このおニャン子クラブ7thアルバムは、樹原から山森までの23人が参加したまさにおニャン子最盛期の一枚である。「恋はくえすちょん」まで続いた、「なんだかんだいって明るい」作風を捨て、ついにマイナーが選択されているのだ。また背景も学園ものではなくて、ディスコ帰りという設定にしたようであり、つまり製作側が気分一新をねらった作品であることに間違いはない。またさらなる変化として、ジャケットをハードなものとし、歌詞にボーカルの名前を表示することにもしたのであるが、その変化はなぜか「かたつむりサンバ」には受け継がれていない。 このように、「NO MORE恋愛ごっこ」は、最盛期のおニャン子革新をねらった一枚なのであるが、私が聴いて感じるのは、路線としての名曲「LINDA」の直系という感覚である。
僕らが「おニャン子クラブ」として覚えている雰囲気というものは、大抵明るい曲にあって、それは「セーラー服」であったり「真赤な自転車」だったりするのだが、そうした中に含まれるこういうグッとしまった曲が、実はおニャン子歌謡を軽いだけのものにしない役割を果たしているし、またそれがなぜか胸をうずかせていつまでも忘れられない一曲になっていたりするのだ。それはアルバムの中の流れということでいえば「夏休みは終わらない」や「LINDA」であり、また「間に合うかもしれない」ではないだろうか。そして「NO MORE恋愛ごっこ」もシングルの流れの中でその役割を果たしている。これらの曲は「まだ間に合うけれど・・・」という共通モチーフでつながっていると考え られる。
曲のポイントはなにしろ「♪フウッ」である。これは考えようによっては、コンサートのファンの「♪フウッ」をレコードの段階で先取りしたものであると言えるかも知れない。その成功は「シンデレラのシューズ」によって完成された。【T.Ishida】