『せたがやスタ研ニュース』1号【事例研究】

 烏山駅前通り振組徹底研究1

 ダイヤスタンプはなぜ強い
 年間発行額3億円の秘密に迫る


 95年度(96年3月決算)の発行額は、3億円を突破、開始以来30年間伸び続けてきた烏山駅前通り振組のスタンプ事業(愛称、ダイヤスタンプ)。
 この事業の実績で生まれた組合員の商店街活動への価値観と事業資金を背景に、会館の建設、多機能ICカードの導入、モール化、活発な教育研修事業などを進め、新規参入する商店が増え続けている。空き店舗や出し惜しみをするスタンプ加盟店の増加に悩む会が多いのが現状だが、なぜ烏山では今も伸び続けるのか。
 当研究会では、2回にわたって、烏山駅前通り振組の現役及び発足当初の役員さんにおいでいただき、ダイヤスタンプを始めたいきさつ、どのように普及させてきたか、などについて苦労話を交えて説明していただいた。それらの説明と提供していただいた資料からまとめた。

■まず、加盟店のための事業というスタンス

・個店の積極活用を促す仕組み
 ダイヤスタンプ成功の大きな要因としては、「自店のためにスタンプを活用する」という店が多く(それも有力店に)、「スタンプ事業は会で決めたからおつきあいで参加する」、という店が少ないことがあげられる。
 組合としても、加盟店独自のスタンプの活用(日曜2倍セール、3000円以上買い上げのお客さんには2倍サービス、台紙での買い物には2倍サービス、創業周年記念セールには5倍サービスなどなど)を奨励こそすれ、「過当競争はやめよう」といった規制を一切していない。
 また、加盟店がスタンプを活用しやすいように、年間数十回ものスタンプイベントを実施している。

・加盟店以外の商品交換はしない 
 会によっては、目玉商品との交換会を実施しているが、ダイヤスタンプの場合は、基本的に商品交換はしないことにしている。加盟店の商品とバッティングさせないため。
 例えば、地方の特産の水産物や青果を大きなイベントで扱ってくれ、という依頼があっても、「食品関係の店の売り上げに響く」、「加盟店を通せば」ということについても、複数の店がある場合に調整の問題がある、といったことから断っている。
 その代わり、バラエティーに富んだイベント企画を多く実施している。

・加盟店の負担を少なく
 組合として、スタンプの2倍セール、3倍セールなどを時々実施するが、その場合は、半額程度を組合が補助している。
 加盟店が回収した満貼り台紙は、いつでも地元の金融機関に持参すれば、現金同様に入金できるなど、加盟店が負担感を持たないようにしている。

・啓発活動、広報活動も積極的に 
 毎年1〜2回は、一流ホテルなどで、外部から講師を招いたり、活用店の体験発表などの研修会を開催し、合わせて食事会を開き、啓発と懇親を深めている。
 また、組合として隔月に1回程度、機関紙を発行、商店街の行事やスタンプのイベント結果などを紹介するほか、上位発行店の年間実績を紙面で発表している。

■有力店が積極的にスタンプを活用

 ダイヤスタンプの場合、年商数億、数十億という有力店が、積極的にスタンプを発行している。95年度の場合、1000万円以上のスタンプを購入した店が5店もある。それらの店の場合、商店街へのおつきあいということではなく、「自店の販促のため」という姿勢で臨んでいる。
 店づくり、品揃え、接客など経営の基本でしっかりしている店が、徹底的に出すので消費者は集めやすい。
 多くの消費者がダイヤスタンプを集めているので、店としてもスタンプを出した方が得、出さないと損、という意識が定着している。
 数年前、ある店が商店街振興組合に加盟したが、「うちは商品で勝負するから」とスタンプは扱わなかったところ、「こちらではスタンプは扱わないの」と多くのお客さんから聞かれたので、すぐに扱うようにしたという。
 ダイヤスタンプ発行高1位のスーパー、シミズヤでは、「毎週日曜に2倍を出している程度で、特に変わったことはしていない」という。店の魅力と相まって、きちんと出せば効果が上がるものなのだ。

■飛躍のきっかけになった15周年の北海道旅行

 ただし、最初から多くの店が徹底的に出していたわけではない。始めてから10年間ぐらいは、「あの店では出さない」といった消費者の苦情や「うちは独自の券を出しているから」とダイヤスタンプを扱わなかった店も少なくなく、役員さんたちの苦労はかなりのものだったという。
 それを解決したのは、税務署との話し合いがきっかけだった。
 当初、預かり金はきちんと残しておこうとイベントは簡単なものしかやらず、預金を増やした。その頃、税務署が「そんなにたくさんあるのはもしかしたら利益ではないか」と商店街の事務所にきた。当時は、税務署もそのあたりがよくわからなかった。理事長、会計士、税務署の人と一緒に相談した結果、過去4年分の未回収額を一定の計算方式で算出したものを最高限度引当金とみなすことに。その時、組合では、限度分を大幅に超えていた。
 それで、税金を払うより、消費者のために使おうということになった。たまたまダイヤスタンプ15周年記念ということで、初めて2泊3日の北海道旅行(台紙50冊)をやることにしたら、大きな反響を呼んだ。
 15周年記念で北海道旅行招待を50冊で計画した。「50冊なんてスタンプを持っているお客さんはいないだろう」と異論もあったが、イベントのチラシはもちろん、マッチ・風船・ポスターも作成し、2年間かけてPRした。その間にお客さんが、一生懸命スタンプを集めるようになり、出さなかった店で出すようになった店が増えた。

■付加価値づくりに成功

 烏山の場合、スタンプの利用価値がバラエティーに富んでいる。買い物はもちろん、地元の銀行、信用金庫での預金、高速道路やバスの回数券、そして通常500円の満貼り台紙が、人によっては1000円にも2000円にも感じられるイベントを毎月のように実施している。
 だからこそ、消費者同士での台紙のやりとりが生まれたりする。

■人間関係づくり

 それらの企画は、事業部(11人。うち理事5人、青年部5人、女性1人)で立案・運営している。
 理事も含め大半が青年部の現役ないしOBである。青年部はスタンプと同じ1965年の発足で、親睦団体から商店街事業の推進部隊に育ってきた。「背伸びの効用」ということで、一流の商店街の視察、一流の講師を招いての勉強会、一流の場所でのパーティーに
メンバーをどんどん参加させるようにした。
 それらの事業で啓発され、リーダーが育っていき、メンバー同士の信頼関係も強まっていった。だから烏山では、同業者同士でも気軽に話し、互いの店をいったりきたりする関係があるという。
 最近では、青年部員の奥さんたちを中心にプチモールクラブという若手女性の会もでき、手話や英会話の教室を開催する一方、スタンプイベントの企画にも参画するようになっている。

iG山駅前通り振組の概要

立地
世田谷区の西部に位置し、京王線千歳烏山駅を挟む南北の街路を中心に複数の通りで構成され、総延長は1732メートル。メーン街路の幅員は12メートル(昭和30年代までは4メートルの狭い通りだった)。

商圏
おおよその商圏は、南北1.5キロ、東西1キロ内の 約7万人。
(1)後背地の人口増加
(2)烏山区民センターという集客核の存在(商店街内の小学校跡地に区が、ホール・図書館・老人施設・広場などからなる施設を建設。広場は、イベント会場にもなる)
(3)毎日午後は車の乗り入れが規制され、歩行者が買い物しやすい環境が確保されている、といった好条件が 91年完成のショッピングプロムナード事業(電線の地下埋設や道路整備など)、スタンプ事業の成果と相まって、日本でも有数の元気のある商店街に発展してきた。

組合員数
96年12月現在の組合員数は約160人。業種構成は、買い回り品、最寄り品、飲食・サービス・その他が30%程度ずつ。バブル崩壊後はチェーン店の増加が目立つ。

事業
スタンプ・ICカード事業を中心に、教育研修事業、月曜から金曜の早朝自転車整理と道路清掃をメーンとした環境整備事業、駐輪場・駐車場事業、広報事業(隔月で機関紙発行など)、組合員への金融事業、ダイヤ会館ホールの運営、保険業務、そして青年部、婦人部・プチモールクラブなど組織活動も活発。専従事務員は5人。

iG山駅前通り振組の歴史

1950年
(昭和25年)
烏山商栄会として発足(それまでは給田烏山商栄会として旧甲州街道沿いの商店と同じ商店会=現烏山振組=に属していた)

1962年
烏山商栄会を協同組合に改組

1964年
烏山駅前通り商店街振興組合と改組

1965年
ダイヤスタンプ開始(30数店で)

青年部発足

1978年
ダイヤ会館竣工

1988年
ICカード開始(当初はポイントのみ。後からプリペイド、クレジットを追加。スタンプと併用)

1992年
中元・歳末の福引売り出しで、福引券をやめ、特別スタンプ(加盟店負担3.5%)に

ショッピングプロムナード完成。同時にCI事業を実施。烏のシンボルキャラクターと『えるもーる』という愛称をつくる

c_イヤスタンプのシステム

発行単位
100円

スタンプ購入@
2円(消費税込み)

購入先
金融機関か事務局

満貼り台紙
スタンプ 320枚(ICは300ポイント)

台紙交換価格
500円

利用方法
加盟店での利用、預金、イベント参加、高速
道路券交換等

加盟店購入義務
なし

加盟店活用規制
なし、倍セールや満貼り台紙のプレミアム交換など自由

回収台紙の換金
地元金融機関で現金小切手扱い

加入金
10万円

cCベント(1996年3月〜12月)
ダイヤスタンプラリー 3月26日〜4月7日
3倍セール 5月10日〜5月12日
母の日、800 円シールセール 5月10日〜5月12日
烏山文化寄席・桂歌丸ほか 5月13日
劇団四季・キャッツ 5月24日昼の部と5月25日夜各S席50名
明治座華カード交換 5月18日
タンネカムマームジク演奏会 6月18日
サマーセール 6月20日〜7月8日
わくわくチャンス 7月9日〜7月10日
からすやま夏まつり 8月1日〜8月3日
ディズニーランドパスポート交換 8月2日
劇団四季・美女と野獣 8月23日昼の部と8月24日夜各S席50名
夏休み親子バス旅行・栃木県烏山町 8月27日
2倍セール 9月13日〜9月16日
フリーの旅
 箱根・伊豆・烏山町の3宿泊施設
9月17日〜12月27日
3コース選択日帰り旅行 10月2日
2倍セール 10月4日〜10月6日
明治座華カード交換 10月8日
健康診断 10月28日
交通傷害保険 10月1日〜31日
ダイヤスタンプゴルフコンペ 11月6日
スタンプ感謝まつり ゲーム大会等 11月23日
800 円シールセール 11月23日
クリスマス名曲コンサート 12月3日
クリスマスセール 12月1〜24日
くるみ割り人形 12月13日
烏山文化寄席 三遊亭円右ほか 12月18日
劇団四季・エビータ 12月20日昼の部と21日夜各S席50名
わくわくチャンス 12月26〜27日

c_イヤスタンプの売り上げ推移

1965年度

 314万円

1970年度

1,214万円

1975年度

3,284万円

1980年度

6,915万円

1985年度

15,150万円

1990年度

22,080万円

1991年度

24,248万円

1992年度

27,170万円

1993年度

28,200万円

1994年度

29,108万円

1995年度

32,157万円

1995年度のスタンプ発行上位20店     ()内は1994年度の発行額

1
ハイマートシミズヤ

6,324万円(5,738万円)

2
味鮮市場よしかわ

5,064万円(4,859万円)

3
新生堂(3店)

2,951万円(2,900万円)

4
Mたちばな

1,380万円(1,321万円)

5
マルヤマ(ファッション)

1,064万円(946万円)

6
Mハラジマ(2店)

874万円(707万円)

7
丸シ果実

576万円(558万円)

8
オキ通商KK(宝石・時計・メガネ)

573万円(455万円)

9
M堀田牛肉店

441万円(415万円)

10
グルメ石坂(酒販)

359万円(204万円)

11
くすりのニシザワ

305万円(315万円)

12
ミナミ薬局

261万円(270万円)

13
シグマ烏山

243万円(201万円)

14
ブレッツェル千歳烏山(パン)

194万円(179万円)

15
タナカシューズ

182万円(137万円)

16
M藤木商店(食肉)

179万円(179万円)

17
木村果実

176万円(203万円)

18
吉むら(和風レストラン)

166万円(159万円)

19
味のハッピー(ドトールコーヒー・2店)

160万円(89万円)

20
大和果実店

158万円(170万円)

質疑応答 中山豊雄、原島博、田中省一の3氏が説明

cXタンプを出すことについて
(問)「スタンプを出してくれない」といった苦情はないか。
 
中山 ごく一部だがある。

(問)高額品の店はスタンプをどのように出しているか。うちも高額品を扱っていて、独自の券を出しているが。
 
中山 うちも高額品を扱っているが、同じようにスタンプを出す。だから1万円分のスタンプを束にしておいてすぐに出せるようにしている。
(問)美容院なんか出しているか。
 
中山 3店ぐらい入って出している。

cCベント関係
(問)夏のセールのカナダの旅行招待経費はどこから出している。
 
中山 福引総数は4万1425本。3.5%負担で総売り上げは4億3000万円の目標でやった。赤いスタンプは全部が福引に使うわけではない。しかし、台紙で5回抽選する人もいる。総発行福引本数の回収率は4割。残りは通常の台紙に貼って使ってもらう。
 未回収の赤いスタンプ3.5円のうち、2円はスタンプのひきあて、1.5円は一般会計の利益にする。景品だけで700万円ちょっと。

(問)カナダ優待はどういう形か。
 
中山 カナダ旅行の経費は1人16万8000円。優待者には16万円負担していただいた。10名の予定のところ13名に(ほかに福引当選者10名)。歳末はヨーロッパ。パリ中心で約10万円。

(問)スタンプラリーのゴム印は統一しているのか。
 
中山 している。組合でつくり、各店に渡した。このセールは、各店を知ってもらう意味で効果がある。お客さんがまちを再発見してくれる。ふだん、スーパーしか利用しないお客さんが八百屋や肉屋を再発見してくれる。こんなところにこんなおいしいケーキやがあったとか。それで加盟店からは、「ちょくちょくやってくれ」と要望も出ている。春休みにやると家族で回ってくれる。加盟店からは参加費などはいただいていない。

(問)チラシの経費は。
 
田中 チラシの枚数は1回3万5000枚。経費は折り込み料まぜて100万円ちょっと。印刷(多色刷り、新聞紙大)が63万円。制作が30万円。折り込みが 13万円。
(問)チラシは年何回ぐらい。
 
中山 月1回ぐらい。3つぐらいの企画を同時進行させる。

(問)旅行招待などには商店街の人はついていくのか。
 
中山 年配の方が多い場合はついていくことが多い。事業部11名のうち2、3人が交替でいく。日帰り旅行には1人平均1万8000円ぐらいかける。お客さんの負担は3分の1ぐらい。栃木県烏山町への旅行では、家族連れで川遊びを実施したので日本女子体育大学の野外研究室の女子学生をバイトに頼んだ。若い人が多く参加する旅行は、参加者が役員の同行をいやがる。旅行代理店に任せたほうがいい。
 ゴルフは好きな人がたくさんいる。カップをつくって、景品にはスタンプ 冊分に糊、台紙をつけた。

(問)旅行の企画などはプロがいるのか。下見などはやるのか。
 
田中 旅行は代理店が企画をいくつか持ってくる中から、いくつかに絞り、事業部会で決める。普通、下見はやらない。ただ、プチモールがやったこの秋のイベントは初めての関係もあって下見をした。

(問)年間のスタンプ宣伝やイベント費用はいくらぐらい。
 
田中 4000万から5000万円。

(問)イベントのアイデアは。
 
田中 烏山に視察に来た団体や理事長の講演先でいろいろいいイベント企画を教わることもある。小さい会でも結構魅力的なイベントを実施している。できるところからやるスタンスで。
 
中山 旅行などのイベントは、経費をかけても、満足されるものにする。いい企画・食べ物・飲み物などで配慮をすると口コミが広がる。

(問)健康診断を商店街でしているのは珍しい。
 
原島 組合員の福利厚生事業として10年ぐらい前からしている。お客さんには数年前から。

(問)組合員がスタンプイベントに参加するのは認めている?
 
田中 基本的には認めている。組合員も消費者だから。ただ、朝早くから行列ができるようなイベントに組合員が出るのはほとんどないと思う。昔は多少あったらしいが。

cCベント時の役員の動員体制
(問)盆踊り大会で3日間、スタンプの交換会や夜店をやったというが、うちでは1日だけの交換会でも、役員の出動に苦労する。どういう協力体制でやるのか。
 
原島 青年部員が50人いるが、当日だめでも次の日に出るようにしている。日にちが決まれば、皆さん出てくる。盆踊りの場合は、模擬店に大学生高校生のアルバイト50人を使った。バイト料は90万円。
(問)そのへんがうちと違う。誰かに任せておけばいいという感じがある。
 
原島 模擬店に青年部員で出るのは8割ぐらい。
(問)店を閉めて出てくる青年部員もいるのか。
 
原島 それはない。店を第1にしてもらうようにしている。ただ、アルバイトを頼んで自分がイベントに出るような例はある。

r元や歳末の福引の場合
(問)サマーセールの特別スタンプの負担は3.5%というが、期間終了後の返券は受け付けるのか。また、あまったスタンプは次の福引に使えるのか。
 
中山 返券は受け付ける。ただし、束単位で。サマーセールはスタンプ加盟店以外の店も参加できるが、実際にはそれらの店からの参加は少ない。特別スタンプは次の福引にも使えるが、使う人は少ない。通常の台紙に貼れることもあるので。
(問)夏や歳末の福引売り出しに参加するスタンプ非加盟店は少ないようだが。
 
中山 非加盟店の参加は2店ほど。スタンプやってない組合員は物販以外か、フランチャイズ店が大半。パチンコ屋さんでもスタンプを出す店がある。
(問)通常の満貼り台紙でも、夏や歳末の福引に使えるのか。
 
中山 使える。通常の台紙は1冊で5回抽選できる。赤いスタンプは30枚貼りの台紙1冊(3000円分)で1回抽選できるが、抽選に使われるのは半分以下。

bサの他
(問)剰余金はどのぐらい。
 
田中 正確な数字は事務局でないとわからない。1億円ぐらいはあるのでは
(問)スタンプ加盟店への還元は。
 
中山 毎年3月に決算して利益があれば、一部割戻をする。また、年に1回スタンプ研修懇親会を開催して、還元している。

(問)お客さんは集めたスタンプをどのぐらい預金するか。
 
田中 銀行回収は5%ぐらい。イベント回収が少し増えて12%、通常の買い物回収は83%。しょっちゅうイベントやっていても12%。大半は加盟店回収。

(問)シミズヤさんには、回収はどのぐらいいくか。
 
田中 銀行で店別に仕分けをしていないので、各店の回収分はわからない。過去にICカードの回収分を分析したことがあるが、やはり出しているところに多く回収がある。
(問)烏山では年間何千万円もスタンプを出す店がある。そういう店は「出さなかったら、多少売り上げ落ちても、利益が残るのでは」と考えることもあると思うが、どう納得しているのか。
 
田中 シミズヤさんも最初からきちんと出していたわけではないと思う。最初は独自のサービス券を出したり、いろいろ試行錯誤してスタンプにこぎついたのでは。

(問)うちでは加盟店が60数店あるが、出さない店も多い。そういう店に出してもらうには。
 
中山 お客さんに請求してもらうのが一番。魚屋さんなどで手が濡れるからと消極的だった店もあるが、お客さんがスタンプを集めるようになると店は出す。加盟店の場合、出すメリットを考える。一生懸命出せば戻ってくるし、メリットはある。
 スタンプは気長にやっていくこと。
(問)言っていることはわかるが、なかなか。

pャ功のポイントはイベントより、多くの加盟店が出すこと
(問)区内36の商店会が基本的に同じシステムのスタンプをやっていて、年間3億円の会がある一方、1000万未満の会も多い。しかも、減っている会が多い。なぜなのか。
 
田中 スタンプ事業成功のポイントは、イベントの内容ではないと思う。せいぜい、1割ぐらい。まず足並みを揃えて加盟店が出すこと。みんなが出せば9割成功。極端に言えば、イベントはダサイものでもそこそこ成功する。
 スタンプはメリットが出るには早くて3年。華やかなイベントより、地道な事業。長い目でみることが必要。
 シミズヤさんは最初、「うちはグリーンスタンプだからダイヤスタンプはできない」という話だった。それで、特定の商品のみダイヤスタンプ進呈ということをしたり、紆余曲折があった。
 数年前に出店したスーパーのよしかわさんは、「うちは品質と値段で勝負するからスタンプはやらない」と言っていたが、レジで「スタンプがないなら、要らないわ」と帰るお客さんが多いのでスタンプを扱うようにした。

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