『せたがやスタ研ニュース』13号【事例】

 北九州市の地域スタンプ会社解散から読み取るもの
 なぜスタンプかの原点確認と未回収分の対策を

■加盟店数と発行額が大幅減、回収額が上回り、経営破綻に
 「7月13日に北九州市のスタンプ会社、ダイリシールが、予告なしに実然解散、スタンプは紙屑に」という記事が、7月15日の朝日新聞西部本社版に掲載された。
 加盟店への通告は、文書で13日午前中。「台紙の換金は13日の午後5時」という突然のものだった。加盟店と発行額の大幅減少、回収率の増加に伴う財政破綻が解散の理由。
 加盟店はピーク時120店近くあったが、最近では47店に減り、最高4000万円近くあった発行額も、最近では1000万円台に激減。一方、回収率は年々高まり、最近は回収額が発行額を上回るようになっていた。
 予告期間を設けず突然の解散としたのは、「取り付け騒ぎになるから」。
 要するに、回収される台紙の換金に応じられないためだ。
 このスタンプの仕組みは、100円買い上げに1枚進呈、360枚で500円相当の加盟店での買い物、イベントなどに参加できるという地域商店街型。会社は74年に地域の8商店街、1小売市場のメンバー104店が1口1万円ずつ出資して結成した。

■スタンプは節約すべき経費? それとも販促のための経費?
 今回の例で問題になるのは、
(1)加盟店数の激減
(2)回収額が高まった場合を想定せず十分な引当金をとっていなかったこと
(4)会社幹部(加盟店でもある)と大半の加盟店(一般株主)の意志疎通が不十分だったこと、などだ。
 加盟店数の激減は、廃業する店が増えたことと、消費低迷と競合激化に伴う利益源少対策として、スタンプを出さない店が増えた結果と思われる。
 本来、スタンプ(ポイント)は2%程度の経費で、売り上げを伸ばし(減少の歯止めとする)、利益率を高めるための365日の販促事業だが、ダイリシールの場合は違った。
 消費低迷と競合激化は全国どこにも共通する傾向だ。
 世田谷区でも、加盟店が増えず、きちんとスタンプを出さない加盟店が増えている会は少なくない。
 なぜ、共同でスタンプ(ポイント)を行うのか、スタンプ(ポイント)を通じて消費者とのつながりを深め、できるだけ多くの店の販売促進につなげていくにはどうすればいいのか、という原点を追求すべきだろう。

■未回収分の引当金確保を
 加盟店が減り、スタンプ発行額が減っても、100%の回収に備えておけば、「突然解散して、加盟店や消費者の信用を失う」ことにはならない。
 実際問題として、人口の移動が多い大都市部では、回収率100%ということはありえないし、発行5年目以後の未回収分は引当金とみなされず、収益として課税村象になるという問題点もあるが、高率の回収率に備えておく必要があるのではないか。 本誌編集部 (有)商店街情報センター・樋口

スタンプを出さないことも不当表示で指導対象に?

 公正取引委員会の景品表示監視室というところから小社に電話があった。
 「北九州市のスタンプ会社の解散について、そちらで出している『商店街通信』の最近号でコメントが載っていると聞いた。その部分をFAXしていただけないか」という用件だった。
 「突然の会社解散は、本来、消費者が交換できるスタンプが紙くずになり、不当表示に当たるかもしれない」ということのようだ。
 だが、スタンプ加盟店が正当な理由もなくスタンプを出さないことも、不当表示に該当する。消費者が公正取引委員会に訴えたら指導の対象になる。
 「多くの店が参加しているほうがいい」に決まっでいるが、趣旨をよく説明して、徹底して出せる店だけに加盟してもらう、加盟店には、「スタンプを出さないことは、消費者の信用を失うだけでなく、公取の指導対象にもなる。配達や値引きなどでスタンプを出さない(本来は出したほうが得なのだが)場合は、その説明をする」ことの周知徹底も必要だ。(有)商店街情報センター・樋口

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