消費流出傾向は相変わらず。
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