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No.030投稿日時:2003/02/03(月) 01:33    <↑親記事:No.027>
投稿者:山本太郎  <E-Mail>  <URL>

83JISと同様の非互換性が危惧されます

> 最近のパソコンでは、表示と印刷を同じフォントで行うようになっているので、表示と異なる文字が印刷されるという事は無いから、JIS83 の改正の時のような混乱は起きない?

 同じフォントを使うかぎり、表示と印刷とは同じ結果になりますが、過去の文書を再現・再販する必要のある出版印刷用の原稿データ、辞典や人名表記などに関する文書、その他字形の再現が必要とされるデザイン的な表現媒体、などでは深刻な非互換性が生じる危険をはらんでいます。
 OS標準搭載のフォントがあるバージョンから突然字形を新しいJISに合わせてしまったら、昨日までの字形と違う字形が今日現れるということになります。
 また、作家・デザイナー・編集者・出版者など具体的な字体の差異に細かい神経を使う利用者、そのような人々を顧客とする印刷業者などは、この種の恣意的な例示字形の変更に苦しめられることになるでしょう。
 過去の字形との切り替えを可能にするメカニズムをフォントやアプリケーション上で実装すれば、非互換性の問題を実装の上で緩和することが可能と考えられていますが、強引に字形を変更したフォントが現れてしまうと、その効果は限定されてしまいます。
 字形が知らないうちに変わっていた、という事故が頻繁に生じることを危惧しています。字形の不安定性、字形変更の予測不可能性が大きくなってしまうでしょう。私は、提案されている例示字形の変更に反対するコメントを送るつもりです。このような「積極的な例示字形の変更」は、JIS X 0208:1997の解説が示している、従来の字体・字形の変更には慎重であるべきという、基本的な考え方から逸脱しており、整合性に欠けると思います。
 実装者や利用者の文書に発生する非互換性の問題と、それを補償するためのコスト(新しいフォントを購入する必要も生じるでしょう)、などに対する考慮を欠いています。
 私は、従来の例示字形を変えることなく、印刷標準字体との対応を参考として示すのみにとどめるべきと考えます。文字をいじって、余計な負担を課すのは、もう金輪際やめて欲しいものです。

山本


Script : Sylpheed 1.24
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