商品券・プリペイドカード実績調査結果要旨
 2005年度の動き
 
*決算月は会により異なりますが本調査では、2005年4月から2006年3月までの1年間としました

・2005年度全体の数字やイベントなどの詳細は、『商店街通信』56号(06年10月発行予定)に掲載
・2005年4月〜9月は55号
・2005年10〜12月&2006年1月〜3月は56号(06年10月発行予定)

1.概況
 2005年度の発行額4%以上の増加団体は04年度(23%)より、7ポイント減少、4%以上減少は04年度(58%)より6ポイント増加するなど、商品券事業の厳しさの度合いは高まっている。
 これは、郊外型SCの増加など競合激化で商品券発行団体加盟店の減少―魅力の低下、消費の低迷による贈答需要の減少などによると思われる。
 このため、商品券事業の維持が難しくなり、発行を停止、組合解散にまで踏み切る団体も出てきた。
 また、財政難、支出の見直しなどで、秋田市や世田谷区など敬老祝いや生活保護家庭への商品券進呈などを縮小・削減する自治体も増えている。
 一方、財政健全化・事務合理化の一環として、長岡市共通商品券協組、世田谷区振連、板橋区振連など、従来無期限だった有効期限を5年程度の有限とする団体が徐々に増えている。

2.発行回収状況 
 
発行額増は4団体16%、減少は16団体64%
 回収額増は8団体30%、減少は14団体54%

【発行】
 前年同期比4%以上増加は4団体16%(04年度は23%)、4%以上減少は16団体64%(04年度は58%)。
 発行額全体では前年同期比4%減(04年度は8%減)。

 板橋区振連の244%増は、昨年10月にプレミアム商品券1億1,000万円分を発行したことが主因。
 協組新潟市商店連合会の18%増は、市町村合併に伴うキャンペーンや加盟店増などで商品券の認知度・利便性が上昇したことなどのため。 
 協組神辺わかば会の15%増は、「歴史が新しくまだ浸透途上」(同協組理事)であること、同協組のスタンプと連動したイベント開催などが主因。
 世田谷区振連の37%減は、04年度は発行したプレミアム商品券を05年度は発行しなかったこと、生活保護世帯の見舞い品用など区の買い上げ額減少が主因。
 須坂商業サービス協組の34%減は、商店街等の地域商店の低迷が主因。
 あきた共通商品券協組の31%減は、市の高齢者祝い用買い上げ額減少と消費低迷などが主因。
 稲沢市商業協組の発行額30%減は、(1)市社会福祉協議会が生活保護世帯へのお見舞い用などに購入していた分を、市町合併により使えない地区が出るので見合わせた、(2)同協組の各種支払いの一部を共通商品券にしていたのを全て現金に切り替えた、などが主因。

【回収】
 前年同期比4%以上増加は7団体28%(04年度は30%)、4%以上減少は18団体72%(04年度は54%)。
 回収額全体では前年同期比4%減(04年度は5%減)。
 
 板橋区振連の54%増は、昨年10月の1億1,000万円分プレミアム商品券発行に伴うもの。 
 協組神辺わかば会の16%増、協組新潟市商店連合会会の11%増は、発行額増に伴うもの。
 あきた共通商品券協組と世田谷区振連の各22%減、稲沢市商業協組の17%減は発行額減に伴うもの。
 
■プリペイドカード
 オホーツクカード事業協組の発行額36%減は、04年度は5%のプレミアムアップセールを数回を実施したが05年度はプレミアムの率を3%に低下させたこと、05年春の郊外大型SC出店の影響などが主因。回収額19%減は、発行額減に伴うもの。

3.その他のニュース
■プレミアム商品券
 世田谷区振連ではプレミアム商品券約1億円を今年の11月頃発行する。プレミアム率は5%(従来は10%)。
 
■発行停止
・06年1月末 新潟県・協組栃尾市商店連合会(組合は6月末で解散)
(加盟店での回収は6月末で終了。7月以降は栃尾商工会に委託。栃尾市は今年1月1日に長岡市と合併)
 同協組では、回収資金(7月初めで195万円の未回収)確保のため、全組合員に増資をしてもらった(1組合員数万円)

・2006年6月末 新潟県・協組燕市商店連合会(組合は解散予定)
・06年8月末 新潟県・柏崎市商店連合会(組合は解散予定)
・06年9月末 (社)横浜市商店街総連合会(回収は従来通り継続)

■有効期限付きに
・長岡市共通商品券協組 有効期限を06年5月発行分から約5年間(5月発行分は11年2月20日まで)とした。合わせて、券のデザインを15年ぶりにリニューアルした。
・世田谷区振連 06年6月発行分から、約5年間とした。
 *詳細は、(有)商店街情報センターホームページを参照ください。
 http://www2d.biglobe.ne.jp/~icc/index.html
・板橋区振連も、2007年度発行分から有効期限を5年にする。
 いずれも「無期限の場合、発行5年目を迎えた未回収分が収益計上され、納税(黒字の場合)する一方、未回収益とした商品券がその後回収され、損失で落とせるとはいえ、財政を悪化させかねないことから。

■6カ月の期間限定商品券を発行
 須坂商業サービス協組は、通常の無期限共通商品券と並行して05年度から有効期間半年の商品券を発行している。今年度も8月から発行する。
 通常の共通商品券は大型店では取り扱えず、一方、既存商店街の多くは非常に厳しい状態になり、多くの消費者から「商品券を使いたい店が少ない。大型店でも扱える商品券を」との要望が高まっていたため。
 なお、この買い物券を3,000円以上買い上げた消費者には抽選で、動物園で人気のカンガルー「ハッチ」のぬいぐるみや須坂の温泉入浴券、お菓子詰め合わせなど70本の景品が抽選で当たる応募券を進呈する。

■DC、UCの商品券も取り扱うことに
 
須坂商業サービス協組は、全国共通の商品券を希望する消費者向けに、クレジットカードのDC、UCとそれぞれ取り扱い契約を交わした。
 「本来の趣旨とは異なるが、全国共通を要望する企業などのニーズに応え、手数料(3%)収入増加策として取り組む」。

■バーコード処理に
 長岡市共通商品券協組は、05年度印刷分から商品券にバーコードを印刷、回収商品券をバーコードリーダーで読みとり、その結果をパソコンに転送するシステムとした。それ以前の未回収商品券はバーコードがないので番号をパソコンで入力する。

■読売新聞が拡販用に3,420万円購入
 世田谷区振連の共通商品券を読売新聞社が04年度から購入、区内読者の拡大用ツールとして活用している。05年度の購入額は3,420万円で、世田谷区の9,631万円に次いで2位。
 ちなみに、回収の1位は、食品スーパーのオオゼキ(区内で10店近く営業)の3,824万円。2位は同じくスーパーのライフ(2店)の2,210万円、3位が烏山駅前通り振組の1,730万円。

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