高井麻巳子の早すぎたラストアルバム。意味深にして、心底胸が締めつけられるような内容とともにその完成度も特筆に値する傑作である。
　全11曲のコンテンツには、結婚にともなう引退のための「儀式(引退コンサートなど)」をおこなわなかった高井がファンに残した最後のメッセージが全編にちりばめられているように感じられる。中でも「微笑みの中にさよなら」の歌詞中の

『微笑みの中にさよなら　笑顔のわたしだけを覚えていてね　わがままを責めてもいいから　忘れないでいて』

のフレーズには胸が熱くならざるを得ない。また最後の「小さな決心」は高井自身による作詞であるが、冒頭から

『藍色の夜を止めて　そっと伝えたい　隠してた訳じゃない　わたしだけの決心』

と思いを打ち明け、さらに終盤にも

『ずっと迷っていたのよ　胸が痛んでた　サヨナラを口にすれば　ありがとうも言えるのに』

とまさにみずからの本心を明らかにしている。そしてアルバムは結ばれる。

『星のふるえる夜は　きっとあなた想いだす　夜に終りが来ても　忘れない　この想い･･････ずっと･･････』

　以上は筆者の思いこみかもしれない･･･でも「小さな決心」の後半からまみちゃんのボーカルが涙声に聞こえるのはなぜなのだろうか･･･。高井麻巳子にはいまだにこだわりを持ち続けているファンが多いが、そんな理由が分かる気がする、この「Message」。 【T.Ishida】