顔の無い肖像画 第3章 夢と現実


瑞穂は全裸で椅子に座らされていた。さほど大きくない胸の上下は荒縄で強く
締め付けられ実際より少し大きく見えた。いつもの夢であった。
以前と違うところは空間に漂う黒い絵の具は無くなり部屋には光が溢れていた。
目の前では竹中が筆を手にキャンバスに向かっていた。

「少し飾りが欲しいな」

そう言いながら竹中は瑞穂に近づいて来た。

「これを付けようか」
竹中は手の平を開いた。そこには銀色に輝くリングが輝いていた。

「どうなんだ?つけて欲しいんだろ?」

瑞穂は小さく頷いていた。
竹中は慣れた手付きで左の乳首にリングを通したのである。痛みを覚悟した瑞
穂であったがリングはさほどの痛みもなく乳首に取り付けられたのである。
すでに瑞穂の乳首にはニップルホールが出来上がっていたのである。以前に比
べ瑞穂の乳首は一回りは大きくなっていた。

「綺麗だよ」
竹中が取り付けられたリングを引っ張った。
「あっ!」
「おいおい、、そそるような声を出すなよ。その気になってしまうだろ」
「でも・・」
竹中の指によって引っ張られたリングは乳首をバストから離れさせようとする。

「あっ、あぁ・・」
「その声、好きだよ。こちらも付けような」
言いながら、右の乳首にもリングを装着した。

「どうだ?」
「・・・・・・・」
「しっかり、答えろ!」
「ありがとうございます」
「それだけか?」

瑞穂はどう答えたら良いのか、竹中がどんな答えを期待しているのか考えてい
た。

「答えないつもりだな!」
竹中は瑞穂の頬を摘んだ。
「痛い」



「おい!そろそろ起きろよ」

瑞穂が目を開けると、そこには竹中の顔があった。
「うん?」
(夢?)
「腹が減った。朝食を頼む」
「あっ、はい」

瑞穂はベットの中からやっとの思いで這い出たが、しばらくはそのまま座って
いた。頭がボ〜ットしているのだ。

竹中と初めて逢った日から三ヶ月が経過していた。結局、瑞穂は竹中の申し出
であるモデルを引き受けたのである。週末になると竹中のマンションに通うよ
うになった。いつの日か瑞穂は竹中に好意を感じるようになり、必然的に体も
許すようになったのである。

一ヶ月前から、瑞穂と竹中は同棲同様の暮らしへと突入しているのである。

「目玉焼き、食べる?」
「あぁ」
竹中はキャンバスに顔を向けたまま答えた。

「コーヒーも飲むでしょ?」
キッチンから瑞穂の声が聞こえて来た。
「あぁ」
竹中は生返事をした。キャベツを切る不器用な音がキッチンから聞こえてきた。

「ねぇ。トーストは・・・あっ」
瑞穂がリビングに居る竹中に尋ねようと振り返ると、すぐ後ろに竹中が居たの
であった。

「二枚にしてくれるかな」
「はい」

食パンを二枚、トースターに入れると再び瑞穂は竹中に背を向けキャベツを切
り始めた。

竹中の手が後ろから瑞穂を包んだ。
「相変わらず、不器用だな」
「うるさいな〜」
「なんだ?その口の利き方は・・・」
「危ないから、アッチに行って待ってなさい」
「駄目!」

竹中は瑞穂が身に付けていたパジャマのボタンを外しだしたのである。パジャ
マの下は素肌であった。瑞穂は寝る時にはブラジャーもしていないのである。

「いやぁ・・作れないでしょ」
嫌がる瑞穂の声は言葉とは裏腹にどこか甘えた口調である。実際には嫌がって
いないと竹中は思った。

「そうか、じゃ・・あとでタップリな」
竹中は、そう言うとアッサリとリビングへと引き上げてしまったのである。

「もう・・・」
瑞穂は露わにされたバストを隠そうとキャベツを切る手を止めてパジャマのボ
タンを嵌めた。その時、瑞穂は自分の乳首につけられたニップルリングを確認
したのである。


「出来ました。ここに置いておく?」
「あぁ」
瑞穂が一緒に暮らすようになって購入した小さなテーブルの上に朝食を乗せた
トレーが置かれた・

「進んだ?」
瑞穂が竹中の向かっているキャンバスを覗き込む。そこには、全裸で椅子に座
らされ身体を荒縄で縛られた女性の姿があった。

もちろん、その女性の顔は瑞穂そのものであったのである。