監視 第二章 屈服


翌日、美和は会社に遅刻をしてしまった。聡史の変貌ぶりが気になり朝方まで
眠れなかったのである。しかし、いつもの日常的な生活が始まると昨日の事は
夢の出来事だったのではと考えるようになっていた。

「遅いぞ!美和」
制服に着替え給湯室に行くと、すでに由美子がポットにお茶を入れていた。
「ごめん・・」
「それに、なに?その眠そうな顔は・・・」
「うん、寝坊しちゃったの」
「あはぁん、昨日は島田さんとデートだったんだよね。笑」
「そんなんじゃないって」
「そんなんってなに?私はデートって言っただけよ。笑」
「・・・・・」
「誰もホテルに泊って、朝帰りなんて言ってないわよ」
「だから、そんなんじゃないって」
「はいはい。キスマークだけは気をつけなさいよ」
「・・・・・」

いくら言っても由美子は自分の想像を変えようとしない。美和は弁明への努力
を放棄したのである。

美和はポットにお湯を入れると自分の席に着き朝のメールチェックをはじめた。
この会社では社員全員にメールIDを配布し業務伝達はすべてメールで行って
いるのである。もっとも、事務職である美和のところに来るメールは仕事関係
よりも同僚OL達の井戸端メールの方が多かった。

「あれ?」
美和の見知らぬ相手からメールが一通届いていたのである。

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奴隷の美和へ・・・これは警告だ!

一晩、寝たからと言って奴隷であることは忘れ
ないように!いつでもこの写真を会社の同僚に
送ることができるぞ(笑)

添付の写真を見なさい。
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美和は添付ファイルをクリックした。すると、昨日のヌード写真が画面いっぱ
いに表示されてしまったのであった。慌てて美和はその写真とメールを削除し
たのだが、隣の席から驚愕の声が聞こえてきたのである。

「なんだぁ!この写真は・・・」
美和は全身から血の気が引いてしまった。
(みられた?)

美和が声の方向に目をやると、その声は美和のパソコンを見て発せられたもの
ではなかった。声の主は自分のパソコンを見ながら奇声を発したのであった。

(えっ?みんなに・・・配布・・・)
美和の脚が震えていた。

「おい、これ見ろよ!人事部の島田だろ?」
隣の同僚が美和に話し掛けて来た。
「??・・・・・」

その写真は美和のヌードに島田の顔を合成したものであった。
「島田は性転換をしていたのか。笑」

もちろん、写真の裸体が美和であることなど知る人は居なかったが自分のヌー
ドが多くの人の目に曝されてしまったのである。顔の部分が島田のそれに変え
られていたのが、せめてもの救いであった。

「どうかした?」
美和の顔は真っ赤になっていた。
「あっ、ごめん。こんなもの女性に見せるものじゃないよな」
「・・・・・」

どうやら写真は美和の所属する部門の人全てに配布されたようである。お昼ま
でには社内中に、この話題が広まっていた。当然、島田は上司から詰問された
ようである。

美和は社員食堂で島田と顔を合せた。社内でも美和と島田が付き合っているこ
とを知ってるものは殆どいない。島田も美和と深い関係を持っているわけでは
無いため、自分が合成させた全裸の女性が美和であるとは夢にも思っていない
ようであった。

「まったく、いい迷惑だぜ」
「・・・・・」
「上司に絞られたよ。誰かに恨みを買ってないかって・・・」
「大変だったわね」
「あぁ、イタズラにも程がある。なんで俺なんだよ」
「・・・・・」
「少しも思い当たることがないんだ・・・こんなことされる」
「女の子を振って怨まれてるって覚えなら、沢山あるんじゃない?笑」
「・・・・・ないよ。美和こそ・・・男に・・・・」
「沢山あるかも。笑」

美和は笑って誤魔化すしかなくなっていた。昨晩のことを島田に相談しようと
思っていたのだが、このような状況になってしまうと、とても相談どころでは
なくなってしまったのだ。

「おいおい、・・・でも、マジで立場がピンチなんだ。上司からも釘をさされ
  てしまった。犯人がわかるまで謹慎することにした」
「それって・・どう言う意味?もしかして・・本当に私の関係を疑ってるの?」
「俺には心当たりは無いんだ・・・」
「だからと言って、私なの?」
「・・・・美和は男にモテルだろう?美和は気が付かなくても・・・」
「もぅ、いいわ。これからは慎重に女を選ぶことね」

島田は完全な被害者である。美和にも自分の為に島田がピンチに立たされてい
ることは十分理解できる。それでも、彼の行動が許せなかったのであった。

島田は美和の男が原因でこんなことになったと考えているようであり、美和の
身を心配するどころか自分可愛さに、彼女を切り捨てようとしたのである。
それが美和には許せなかった。相談するなどもっての他だったのである。

昼休み時間も、あと10分で終わる頃、美和は自分の席に戻った。メールを見
ると再び聡史からのメールが来ていた。

「えっ?」
回りを確認して美和はそのメールを表示した。

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奴隷の美和へ

合成写真はどうだったかな?時間をかけて美和
の為に作ったんだよ(笑)
評判・・・よかったかな?

ところで、美和は私の奴隷となる誓約書を書い
ていなかったね。1時までにメールで誓約書を
よこしなさい。

誓約書が届かなかった場合、こんどは・・・
加工無しで写真を送ることにするよ。

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奴隷誓約書なる添付ファイルが付いていた。名前の部分を美和と置き換えて返
信するようになっていたのである。

美和が時計を見ると1時まで7分しかなかった。

(どうしよう・・・次は私の顔のままで写真が・・・)
考えている余裕は美和には無かったのである。急いで自分の名前を入れメール
を返信したのだが、送信が完了したのは1時1分前だったのである。

(すぐに届くかしら・・・)
不安でいっぱいであった美和は人影の無いところに行き、携帯から電話をかけ
ることにしたのである。

(早く出て・・)
「もしもし・・・・」
彼の声であった。美和の中に安堵の気持ちが沸いてきた。
「い・・ま、送信しました」
「何をだぁ?」
「ご要望のメールです」
「ご要望じゃ判らないな。ちゃんと言ってくれ」

美和は奴隷と言う言葉を口に出すことに躊躇していた。

「あの・・・奴・・隷・・の誓約書です」
「来てないよ。今、写真を配信しようとTABを押すところだ」
「やめて下さい。お願いです」
「・・・・・しかたないな」
「メールは出しましたから写真は送らないで下さい。」
「そこで、誓いなさい」
「えっ?」
「あぁ、文章は書いたんなら覚えているだろ?」
「・・・・・」
「今、録音するから。ちょっと待ってくれ。。。。。。。OK」
「・・・・・」
「どうした?TABを押すぞ」
「待って!、誓います」
「早くしなさい」

美和は屈辱に絶えながら、誓約をはじめたのである。

「私、白井美和は・・・」
「聡史様の・・・忠実なペットとして、・・・」
「誠意を持って命令に従い・・・・」
「心から尽くすことを誓います」

電話に向かって声に出し誓うことで美和の中には熱いものが込み上げてきてい
た。電話の向こうでは沈黙が続く。

「これで・・・いいですか?」
「駄目だ」
「そんなぁ!」
「どうしたら、写真の配信をやめてくれるんですか?」




美和にとって午後の4時間がいつになく長く感じられた。男性の視線が気にな
ってしかたなかったのである。もっとも、美和の会社の制服はさほどタイトな
スカートではなく、薄いブラウスの上にはベストも着ていた為、ノーパン、ノ
ブラで過ごしていることに気がつく人はいないであろう。しかし、いつもと違
う感覚が美和を意識過剰にしていたのである。特にブラウスと磨れる乳首は意
識とは別に物理的な刺激を与え続けているのである。

そう、聡史は美和に対して、写真を配信しない条件として、ブラとパンティー
を脱ぐように命令したのであった。

「どうかしたの?」
「えっ?」
「なんだか沈んでるから・・・」
「そうかな」

由美子が美和の異変に気が付いたのか話し掛けて来たのだった。

「島田さんとなにかあったんでしょ?」
「えぇ・・・」
「今日の朝の事件で?」
「うん」
「彼も大変よね。以外と問題になってるみたいよ」
「そうなんだぁ」
「あら、他人事みたいね」
「他人事だもの」
「えっ?どうかしたの?」
「しばらく付き合わないって言われちゃった」
「なんで!?」
「上司からいろいろ言われたみたい」
「そんなんで・・・別れるわけ?」
「しかたないじゃない。向こうが言うんだから」
「私、文句言ってきてあげる」
「やめてよ。もう終わったことだから・・」
「でも・・・」
「いいの」
「じゃ、今日は飲みに行く?カラオケとか・・」
「ううん、ひとりでゆっくりしたいから帰る」
「ストレス発散した方が良いわよ」
「・・・・・ちょっと、体調も悪いから」
「・・・・・そうか、元気出してね」
「ありがとう」

この日の午後は美和にとって一日千秋の思いであった。終業のチャイムが鳴る
と急いで帰宅したのである。

しかし、美和にとっての試練はマンションまでの帰路が本番だったのである。
ジーンズにTシャツというラフな格好が美和を悩ませたのだ。

パンティーを穿いていない陰部がジーンズの生地に磨れるのである。しかし、
下半身より上半身の方が美和にとっては苦痛であった。薄いTシャツは彼女が
ノーブラであることを少しも隠そうとはしてくれないのである。擦れ違う男性
は、殆どの人が美和のバストにあからさまな視線を投げつけて来た。

急ぎ足で歩くとバストが揺れ、余計にTシャツに乳首が磨れてしまうのであっ
た。いつのまにか乳首も固くなっていた。そしてTシャツの薄い布を盛り上げ
一層、一目を引くのであった。

電車の中でも、男達の視線により犯されていた。痴漢に会わなかったのが不思
議なくらいである。美和がワンルームのマンションに辿り着いた時には全身か
ら力が抜けていたのであった。