テンダーレイン/星のせせらぎ

(1987.12.16)ポニー・キャニオン

【レビュー】 【PICTURE】

 レビュー (「特選 今月の一枚」 02年3月 ピックアップ)
 静かな、しかしいつまでも引きつけられる一枚。何が麻巳子ソングの頂点かという議論 をさておけば、「テンダー・レイン」はそのまっすぐな美しさからいって、高井麻巳子らしく、完成された一曲といっていいだろう。

 徹底的に美しさを意識したと思われるこの曲は、「シンデレラたちへの伝言」にはじまる麻巳子ソングの神髄である、その「美しさ」に対して純粋に作り込まれている。これだけ詩的なことばをならべても「浮いて」しまわないのは、やはり高井麻巳子のイメージと歌声によるものであり、それが、コンサートのMCでも語られたような「好きだけど、不安」というテーマともあいまって、ここに麻巳子ソングのひとつの完成形が作られていることが感じられる。

 楽曲では、イントロ部が非常に印象的である。イントロで聴く者の心をつかむことが、名曲の必要条件であるとすれば、その一点においてもこの曲を高く評価して良いと思う。楽器のソロやコーラスなど、全体的にシンプルだが力強い編曲の構成が成功している。

 作曲は、ラストアルバム「Message」のうち6曲を手がけ、麻巳子ソングのエピローグを演出した山口美央子がはじめてつくった。

 今回、新ベストのCDでも聴いたが、もともとのオリジナルが良くできていたせいか、リマスタリングの効果があまり目立たなかったことにも驚かされた。【T.Ishida】