前作「なぜ?の嵐」では残念ながら、オリコン初登場一位ならず。当時、彼女だけがそれを達成できずスタッフ一同団結して出来上がった曲である。一般的にはデビュー曲の方が認知度は高いようだが筆者は明らかにそれを上回る出来だと思っている。 「なぜ?の嵐」では、彼を愛する事を禁じられた大人たちへの反感や、そんな自分の孤独な境遇を歌っており、思春期独特の葛藤が描かれている。この曲では、「彼」と「彼女」が談笑しているのを見て声を掛けられず足早に過ぎてしまい、気持ちが揺れ動く少女の内面と(当時)恋愛経験のない秋絵がピッタリはまっていた。まさに、♪みんなと送れるワンテンポォ〜の彼女のための曲である。
悲しみを知る事が大人になるためのステップならば知りたくないという部分は前作からの流れを組んでいるが、「彼」に対する思いは以前よりハッキリと出ており最後には誰よりも大好きだったと自分自身に告白して、彼女なりのケジメを付けた(と思う)。曲と共に成長する吉沢秋絵という図式が二作目にしてすでに出来上がっているのである。
卒業後まもなくして作詞なども手がけており、そちらの才能もなかなか捨て難かった。今現在残っていればあの不思議な存在感と、大人になっていく彼女を見守りつづけていられる事ができたであろうことが非常に残念である。【たくや】