『せたがやスタ研ニュース』29号【集中セミナー】

集中
セミナー

 第1回集中セミナーを振り返って

 課題は山積だが、お客との良好な関係づくりと事業の評価がカギ


 スタ研では、今年度から月例の全体会をやめ、年に2回程度、集中的にセミナーを実施する方式に改め、その第1回を今年の6月7、11、14日の3日間、実施した。参加者は7日27名、11日22名、14日18名。
 今回は、「中里通り振組のスタンプ事業の現状と課題、解決策を探る」というテーマで取り組んだ。現状と課題までは確認できたが、解決策までは進まなかった。課題は、いずれもスタ研設立当初から繰り返された質問や悩みであり、全国の商店街(地域)スタンプ事業に共通する問題だ。背景には、商業集積としての魅力等商店街の構造的問題もある。                                 
 (文責・(有)商店街情報センター 樋口泰雄)

■変わらぬ課題
 
出さない店のことで気をもむより、スタンプの魅力付け、積極 的な店の支援に神経を
 3日間のセミナーで明らかになった課題は、次の諸点。
(1)加盟店の活用促進、出し渋り防止策(説 得法)
(2)飲食店やサービス業、高額品扱い店の 促進策
(3)新規加盟店の増加策
(4)少ない経費で効果的なイベント企画・付加価値づくり
(5)加盟店への台紙(ポイント)回収促進
(6)消費者へのスタンプ事業の浸透
(7)健全財政の維持
(8)顧客情報の活用
 いずれも全国のスタンプ事業に共通し、「スタンプを出さない店をどうするか」などは永遠の課題といえる。
 「おたくの店にも商店街全体にもマイナスになるのだから、出せないならスタンプはやめたら」とは同じ商店街の中では非常にいいにくい。といって、「毎月最低1万円分のスタンプは出す」といったノルマを決めても本人が納得しない限り、ノルマ以上の分は出さないし、家族で使ったりする。人によってはノルマも守らない。
 強制力のない商店会組織の宿命ともいえる。
 このあたりを、中里通り振組の茂木理事長は、「商売への考え方も、性格も様々な経営者の集まりである商店会をうまく運営するのは、結局はいかにいい人間関係をつくるかだと思うが、それが難しい」と説明する。

■出さない・参加しない理由
 スタンプの課題の定番ともいえる「スタンプを出さない店」があげるのは、おおよそ次の理由だ。
(1)センス(または味や価格、信用)で勝負しているのでスタンプなど必要ない(ファッション関係の小売店、美容院、飲食店など)
(2)高額品を主に扱っており、お客さんが値引きを喜ぶ(呉服や家具、家電店など)
(3)スタンプ経費の元をとれない
(4)地元のお客が少なく(あるいはたまにしか買い物しないお客が多く)、スタンプを集めない
(5)地元のお客が大半だが、お客さんが喜ばない
(6)手が濡れるのでスタンプは出しにくい(魚屋さん、豆腐屋さんなど)
 これらは多くが、経営者の考え方・取り組み方次第といえる。
 というのはどのケースでも、活用・成功している店があるからだ。
 そういう店に共通しているのは、
 ・経営に意欲がある(それなりの品揃え、店づくりをしている)
 ・お客さんとの対話やサービスを重視している
 ・そのうえで、スタンプを補助的手段として活用している
 ・だから、スタンプを出すことがあまり苦にならない
 など。

■GSや葬儀店などどんな業種でも活用可能
 広島県神辺町・協組神辺わかば会の発行額トップはガソリンスタンドで年間500万円、2位は葬儀店の400万円。この葬儀店などは数年前、700万円の葬儀にスタンプを出して、喪主がそのスタンプでスタンプ会の旅行に世話になった人を数人招待し、話題になったという。
 ほかにも家電店や呉服店など高額品を扱う店でも、値引きとスタンプを組み合わせて、むしろ粗利をあげている店すらある。
 飲食店では、烏山駅前通りの吉むら。パチンコ店では同・バンバンなどがスタンプを活用している。
 三軒茶屋銀座では歯医者さんが1軒加盟している。
 粗利の低いタバコ屋さんでもスタンプで売り上げを2倍以上伸ばした店がある。
 スタンプはどんな業種でも、お客との良好な関係づくり、来店促進の武器となりうるのである。
     ◇     ◇
 スタンプ事業がどういう状態なのか。発行額、回収率と回収の内訳、活用している店とそうでない店などについて、加盟店や消費者の声などを参考に、きちんと評価していくことが大事なことではないか。発行額、回収率と回収の内訳、活用している店とそうでない店などについて、加盟店や消費者の声などを参考に、きちんと評価していくことが大事ではないか。

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