SMビデオ(前編)


武藤晃、22歳。僕は今年、大学を卒業した。世の中不景気だと騒がれていた
が、幸運の女神が僕にはついているのだろうか?何気なく受けたアパレル関係
の企業に合格し4月から新入社員として働いている。一応、この会社は全国に
支店や営業所があり、僕は金沢の支店に配属となったのである。

生まれて初めて体験する一人暮らしは快適であった。今までずっと両親との同
居生活であったから自分の自由な空間を持てることが嬉しかったのだ。
最近では、週末になると会社帰りに駅の側のレンタルビデオ屋さんに寄り二日
分のビデオを借りることが習慣となっていた。

(う〜ん、これも借りたかなぁ?)

最近ではアダルトコーナーに入ることにも慣れて来た。これでも初めは少し抵
抗感がありドキドキしながら急いでビデオを取りカウンターに持って行ったも
のだが近頃では30分位はジックリ吟味し、ビデオを借りることにしている。
アダルトビデオは当たりハズレがある。必然的に監督や女優も覚えてしまった。

(新人かな?監督も知らないなぁ)

僕は新作コーナーで目を引いた一本のビデオを手に取っていた。
「貴方はこのビデオから逃げられない!・・・」

キャッチコピーが目についたのである。主演女優の容姿も僕好みであった。

(こんな女優を探していたんだ!)
「武藤真由美か・・」

細身の体に荒縄が巻かれ苦痛に顔を歪めている。少し大きめの目鼻立ちで整っ
た顔は僕の欲情を掻き立てるのである。

久しぶりに胸が高鳴り始めた。
(ヤバイ・・・)
僕の股間が膨張していた。

数本のビデオを手に僕は店を後にしたのである。



家に帰ると早速、途中のコンビニに購入した夕食の弁当を平らげ、ビールを片
手に借りて来たビデオをセットしたのである。

「さてっと」

ビールに口をつけながら僕はビデオの前に座っていた。

「ほらっ!早く準備しろよ!」
ビデオの中から男の声が聞こえて来た。
「もう、やめてください」

懇願する女の声が続いて流れて来た。画像はまだ静止画によるタイトル画面で
あった。
「お願いですから・・・もう、開放してください」

声だけが聞こえて来る。その声がまた僕の鼓動を高鳴らせた。鳥の囀りのよう
に高く綺麗な声であった。それに比べ、男の声は低くドスの効いた重い声であ
る。

「ここから出たければ、早く準備しろ!」
「はい・・」

女の声は半べそ状態にも聞こえた。
なかなか、画像が出てこない。僕は少しジレて来た。

(オイオイ、このまま声だけじゃないだろうな?)

そう思った瞬間、僕の思いが聞こえたかのようにBGMと画像が現れたのだ。
現れた画像はマンションの部屋のようであった。殺風景な部屋には家具などは
見当たらなかった。カメラがターンすると部屋の片隅に彼女が居た。

カメラがズームインし綺麗にメーイクされた彼女を映し出した。色白の整った
目鼻立ちに赤いルージュが目を引く。うつ向いた瞳に長い睫毛が少し濡れてい
る。

「ほら、ここから帰りたければ満足できるサービスをしろよ!真由美」

どうやらストーリーは、この真由美と言う女性が強引に拉致され、マンション
の部屋に連れ込まれた設定のようだ。

「うん?どうなんだ?」
真由美と呼ばれた女の顔が歪んだ。

カメラが少しズームアウトすると女の上半身がフレームに入った。
身体を縛り上げた荒縄の間から溢れたバストの先にある乳首を男の指が摘んだ
のだった。

「返事くらいしろよ」
「あっ」
抓るように指が動くと真由美の口から声が漏れた。

「これならどうだ?」
フレームの外から今ひとつの手が現れ、柔らかそうなもう一方のピンク色した
乳首を摘んだ。

「感じるんだろ?」
両乳首をクリクリと男の手が弄ぶ。

「・・・・・・・・」
男の指が真由美の乳首を摘んだまま引っ張ったのである。
「あぁ・・」

「どうなんだ?返事くらいしろよ」
「はい。」
「はい、じゃないだろ?どうなんだ」
「感じます」

女が慌てて言い直す。

「でも・・」
「うん?でも??なんだ!」
「痛いです」
「そうか・・痛いのか・・・」
「はい」
「オマエ好きなんだろ?痛いのが」

真由美が首を横に振った。
「なにぃ?好きなんだろ!!」

乳首を摘む男の指に力が入ったのがわかる。
「・・・・・・」
「どうなんだ?」

「は・・い・・」
「はい、じゃわからないぞ」
「痛いのが・・好きです」
真由美は男の言いなりに返事をした。

「どれどれ、確かめてあげよう」
真由美の乳首から片方の手が離れた。

「いやぁ」
「こらっ!」

画面の中で真由美の身体が揺れている。男の手が股間に侵入しようとしてるの
である。真由美はそれから逃れるように身体をよじったのであった。しかし、
束縛された真由美が男から逃れることはできなかった。

「駄目!」
「あはは・・」
「・・・・・」
男の手が真由美の股間でモゾモゾとうごめく。

「やっぱり、オマエは淫乱だな」
「・・・・・」
「こんなに濡れてるじゃないか。うん?」

「みんなにも見て頂こうな」
「いやぁ」
真由美の声を無視するように、男は股間から手を抜き取るとカメラの前に指を
かざしたのだ。

「みなさん、これがコイツの愛液です」

画面いっぱいに男の指が現れる。ピンボケの画像に焦点が合わされると、そこ
にはネットリとした汁の付いた指が現れた。

「お願いだから、やめてください」
「うん?じゃ・・自分で拭き取れよ」

そう言うと男は真由美の顔の前に指を差し出した。
「ほら、早く拭き取れ」

真由美は後手に縛られ手の自由はなかった。男は指に付いた自分の愛液を舐め
るように言っているのである。

「・・・・」
真由美は顔をそむけて拒否をした。

「こらっ!早く舐めろ」
それでも真由美が言うことを聞かないと見ると、男は乳首を揉んでいた、もう
一方の手で真由美の鼻を摘んだ。

「うぅ・・・」
真由美は息が出来ず、口を開くと男はその一瞬を逃さず指を差し入れてしまっ
た。

「うぐぅ」
「ほら、もっと舌を使って舐めろ!」
「むぐむぐ・・」
「そんなんじゃ。お客さんは満足してくれないぞ」

画面は男の指を咥える真由美の口をズームアップした。ツヤツヤした赤い口紅
をつけた少し薄い唇が男の指を吸っている。

(ピチャ。。ピチャ)
舌で愛液を舐めているのである。男の指は真由美の唾液で光っていた。



僕の視線はビデオの画像に釘付けになっていた。生唾が喉を通過した。
手にしたビールに口を付け、一口飲み、渇きを潤す。
その時、一瞬、僕の口の中に異物感が広がったのだ。

「うえぇ」
異物感は指のような錯覚を感じたのである。
再び舌で確かめると何もそこにはなかった。

(なんだ?今のは・・・)

ビデオ画像では真由美が男の指を咥え続けていた。

「そろそろ・・試してみるか?」
男は独り言のように呟くと真由美の口から指を抜いた。一瞬、指と唇の間に光
るものが映った。真由美の唾液である。

唾液は指から離れ真由美の口の周りにしがみ付いた。綺麗に引かれていたルー
ジュが心なしかボヤケており比較的薄かった唇が少しだけ厚く見える。

「これは秘薬だからな。ありがたく思えよ」

男は真由美に話し掛けながら、指に何やら塗りつけたのである。

「ほらっ。咥えろ!」

真由美は再び、顔を背けるが、先程と同様に鼻を摘まれると結局、男の指を咥
ざる終えなかった。

「どうだ?」
「・・・・」

明らかに真由美の顔が高揚していた。全体に赤みを帯び、目は虚ろに見える。

「もっと、愛情を込めて口で奉仕しろよ」

真由美の可愛い唇が積極的に動き出した。自ら進んで指を包容しているのがわ
かる。

「細くて、物足りないみたいだな」
「・・・・」
「どうなんだ?返事は?」

真由美は包容を止めずに首を縦てに振ったのである。

「あはは・・・、この薬は効果てき面だな」
真由美の腰がモゾモゾと動いていた。

「しかたないな。ご褒美をやるか」

男は指を真由美に咥えさせたまま、片方の手で自分のズボンのチャックを下ろ
し、中からペニスを取り出した。画像にはボカシが入っておりハッキリとはわ
からないが僕のモノよりは巨大に思えた。

「ほしいんだろ?」
男が真由美に問い掛けた。真由美の目は明らかに男のペニスを見据えていた。

「じゃ、ご褒美だ」
男が指を真由美の口から抜き取ると、真由美は迷わず男のペニスにしゃぶりつ
いたのである。

「おいおい、優しく頼むぜ!笑」
「・・・・・・・」
真由美は黙々と男のペニスを包容し続ける。
「うっ」
男が声を漏らし、ペニスを真由美の唇から抜き取った。

「もっと丁寧にしろ!」
「はい」

真由美は舌で男の亀頭を丁寧に舐め始めた。
「これで、・・・いい・・ですか?・・」
「よしよし。美味しいか?」

真由美は一瞬たりともペニスから離れようとせず、首を縦に振る。

突然、男は真由美の後頭部を両手で掴み自分の股間に近づけたのである。
真由美は、男のペニスを奥まで咥えた。一瞬、喉の奥まで届いたのであろう苦
しそうな表情をしたが、すぐに舌を動かし始めた。



「げっ」
僕の喉に何かが詰まったような感じが伝わって来たのだ。
「ゴホン、ゴッホン」


「うっ」
ビデオの中で男が悦楽の声を発した。
「溢すんじゃないぞ」


僕は喉の奥を潤わせる為、ビールを口に含んだ。

真由美は口の中に放出された、男の白い液体を飲み込んだのであった。

「ゴックン」
真由美の喉の動きが液体の通過を示した。

「ゴックン」
僕は心地よいアルコールの喉越しを期待しビールを飲み干した。

「うげぇ〜」
切れのあるビールの通過の代わりにネットリとしたものが口から喉の奥に広が
ったのである。

「う〜、なんだ。。これ」
僕は洗面所に急いだ。

「ペッペッ!」
水を口に含んでウガイをした。
「ガラガラガラ・・・」
「ペッペッ!」

「う〜、、なんだよこのビールは」

ビールを洗面所に流し確かめたが見たところなんの変わりもないのである。
「・・・・・」



僕がビデオの前に戻った時には、すでに場面が変わっていた。仰向けになった
男の上に真由美は馬乗りになっていた。

両手は荒縄で後手に縛られている格好は先程のままである。男が腰を上下に動
かすと真由美もそれに合わせて髪を振り乱していた。

「あっ、あうん。あっ、あぁ・・・あ〜」
「それ!」
「んう、あっ、あっ・・」

真由美の身体は汗で光っていた。男の手が真由美の両バストを鷲掴みにした。
「あぁ〜、いやぁん。駄目」
「嫌なのか?」
「ううん、感じちゃう・・」
「じゃ、これはどうだ?」

男は腰を突き上げた。
「ほら」
男は真由美の乳首を摘みクリクリと愛撫している。

「あっ、あうん。。あっあっ・・あぁ」
「・・・・・」
「いぃ。。あっ・・・あ・・あうっ、あ、あっ」

泣くような擦れた可愛い声が僕の脳を刺激しだした。
いつのまにか、僕は自分のペニスを握っていたのである。ティッシュを用意し
画面を横に見ながら仰向けになった。

「あ、あぁ・・・あっ、あっ。。うん。あぁぁ〜」
僕のペニスを握る手も強く、上下していた。

画面から、声が消えていた。僕も虚脱感に襲われていた。
いつもなら、すぐにティッシュを片付けるのであるが、今日は余韻に浸ってい
たい気持ちだったのだ。自分のペニスから最後の一絞りが溢れ出た。

ペニスがピクッと動く感覚がする。

(うん?)

睾丸からお腹の中に向かってピクッと動く感覚が伝わって来たのである。
僕は虚脱感の中、自分のペニスを確認した。それは凛々しさを失い少し小さく
なっていたが、確かに存在した。

しかし、自分の中に向かって何かが存在し、たまにピクッ、ピクッと動く感じ
がするのである。その動きにあわせて、液体が溢れる感覚も伝わって来た。

「こら、真由美。いつまで休んでいるんだ?」
そう言うと男は真由美から離れ起き上がった。真由美は横に押しのけられたま
ま床に転がったのである。

僕の中から異物感が消えた。そして、チュルチュルと腿を伝って愛液が溢れ出
たのである。


「ガガガ・・・」
「うん?」

ダルイ身体を起こして音の方向を見ると画面の中でビデオを取り出す僕の姿が
写っていたのである。