“私の初恋 ”

上田 真弓

 小学5年生の時に私たちのクラスに転校してきた彼は、檮原の寒い冬でも半パン、その長い足はとても速かった。ドッヂボールも強い。頭がよく、算数がとても得意で暗算はとにかく速い。絵もうまい。ハスキーな声。何をしても目立つ子だったから、女の子の人気者だった。ある日の放課後、教室で、3、4人が集まって“好きな子の名前ベスト5を黒板に書き合っていた。何も知らずに教室に入った私に、「・・君の1番は真弓ちゃんやと。」一人の子が言った。私はびっくりした。ちらっと彼の方を見ると、彼は照れくさそうによそ見していた。そんなことを聞いたその日からやけに彼が気になり、”好き“ってことを意識していたみたい。いつの間にか「私の一番は・・君」って言っていた。二人で『宇宙戦艦ヤマト』の映画を見に行ったこともあったナ。

中学に入学した時、彼は市内に帰ることになりそれでサ・ヨ・ナ・ラでした。きっと彼が私の初恋。

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福重 和宏

 初恋の日々を想ひし  なつかしく

 あのと き時代のこ い初恋のかほりよ いまいちど

 いつまでもわれ私の心に   ほろ甘く

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しーちゃん

初めて出逢う男性は父親ですね。

初恋は父親っていうのにあこがれていましたが、私は母子家庭だったから無理。そうですね…。私の初恋は……・。幼い頃、北海道にいた時、事情があって育ててもらった家でお兄ちゃんとして慕っていた人かな。私は4年生の時、足の手術のために入院していました。その時、そのお兄ちゃんは毎日お見舞いに来てくれました。それが私の初恋でしょうか。今は姉さん女房をもらって幸せに暮らしています。

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田中 恭彦

 僕の初恋と言えるかどうか、ほのかな恋心を抱いたのは小学校の同級生でした。ずいぶん前のことなのであまり憶えてないけれど、ただ遠くから眺めているだけでした。唯一憶えているのは、担任の先生が前庭で写真を撮ると言うので、教室から移動していたら、車椅子がつまずいて転んでしまったのです。そこに彼女が通りかかって、僕はなんと彼女におんぶされて前庭まで行ったのでした。この話にはおまけがあって、そのおんぶされているのをカメラでパチリ、撮られていたのでした。その時の写真は、だいぶ色はあせてしまったけれど、今でもアルバムの片隅に貼ってあります。

 人を好きになることは、人間にとって一番大切なことだろうと思います。それは障害者も同じです。人を好きななればなるほど、障害者として存在している自分を自覚するのです。自分は障害者、故に恋愛も結婚もできないと諦めて、心に壁を創るのはやめたい。傷ついてもいいから、泣いてもいいから、人を好きになりたいと思う。

  人を好きになることは、生きていることの証だから。

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住岡 征俊

 “初恋は、遠きに在りて想うもの”………とは、言いませんか。

たかが三十路の半ばを過ぎたくらいでこんな事を言っていては、先輩たちに年寄りくさい事を言うなと叱られるかもしれませんが。

……・それは、“初恋”と呼べるのかわかりませんが、その人が目の前に現れるたびにこの胸の鼓動が速まるのを覚えています。

 三十年も前になります。その人はいつも笑顔で話し掛けてくれました。「かっくん、今日も残さず食べた?」。それは、保育園の給食のお姉さんです。地元の方でしたが、私が年長組の時に初めて会いました。笑顔の素敵なお姉さんでした。返事ができない程、胸がドキドキし、それはなかなか治まりませんでした。

今から思うと、それが私の恋の原点だったのでしょう。思春期の頃に憧れていたアイドルスター「山口 百恵」も、どことなくその方に似ていました。

          『初恋は、遠きにありて想うもの』

なつかしき胸の、と・き・め・き。いいものですね!!

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上岡 美佐子

う〜ん、そうねえ………私の初恋ですか。

話をし始めたら長くなりそうだし、書いたらまたまた長くなりそうなので初めをほんの少しばかり書かせていただきます。

私の初恋なるものは、今からとんと昔のことなのであります。普通の小学生であれば、同級生は同じ年ですが、私は生まれつき脳性麻痺による両下肢機能障害があったため、小学校へ二年遅く行くことになりました。一年年下だった従弟(母の兄の子供)と仲が良かったため、一日だけ、小学一年生をその従弟と過ごしました。その従弟が私にとって初恋の相手だったと思います。おばあちゃんの家にたまに行くと、その従弟はいつもずっとくっついて遊んでくれました。私の記憶にはないのですが、その従弟が小学校へ行ったときも、いっしょに小学校に行って給食を食べて帰ってきたそうです。

その話を聞いたときは、私は昔から色気より食い気のほうだったんだなあって思い、思わず一人で笑ってしまいました。大人になった今でも、その従弟に合うと胸がドキドキしてしまうことがあります。初恋って考えただけで、ドキドキ、ワクワクするものではないでしょうか。

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