商品券・プリペイドカード実績調査結果要旨
 1998年度の動き
 
*決算月は会により異なりますが本調査では、98年4月から99年3月までの1年間としました

・98年度全体は『商店街通信』41号に掲載
・98年4月〜6月は39号
・98年7月〜12月は40号
・99年1月〜3月は41号

■発行回収状況
 回答28団体の総発行額は、前年比15%増。これは、板橋区振連、世田谷区振連、協組泉南商品券連盟、協組草津スタンプ会などプレミアム商品券の発行によるところが大きい。
 長岡市共通商品券協組や協組新潟市商店連合会では、大型店利用が増えている。

■主な動き
・プレミアム商品券の発売
 今年度の特徴として、商品券を額面より安く売る、プレミアム商品券の発行をする会が増えたことがあげられる。東京都・板橋区、世田谷区、埼玉県川口市、長野県・須坂市、大阪府・泉南市などの組合が発行した。行政等が地元消費の促進と地域商業振興を目的に、プレミアム分を助成する例が各地で見られた。回答団体以外でも、全国各地で実施する例がみられた。
 ただ、埼玉県川口市など限度額を高く設定した所では、通常の消費というより、車の購買のために購入し、一般商店での消費にあまりつながらなかったという現象も見られた。
 世田谷区振連及び協組柏崎市商店連合会は共に、7月1日から、1割分のプレミアムをつけた共通商品券を発売。共に、通常の商品券と違うデザインで、世田谷区振連は総額1億6500万円分、協組柏崎市商店連合会は2億円分。プレミアム分については、世田谷区は3分の2、柏崎市は全額補助。
 買い上げ限度額は、世田谷区が1人10万円以内、柏崎市が50万円以内。
 協組柏崎市商連では、1人当たりの買い上げ限度額が50万円と多く、しかも、ラジオや新聞で広告を打つなどしたこともあって、1日目の1時間足らずで完売した。同組合では、同じ新潟県の糸魚川市や三条市のプレミアム商品券がしばらく売れ残ったということを聞いていたので、「何とか早く売り切る」ことを重視、マスコミでの広告やオープニングのイベントなどに経費をかけたが、結果論としては、「そんなに経費を使う必要もなかった」。市の補助金を使うということで、市内の全商店約1500店に参加の案内を郵送したが、この時だけの参加は約250店(大型店ではイトーヨーカ堂と長崎屋などが参加)。販売所は20カ所で、販売手数料はなし。換金手数料は一律2%。ただ、家族できて、2人、3人と買っていく人がいたりして、購入限度額50万円ということには、「もっと多くの人が買えるように限度額を低くしてほしかった」などといった批判も出たという。
 世田谷区振連では、2日間で44カ所の販売所中38カ所で売り切れ、残りも7日目で完売。1人当たりの購入限度額は10万円。昨年12月に続いて2回目。

9月20日から1割引きで販売
 板橋区振連では、9月20日から1割引きで販売。区が不況対策として、1割引きの半分(500 万円まで)を補助する。残りは区振連が10周年記念事業の一環として負担。

・地域振興券の発行
 国が市区町村単位での地域振興券発行の予算をとり、今年1月末の島根県浜田市を皮切りに始まった。ただ、対象が、15歳以下の子どもと65歳以下の一定額以下の所得の人に限定され、額も1人2万円、日本全国で7000億円ということ、景気の先行きは相変わらず不透明、失業率は高まる一方、ということで、新たな消費に回すより、現金で買っていた分を振興券で買ったという消費者が多く、消費の拡大にはあまりつながっていないとみられること、換金期間が2〜4週間と長く、現金仕入れの店にとっては問題もあったなどで、それほど効果は上がっていない、という評価が一般的だ。

商品券事業中止へ
 この4月から、協組富山市商店街連盟が共通商品券の発行を停止した。売り上げが伸び悩み、超低金利時代が長く続いていることなどで、財政的に厳しく、今後、好転できる見通しがないことから発行停止を決断したようだ。
 これで、金沢市、福井市、富山市と北陸3県の県庁所在地の商品券発行団体は全て商品券事業を廃止したことになる。

・新規に発行へ
 広島県・協組神辺わかば会が9月から共通商品券事業を開始する。町が敬老祝い品2000万円分全額を今年から商品券にすることがきっかけに。
 館山市でも、敬老記念品を商品券にする動き。館山市商業協組が、以前から市に、敬老祝い品を好きなものに使える共通商品券にするよう働きかけてきた成果。金額は900万円程度の予定。
 はちのへ共通商品券協組は10月に共通商品券のデザインをリニューアルする。

・プリペイドカード中止
 春日部市商業協組は98年9月末で発行停止。回収は99年3月末で 中止。

・商品券買い上げにポイント
 
串本リリースタンプ会協組は、11月2〜30日に共通商品券1万円分買い上げごとに同協組発行のポイントカード200 ポイントを進呈した。商品券とポイント両方の宣伝、販促を兼ね、毎年2回程度実施している。

・『お客様懇談会』実施
 はちのへ共通商品券協同組合では、7月に初の『お客様懇談会』を実施。参加者からは、「どの商店街、どの大型店でも使えるので贈答用に最適」などの声と共に、「もっとPRに力を入れるべき」、「周辺市町村にも加盟店を拡大して」などの要望が相次いだ。また、同協では99年7月に10周年を迎えるが、商品券のデザインを一新するため、デザインを公募している。

・別会社設立し、保険など
 
秋田市共通商品券協組は5月に『有限会社ほっぺちゃん』を設立し、火災保険の代理業などを行う。

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