本  「知識人99人の死に方」 荒俣宏監修

 

戦後なくなった知識人ということで、手塚治虫、稲垣足穂、森茉莉、澁澤龍彦などは特に詳しく書かれているところが、荒俣版らしいと思ったのだが、あとがきで、荒俣はその偏りを反省している。

「死にざま」を考えるのが当初の目的だったのに、結果は「生きざま」に左右されがちだったというわけである。
文庫版ではその点がすこし改編されているらしい。

そして「平凡な人の死にざま」として父のことを書き、「父の死を見てから、父を尊敬するようになった」と結んでいる。


社会状況や事故など、人は自分の死を選べないことも多い。
しかし与えられた命の使い方を少しは自分で選べるとしたら、「いかに生きるか」ではなく「いかに死ぬか」ということも考慮に値することであり、逆にそれが生き方も変えていくことになるのではないかと、このところ考えていることにシンクロした本であった。