生稲晃子にとっては今回が初ベストということで、コレクションにも、ドライブの友にも悪くない。今までベストがなかったということで、アッコファンなら必ずシングルとアルバムからのお気に入り曲をカセットかMDにして聴いていたとはいえ、リマスタリングして、また曲のレベルを合わせてくれた今回のベストはありがたい。
収録曲としては、ほとんどシングルからであるのだが、アルバムからのチョイスに「あした元気になぁれ」と「オ・メ・デ・ト・ウ!」が入ったのは順当でよい。また、現在では比較的入手しにくい「LUNA
Great」と「ファンキーララバイ」が含まれたのが価値ありか。この結果、アッコの三強(「Japanese...」「あした...」「LUNA...」)がそろい踏みとなり、アッコ初心者にもアピール力のある一枚となった。
アッコのころ('88前後頃)は、ポップスの全体的指向が強めのビートとカリカリのアレンジにうつっていった頃であって、正直に言えばアッコはその「割を食った」のではないかと思っている。アッコの声はやわらかくて角の立たない性質のものだから、どうしても激しいビートにはおいていかれてしまうのだ。個人的には「あした元気になぁれ」は良くできていると思うが、あれ以上にしてしまうとツライ。その代わり、アッコのボーカルは比較的ゆっくりと歌わせても嫌らしさが出ないので「オ・メ・デ・ト・ウ!」は独特のまろやかムードを出すことに成功していると思う。今回のベストでも、ああ、やっぱりこれなんだなと思わせた。
リマスタリングの効果でいえば、「LUNA
Great」のイントロの押し出しの強さにあせった。シングルと違うバージョンかと思ったほど。ただ個人的にはシンセアレンジの「LUNA」のほうが好きなのだが…(参照:LUNA
Great)。あと、続けて聴いてみると、「海になりたい」のイントロ「LUNA
Great」と少し似ていた、ということも一応書いておこう。【T.Ishida】