| No.027 | 投稿日時: | 2003/01/17(金) 22:02 <親記事> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
JIS 改正に関する公開レビューの御案内
- JIS X 0213 改正原案の公開レビュー -
http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/review/0213review.htm
上記の通りJIS漢字の改正原案の公開レビューが始まっています。
JIS漢字の例示字体を国語審議会の答申で出された「表外漢字字体表」に変更する改正です。
「噂」などの字体が昔ながらの字体に変更されるようです。
最近のパソコンでは、表示と印刷を同じフォントで行うようになっているので、表示と異なる文字が印刷されるという事は無いから、JIS83 の改正の時のような混乱は起きない?
| No.028 | 投稿日時: | 2003/01/22(水) 22:13 <↑親記事:No.027> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
国の漢字施策とJIS漢字改正について、次のページが内容が整理されていて勉強になりました。
文字の使い方は誰が決めるのか?
http://www.ne.jp/asahi/yabe/masafumi/mirai/mirai_pr01.html
| No.030 | 投稿日時: | 2003/02/03(月) 01:33 <↑親記事:No.027> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> <URL> |
> 最近のパソコンでは、表示と印刷を同じフォントで行うようになっているので、表示と異なる文字が印刷されるという事は無いから、JIS83 の改正の時のような混乱は起きない?
同じフォントを使うかぎり、表示と印刷とは同じ結果になりますが、過去の文書を再現・再販する必要のある出版印刷用の原稿データ、辞典や人名表記などに関する文書、その他字形の再現が必要とされるデザイン的な表現媒体、などでは深刻な非互換性が生じる危険をはらんでいます。
OS標準搭載のフォントがあるバージョンから突然字形を新しいJISに合わせてしまったら、昨日までの字形と違う字形が今日現れるということになります。
また、作家・デザイナー・編集者・出版者など具体的な字体の差異に細かい神経を使う利用者、そのような人々を顧客とする印刷業者などは、この種の恣意的な例示字形の変更に苦しめられることになるでしょう。
過去の字形との切り替えを可能にするメカニズムをフォントやアプリケーション上で実装すれば、非互換性の問題を実装の上で緩和することが可能と考えられていますが、強引に字形を変更したフォントが現れてしまうと、その効果は限定されてしまいます。
字形が知らないうちに変わっていた、という事故が頻繁に生じることを危惧しています。字形の不安定性、字形変更の予測不可能性が大きくなってしまうでしょう。私は、提案されている例示字形の変更に反対するコメントを送るつもりです。このような「積極的な例示字形の変更」は、JIS X 0208:1997の解説が示している、従来の字体・字形の変更には慎重であるべきという、基本的な考え方から逸脱しており、整合性に欠けると思います。
実装者や利用者の文書に発生する非互換性の問題と、それを補償するためのコスト(新しいフォントを購入する必要も生じるでしょう)、などに対する考慮を欠いています。
私は、従来の例示字形を変えることなく、印刷標準字体との対応を参考として示すのみにとどめるべきと考えます。文字をいじって、余計な負担を課すのは、もう金輪際やめて欲しいものです。
山本
| No.031 | 投稿日時: | 2003/02/03(月) 21:57 <↑親記事:No.030> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
山本さん、コメントありがとうございます。
> OS標準搭載のフォントがあるバージョンから突然字形を新しいJISに合わせてしまったら、昨日までの字形と違う字形が今日現れるということになります。
これが一番困りますね。
JIS83 時の教訓が生かされれば、そういうバカな事はしないと期待するしかないだろうと考えています。
> 私は、提案されている例示字形の変更に反対するコメントを送るつもりです。
今回の公開レビューの実施概要は次のようになっています。
http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/review/0213review.htm
-------------------------------------------------------------
●公開レビュー実施概要
公開レビューでは,改正の方針そのものは既に平成13年度に決定しておりますので以下のようなことを検討していただくことを期待しています。
1.改正方針が正確に改正原案に反映されているかどうか。
また,規格の使用者に誤解を与える可能性のある表現がないかどうか。
2.改正原案の発行に当たり,既規格改正が必要な箇所のもれがないかどうか。
-------------------------------------------------------------
例示字形の変更に反対するコメントを送る事はかまわないと思いますが、例示字体の変更はすでに『決定事項』のようです。
JIS 漢字の改正が行われて「例示字体」の変更が行われても、今での字体をそのまま採用する事は規格上問題ないようですから、メーカーでは今までどおりの字体を採用して、「印刷標準字体」が包摂されている区点位置で「印刷標準字体」が必要な所でのみ字体切替などで対応していただきたいですね。
| No.032 | 投稿日時: | 2003/02/03(月) 23:56 <↑親記事:No.031> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> |
返信に感謝。
> これが一番困りますね。
> JIS83 時の教訓が生かされれば、そういうバカな事はしないと期待するしかないだろうと考えています。
いや、そういうバカなことをやるのが、今回の提案です。
> > 私は、提案されている例示字形の変更に反対するコメントを送るつもりです。
>
> 今回の公開レビューの実施概要は次のようになっています。
>
> http://www.jsa.or.jp/domestic/instac/review/0213review.htm
> -------------------------------------------------------------
> ●公開レビュー実施概要
>
> 公開レビューでは,改正の方針そのものは既に平成13年度に決定しておりますので以下のようなことを検討していただくことを期待しています。
>
>
> 1.改正方針が正確に改正原案に反映されているかどうか。
> また,規格の使用者に誤解を与える可能性のある表現がないかどうか。
> 2.改正原案の発行に当たり,既規格改正が必要な箇所のもれがないかどうか。
> -------------------------------------------------------------
>
> 例示字形の変更に反対するコメントを送る事はかまわないと思いますが、例示字体の変更はすでに『決定事項』のようです。
このことには、必ず反論せねばなりません。前回の公開レビューにおいて、公開されているコメントの内半数が、例示字形の変更に対して反対、または慎重な対応を求めるものでした。これを十分な理由説明なく黙殺しているのが、今回「決定」されたといわれる改正原案です。手続き論だけで、反対意見を封じることは、断じて許されないと思います。この点はコメントの際に言及せねばなりません。
> JIS 漢字の改正が行われて「例示字体」の変更が行われても、今での字体をそのまま採用する事は規格上問題ないようですから、メーカーでは今までどおりの字体を採用して、「印刷標準字体」が包摂されている区点位置で「印刷標準字体」が必要な所でのみ字体切替などで対応していただきたいですね。
従来のJISの改定において起こった現実を見ればあきらかなように、例示字形の変更は、実装に対して大きな影響を与えるものです。そのために、同じ包摂規準をもとに字体の選択を行ったJIS X 0208:1997は字体・字形の変更に慎重であったわけです(同規格の解説を読めば分かります)。
それが、今度は「積極的に例示字形を変更する」などと、まったく従来の方針と異なることを述べており、印刷標準字体を強引に実装に反映させようという、暗黙の意図が明らかです。このような混乱と負担を強いる変更には断固反対せねばなりません。83JISを含め、過去の国語国字改革がいかに大きな負担と、国論を二分するような激論を喚起したかを想起すれば、たとえ国語審議会答申といえども、国民的な議論が成熟するのを待つ必要があると感じます。それをJISに反映するにあたっては、従来の方針を踏襲して、また83JISの教訓に学んで、慎重な対応が望まれます。
山本
| No.033 | 投稿日時: | 2003/02/04(火) 22:39 <↑親記事:No.032> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
> > これが一番困りますね。
> > JIS83 時の教訓が生かされれば、そういうバカな事はしないと期待するしかないだろうと考えています。
>
> いや、そういうバカなことをやるのが、今回の提案です。
新JCS委員の委員長は、表外漢字字体表作成の責任者ですから、たぶん実装も変更させたいと考えているのでしょうね。
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/column/ogata/news1.htm
やっぱり、ある日突然、表外漢字字体表に従ったフォントに入れ替わってしまうのでしょうか…
それにしても、このような改正がある事を知っている人はどれくらいいるのでしょう。
ある日突然、変更になってから「聞いてないよぉ〜」と言っても後の祭りですね。
| No.034 | 投稿日時: | 2003/02/05(水) 23:03 <↑親記事:No.033> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> <URL> |
> 新JCS委員の委員長は、表外漢字字体表作成の責任者ですから、たぶん実装も変更させたいと考えているのでしょうね。
> http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/column/ogata/news1.htm
誰が委員長になっても、決めたものはとにかく実装に反映させるのだ、という考え方が貫徹されているのでしょう。つきあわされる方はたまったものではない。
JIS X 0208:1997の解説には、ちゃんと、そういうことはJIS83を教訓にすれば、
やってはいけないことだと書いているのに。愚昧な精神の墓場としか言いようがありません。
> やっぱり、ある日突然、表外漢字字体表に従ったフォントに入れ替わってしまうのでしょうか…
はい。OS標準搭載のフォントは強引にグリフを置き換えて実装されるようになると予想されます。非互換性なんて考えていません。過去の文書や書籍の再版や改訂には大きな支障となるでしょう。現存の文書間のプラットフォーム間の字形の安定性は失われてしまいます。愚かな、あまりに愚かな世の中となることでしょう。
> それにしても、このような改正がある事を知っている人はどれくらいいるのでしょう。
だから、どんな変更をしても正当化できるのです。それは審議済みです。ですべては片付けられてしまうのでしょう。
> ある日突然、変更になってから「聞いてないよぉ〜」と言っても後の祭りですね。
苦しみとコストは、すべて民間に課せられるのです。
例示字形の変更に反対のコメントを送るしかありません。参考として印刷標準字体を併記する程度にとどめるべきでしょう。(これは、これまでのJISの規格を見れば、一番妥当なやりかただと尾もます)。
山本
| No.035 | 投稿日時: | 2003/02/06(木) 23:51 <↑親記事:No.034> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
国語審議会が字体表を出して影響力を持つのであれば、きちんと日本で使われる漢字・国字について体系的に調べ上げて整理して欲しいところですね。そういった基礎的な資料は、JIS漢字に限らず今後の為に絶対に必要だと思いますので。
| No.036 | 投稿日時: | 2003/02/08(土) 01:10 <↑親記事:No.035> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> <URL> |
あの印刷標準字体には疑問点が多くあります。
「いわゆる康煕字典体」とかを規範にするといいつつ、筆返し(「文」の3画目に、明朝体の場合附属している起筆部の筆の返り)を無くしてしまったりしています。
また、なぜ漢民族の手による他の字書を検討することなく、単純に満州族の清朝が作った康煕字典を規範にするのかも説明がありません。
手書きや木版の刊本からの歴史的流れのなかに明朝体の字体もまた形成されているわけなので、日本に通行した活字書体だけを調査対象として活字の字体を論じることができるとも思えません。現実にはかなりの差異と多様性を含む形で字体は存在していると思います。
要するに、表外漢字字体表を発表することが自己目的化してしまっているといえるでしょう。それが仕事だからです。そして、JIS改定は表外漢字字体表で例示字形を置き換えることを自己目的としているのです。それが仕事だからです。
誰もその影響や内容については深く考えているように見受けられません。
山本
| No.037 | 投稿日時: | 2003/02/09(日) 21:06 <↑親記事:No.036> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
国語審議会には多分期待できないだろうとは思っているのですが、どっかで基礎資料として利用できるものを作る必要があると思っています。
きちんと客観的に判断できる資料を作ることなしに、あれこれと表面上を取り繕っても、すぐにほころびが出てきてしまう事でしょう。
> 手書きや木版の刊本からの歴史的流れのなかに明朝体の字体もまた形成されているわけなので、日本に通行した活字書体だけを調査対象として活字の字体を論じることができるとも思えません。現実にはかなりの差異と多様性を含む形で字体は存在していると思います。
まったく、その通りだと思います。
| No.038 | 投稿日時: | 2003/02/09(日) 22:53 <↑親記事:No.037> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> <URL> |
> 国語審議会には多分期待できないだろうとは思っているのですが、どっかで基礎資料として利用できるものを作る必要があると思っています。
...
> まったく、その通りだと思います。
数年で結果の出るような作業ではおそらくないでしょう。
現在の政府にそのような大事業に予算を使おうとする人はいないでしょう。今回のことを考えると、そう思います。
山本
| No.039 | 投稿日時: | 2003/02/15(土) 01:28 <↑親記事:No.038> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
実態を把握しておかない事には、まともな「〜字体表」は作れないと思います。
やる気が無いのであれば、最初から中途半端な「〜字体表」は出すべきではなかったでしょう。
| No.041 | 投稿日時: | 2003/02/16(日) 10:53 <↑親記事:No.039> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> |
> 実態を把握しておかない事には、まともな「〜字体表」は作れないと思います。
> やる気が無いのであれば、最初から中途半端な「〜字体表」は出すべきではなかったでしょう。
まったく同感です。
| No.040 | 投稿日時: | 2003/02/15(土) 01:30 <↑親記事:No.027> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
小形克宏の「文字の海、ビットの舟」
――文字コードが私たちに問いかけるもの
特別編15
JIS文字コードの例示字体変更は、大きな混乱を招かないのか(1)
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp15.htm
上のような記事が出ました。
| No.042 | 投稿日時: | 2003/02/16(日) 11:01 <↑親記事:No.040> |
| 投稿者: | 山本太郎 <E-Mail> <URL> |
> 小形克宏の「文字の海、ビットの舟」
> ――文字コードが私たちに問いかけるもの
> 特別編15
> JIS文字コードの例示字体変更は、大きな混乱を招かないのか(1)
>
> http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp15.htm
この記事は問題の核心を丁寧に追っている労作です。
おそらく後世の科学史家は、一連の文字コード改定による混乱や騒動が、20世紀から21世紀初めの日本における計算機技術に対する一般の無理解を物語る悲喜劇として取上げることになるのかと想像すると、暗澹たる気持ちになります。
山本
| No.045 | 投稿日時: | 2003/02/23(日) 15:16 <↑親記事:No.027> |
| 投稿者: | やの <URL> |
JIS X 0213改正案にコメント送った方がコメントを公開されています。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/pubrev03.htm
詳細に調査されていて大変興味深いコメントです。
著者の福田氏はJIS X 0213制定時の公開レビューにも個々の文字について
考察したコメントを送って貢献されている方です。
また、改正案に基づいたフォントが既に公開されています。
http://gitatsu.hp.infoseek.co.jp/bdf/
私は今やEmacsやktermで当然のようにJIS X 0213を使っているのですが、
変更内容については割とどっちでもいいや ^^; というクチで、フォントが
表外漢字字体表にそうならそれはそれで良いと思っています。
で、どっちでもいいなら敢えて例示字体を変えることもないなぁ、と。
また、JIS X 0213に関してはJIS X 0213メーリングリストというのが
細々と続いていますので、情報や意見などはこちらにも寄せていただけると
個人的にはありがたいです。
http://wakaba-web.hp.infoseek.co.jp/jisx0213-ml.ja.html
| No.046 | 投稿日時: | 2003/02/25(火) 21:16 <↑親記事:No.045> |
| 投稿者: | 森山 将之 |
やのさん、情報ありがとうございます。
> 変更内容については割とどっちでもいいや ^^; というクチで、フォントが
> 表外漢字字体表にそうならそれはそれで良いと思っています。
私も個人的には、そう思ってはいますが、それでは済まない人や分野があるのだろうと思っています。
> また、JIS X 0213に関してはJIS X 0213メーリングリストというのが
> 細々と続いていますので、情報や意見などはこちらにも寄せていただけると
> 個人的にはありがたいです。
> http://wakaba-web.hp.infoseek.co.jp/jisx0213-ml.ja.html
JIS X 0213メーリングリストの存在は知っていました。
しかし、Subject に漢字が使えないという事で入ってなかったかもしれません。
JIS X 0213 に関しては、Windows で使えるようにならないと、なかなか利用しづらい面があると感じていて、Windows の対応待ちの状態だったりします。
しかし、JIS X 0213 は Unicode での利用がメインとなるような気がするので、こちらもいろいろと面倒なので、結局は、シフトJIS などを JIS X 0208 の範囲内で使うのが一番確実だと感じています。