もしかすると、その子が世に放った9枚のシングルの中ではもっともマイナーな一枚かもしれない。しかし今回、特選を書くにあたって聴き直してみると、以外と前向きな歌詞で、その子が歌う曲の中では珍しく単なるラブソングではなく、"あなたはひとりじゃない 私がそばにいる"と「伝えたい」想いが込められている事が良くわかった。 アレンジはこれまで全てのシングルを担当してきた後藤次利の手を離れ初めて和泉一弥が担当している。決して派手な曲ではないが、無国籍・情緒的な重厚アレンジにその子のボーカルが乗ると、せつなさや淋しさ、ある種の緊張感を抱いてしまう。
もともと、その子はデビュー当時から高いアーティスト性を備えており、リリースされたシングルごとに新たなる局面を見せてはそのクオリティの高さに驚かされていたものだ。ただこの曲はオリジナルアルバムには一切収録されず、シングル盤のみ発売という形になってしまった。(ベストは除く)B面曲の「明日への手紙」も含め、この路線での流れを取り入れたアルバムが発売されなかったのはとても残念だ。【Yuusuke】