本 カポーティ |
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誰でも10代のころに読んで強い衝撃を受けたけど、あとで読むとそうでもない、という書物がいくつかあるだろう。 わたしが高校生のころに読んでどっぷりはまった三大書物というと、ルソーの「告白」、ジュネの「薔薇の奇跡」、そしてカポーティの「遠い声 遠い部屋」。 大人になって改めて読んで、やはりいいなとは思うけど、何故あんなに大感激したんだろう?というのはぴんとこない。 何故、という理由は実はわかる。 カポーティは特にくらくらした。 松岡正剛の書評がおもしろい。 「ネオテニーは発育過程が「遅滞」することによって、胎児や幼児の特徴がそのまま保持される風変わりな生物学的な現象をいう。あきらかに生物的な戦略だ。」
そういえば、わたしの人形=ネオテニー説というのが以前あったなあ(笑 (上の写真は若き日のネオテニーなカポーティ、しかし結局はふつうのおっさんに・・・涙)
初期の繊細で幻想的な自伝的小説と違って、これは実際に起きた凄惨な殺人事件をたんねんに取材したルポルタージュで、昔読んだときもそんなに思い入れはなかったはずなのに、記憶ではかなり重要で中心になっていた、被害者の少女と犯人が会話するシーンが、実際は数行だったことにちょっと驚く。 そのかわり、当時はそんなに印象に残らなかった、犯人の心理分析の解説を興味深く読んだ。 |