『せたがやスタ研ニュース』10号【講座】

 新春スタンプ活用講座
 単純な値引きよりスタンプサービスと組み合わせると大きな効果

■スタンプ負担に見合う売り上げ増とは?
 多くのスタンプまたはポイントカード事業(以下、スタンプと略)の問題として、(1)スタンプを出し渋る加盟店が多いこと(2)加盟店が少ないこと、の2点が共通している。
 これは、スタンプの趣旨をよく理解しないまま(理解してもらわない)で加盟するか、「加盟するメリットがない」という店が多いため、と言える。
 なぜスタンプを理解しない店が多いか、というと、「経費(2%程度)は確実にかかるが、それを補う以上の売り上げがあるかはわからない」と、「面倒」という2つの理由が多い。
 では、2%の負担のスタンプを出して、出さない場合と同じ粗利の売り上げをあげるには、どれだけの売り上げ増が必要か。これは、粗利の率による。例えば、粗利10%の店が新たにスタンプを出した場合は、8%(10%−2%)の粗利で、スタンプ実施前の売り上げをあげる必要がある。
 これは、10%÷8%=125%になり25%増の売り上げとなる。粗利が30%の店なら、7.4%増になる(表1、2参照)。
 ちなみに、2月のスタンプ活用講習会の講師となる東大阪市の岡田たばこ店の場合、粗利は10%で、スタンプ実施前の年商(5500万円)時の粗利を維持するには、25%=1375万円増が必要になるが、同店の場合はそれをはるかに上回る実績をあげている。
 また、厳しい今の時代にあっては、仮に売り上げが横ばいないし減少でも、スタンプをやっていることで、目減りを少なくしていることもある。

u\1 スタンプと売り上げ、粗利の関係

 

(1)スタンプ
  実施前

(2)スタンプ
  実施後
  同じ売上

(3)スタンプ
  実施後
   同じ粗利

(1)─(3)
の売上伸び率
年間販売額

5,500万円

5,500万円

6,875万円

25%

スタンプ負担率

0

2%

2%

 

スタンプ負担額

0

110万円

137.5万円

 

粗 利 率

10%

8%

8%

 

粗 利 額

550万円

440万円

550万円

 


*スタンプ実施後の粗利は、スタンプ負担額を引いた数字とした
*スタンプは全売り上げに100 %つけたとした(実際には、進呈 単位未満の端数があるので、スタンプ負担率は多少低くなる)

u\2 スタンプ実施前と同じ粗利を得るための必要な売り上げ伸び率

(1)スタンプ実施前粗利

(2)スタンプを引いた粗利

(1)と(2)が同じ売上になる伸び率

10%

8%

25.0%

15%

13%

15.4%

20%

18%

11.1%

30%

28%

7.4%

50%

48%

4.2%

*スタンプを実施し、実施前の粗利を確保する売上伸び率=スタンプ実施前売上×粗利率÷(粗利率−スタンプ負担率)

■値引きとスタンプの組み合わせで粗利増!?
 この厳しい時代にそんなことが可能か、と考えると、なかなか踏み切れないのはわからないでもない。
 しかし、スタンプを扱わない  店でも値引きをする店は多いのではないか。値引きの場合はとても2%では済まない。それなら、スタンプと値引きを組み合わせて粗利をあげることを考えたほうがいいのではないか。スタンプに価値があればそれが可能なのである。
 例えば、『値引き20%』と『値引き10%に2%のスタンプ5倍』では、どちらが得だろう。後者のほうが得なのである(表3参照)。
 問題は、お客が後者を選ぶような付加価値づくり。それは必ずしも、大盤振る舞いをすることではない。
 更にスタンプの価値が高まれば、10%値引きよりも、スタンプ3倍サービス(6%負担)を消費者が選ぶということも十分ありうる。
 もちろん、スタンプだけで売り上げが上がったり、売り上げ減を防げるわけではない。各店の品揃え、接客、店づくり、商店街全体の魅力がないと、せっかくのスタンプも生きてこないことは言うまでもない。それらの基本的な条件がある場合に、スタンプは差別化の大きな武器となる。

u\3 値引きとスタンプの組み合わせ例
       *スタンプは100 円に1枚進呈。店負担は売り上げの2%、値引前売値1万円の場合 

(1)スタンプ実施前

値引額

売り上げ

スタンプ
負担額

値引きプラス
スタンプ負担

負担率
合計
30%OFF

3,000円

7,000円

0円

3,000円

30%

28%OFF+スタンプ1倍サービス

2,800円

7,200円

144円

2,944円

29.4%

20%OFF+スタンプ5倍サービス

2,000円

8,000円

800円

2,800円

28%


・サービス分売り上げが年間1,000万円分なら、30%値引きのみより、「20%OFF+スタンプ5倍サービス」のほうが20万円分売り上げ(利益)が多くなる。
・しかも、加盟店でありながら、「値引きだからスタンプを出せません」などの説明も不要になり、「あの店は値引きでもスタンプをたくさんくれる」という評判も可能。
・スタンプの付加価値が高ければ、利益率をあげる様々な工夫ができる。

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