『せたがやスタ研ニュース』2号【事例研究】

 烏山駅前通り振組徹底研究2

 ダイヤスタンプ発足当初の役員、並木、山田両氏に聞く


 第2回は、ダイヤスタンプ開始当時から役員として苦労された並木文衛氏(現在、烏山駅前通り振組副理事長で洋菓子と喫茶のなみき経営)と山田了功氏(ダイヤスタンプ2代目の部長で愛知屋ふとん店経営)のお2人にきていただいた。当初の苦労話と質疑応答を報告しよう。

並木氏と山田氏の話しから
mナ初の10年は定着に苦労
 スタンプをやる以前は特売などを商店街でやっていた。それに対して、当時の理事長が「各店が乱売をしていては商店街はだめになる」と提案してスタンプを始めた。
 最初の加盟店は当時の組合員の約半数、30数店だった(現在は94店)。
 入会金は1万円(現在は10万円)とし、それで台紙やスタンプの印刷その他の準備に使った。

c}イクロバスを運行
 初めのイベントはバス旅行だった。次にマイクロバスを購入し、運転手を雇い、毎日、午後1時ごろから周辺を巡回し、駅の方へ来るお客さんを送迎した。ところが、最初の頃は学生や通勤の人が多く、肝心の買い物客の利用
が少なかった。それで、スタンプを2枚ぐらい料金箱に入れていただき、運転手さんが、スタンプ、イベントのP
Rなどをした。これは好評だったが、バスの老朽化や運輸省の指導などもあり10年ほどでやめた。
 箱根の岡田旅館と提携して、平日ならいつでも行けるようにしたことも好評だった。

k齒出て加盟店看板はずす
 開始当初は半分程度しか加盟店がなかったので、お客さんにわかっていただくために袖看板をつくった。ところがスタンプを出さない加盟店が半分近くもあり、お客さんから「出さないなら看板はずして」という苦情が出た。それで役員会ではずすことにした。昭和53年頃までお客さんから苦情は結構あった。

iチ盟勧誘には何度も回った
 苦労したのは「手が濡れる、おつりを出すのが面倒」などの理由で生鮮食品の店になかなか協力していただけなかったこと。思わず、「お札もらわないでバラ銭で商売したら」と言ったこともあった。
 消費者懇談会をして、お客さんからそういう店を指名してもらうなどして意識改革に努めた。未加盟店の勧誘には何度も回った。
 急に伸びたのは昭和54年あたりから。税務署から、「5年以上の預かり金は課税対象にする」という指摘があり、イベントにどんどん使うことにした。それでお客さんが集めるようになり、お店のほうも出さざるを得なくなり、スタンプの売り上げが増えた。

iチ盟店研修会を毎年開催
 加盟店の啓発のため、加盟店研修会
(食事会)をやった。当時の年間発行額は3000万円だったが、「4000万円にしたい。それには加盟店に積極的に出してもらうこと」と、中華料理店で最初の研修食事会を開催した。
 その時に、参加費として1店500円ぐらいいただいた。しかし、帰りに車代として500円を出したので実質負担は0。35店ぐらいに寄っていただいた。以来、毎年実施している。

◆割り当ては逆効果なのでせず
 各店へのスタンプ割当は一切していない。割り当ててスタンプを買ってもお客さんに出さず、イベントに自分で使ったり、懇意のお客さんにあげられてはかえって逆効果になるからだ。

質疑応答 並木文衛、山田了功、田中省一の3氏が説明

k@関紙で全店の実績発表

(問)生鮮三品の店がなかなか入ってくれなかったというが。
 
山田 組合の機関紙で、消費者懇談会での苦情を載せたり、直接、消費者から言ってもらったことも。1人のお客さんに出し渋ると、10人のお客さんを失うという話を掲載したりした。全店のスタンプ発行高を載せたこともあった。勇気が要ったが、苦情はなかった。それで、「同業のあの店には負けたくない」という競争心を起こす店も出てきた。
(問)うちの商店街の消費者アンケートで、きつい意見があり、「これはまずい」と遠慮したこともあったが、載せたほうがいいですね。
(問)やめた店はあるか。
 
並木 ある。出さないならかえって入ってくれないほうがいい。

t加盟店対策で多くの会に悩み
 (問)よく売っている肉屋さんが「スタンプはコストがかかる」と、扱ってくれないので困っている。きのうもあるお客さんが「あの肉屋さんが出してくれたらいいのに」と話していた。しつこいぐらいに言ってきたのだが。でも、あまり言うと気まずくなり、街づくりへの協力もしてくれなくなるとまずい。どうしたらいいかわからない。
 
田中 自分の商品に自信のある店はなかなかスタンプをやらない。烏山でもそういう店があった。
(問)批判された店はスタンプをやめないか。
 
山田 やめない。そういう店でも納得すると一生懸命になる。
 
並木 奥さんを説得したらどうか。
 (問)ところが、そこの奥さんは婦人部の会合に出てこなくなった。ご主人から「会合に出るとスタンプでいじめられるからやめろ」と言われたようだ。難しい。

(問)烏山でスタンプ非加盟店で売れている店はあるか。
 
並木 チェーン店にはある。組合にも入ってない店がある。シミズヤさんはダイヤスタンプ開始から6年間ぐらいは加盟しなかった。加盟してからもしばらくはグリーンスタンプと併用していた。

l果のあった消費者懇談会
(問)消費者懇談会はどのように運営しているのか。
 
山田 参加者は回収した台紙から主婦 数人を選んだ。事前の打ち合わせはせずに何でも言ってもらうようにしたら、「どこの店は出さないのよ」と名指しで言われた。開催は年に1回ぐらい。お礼はお茶とケーキ、お礼は足代として2000円ぐらい。時間は昼間の2時間ぐらい。
 
田中 私が最初に出た時は、「あの店はどうだ、あーだ」と言われるのがこわかった。最近の懇談会ではそういう苦情もなくなったが。
 
並木 消費者の方も勉強しているしこわかった。組合からは理事長やスタンプの役員らが参加した。
 
田中 消費者懇談会の結果などは機関紙に載せたり、1、2枚の紙にまとめ、お知らせとして配ったりした。

(問)烏山さんでは台紙のスタンプ枚数を増やす予定はあるか。
 
田中 来年度からICカードを新しくするので、その際に増やすことを検討している。今のICカードは300ポイントで満点だが、スタンプは320枚でおかしいし、来年は消費税も上がるので。
 
並木 何かを決める時は、事業部会で検討してから理事会に諮るので、スムースに行っている。

mjz品でも値引きより効果
 (問)高額品の店では値引きが多いがスタンプをつける店は多いのか。消費者懇談会で話が出ても、業種によっては出せない店もあると思うが。
 
山田 うちでも、「配達にはつけない」、「大きいものにはつけない」など協力度の悪い店はあった。
 
並木 高額品でも、安くするよりスタンプを多くつけたほうがお客さんのありがたみは大きい。各店の売り出しも、組合の売り出しをいかに利用するかを考えればいい、という考え方でやっている店が多い。
 
山田 隣で買ってもくれる、あそこで買ってもくれる、でないとスタンプはまずい。

ooすことでお客が来る
 
田中 「スタンプを出しても、うちでは台紙を使ってくれないから効果がない」という意見もあるが、それは違
うと思う。台紙で買い物してくれなくても、「スタンプをきちんと出す店だから」と現金で買い物してくれればい
いのではないか。「2倍出すからいつもより多く買ってください」というアプローチもできる。
 (問)その通りだと思う。お客さんがもらった時点で喜んでくれればそれでいい。ただ、加盟店の多くはそうは思わない。一方で、スタンプはあまり出さないが、台紙の回収は結構多い、といった店もあることはある。

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