◆ Chimeによる高分子の表示:PMMAを例に ◆

 高分子物質は,比較的簡単な分子一種または数種が数百〜数万もつながってできている。そのため,高分子を分子式で示す場合は,その繰り返しの単位を示したり,タンパク質では構成成分のアミノ酸の繋がる順序を記載したりする。
 Chimeを用いた本分子事典における高分子の表記の仕方を,ポリメチルメタクリレート(PMMA)を例に示そう。
 PMMAの構造式は以下のように示される。

 [ ]内が繰り返し単位であり,n は繰り返しの数で高分子の作り方によって異なる上に,分子1本1本の繋がっている数も異なっている場合が普通である(酵素やDNAなど,機能の高い生体高分子は繰り返しの順序が決まっているので,各々で分子長・分子量は定まっている)。[ ]の両脇の“”はさらに隣の繰り返し単位に繋がっていることを示している。そこで,Chimeで高分子を表わす場合は,この“”の部分を“LP”(lone pair)原子として組立て,3次元表示した時の表示色が濃いピンクになるようにした。以下がPMMAの場合である。

 上のモデルは繰り返し単位であることがわかるように,LP分子のみを棒モデル,他の原子(C,H,O)を球棒モデルで示した。このような表示にするには,“Display”メニューで最初に分子全体を“Sticks”にし,次いで“Select / Atom”でLP以外の原子を選んで“Display / Ball & Stick”に指定する操作を繰り返す必要がある(LPの選択ができないため)。
 通常の表示では全原子が指定した表示モデルになるため,例えば以下のようになる。2次元表示では“LP”と表示される。

※ 高分子など“LP”が含まれている分子については,“Electrostatic Potential”や“Molecular Lipophilicity Potential”などの表示は,計算時にエラーになるため実行できません。ご注意ください。

球棒モデルスティックモデル

 また高分子の中には,熱硬化性樹脂などのように結合ヶ所が無秩序になっている3次元網の目構造を持つ場合があり,そのような場合は結合ヶ所の例を示すことしかできないため,例えば以下のように分子を組み立てている(ポリ尿素の例;以下は画像)。

 なお以下のWebページには,いろいろな高分子のChime版モデルが解説付き(英文)で掲載されおり,いくつかの繰り返し単位が繋がった状態のものを参照できる。

The Macrogalleria