今回私は、障害を持った人が地域の中で、自立生活をするために必要な介助をして下さっている一人の家政婦さんを紹介します。その人の名前は国友あさのさんです。大正生まれの七四才の元気なおばあちゃんです。お会いしてみると気さくな感じでとても七〇歳代には見えません。その仕事ぶりは若々しくてきぱきと介助をされています。国友さんは吾北出身だそうです。吾北の家が二度も台風で流され、その上仕事場も倒産してしまい、生活のために高知市内に出てきたそうです。市内では、近森病院で付添婦を一〇数年間勤めました。そのときは患者さんたちの床ずれ防止に心がけて、看護婦さんたちに喜ばれたそうです。それからこんな当時の思い出を話してくれました。付添婦をしていたときのある日のこと、病院の近くで火事がありヤジ馬根性も加わって、付き添いをしているおばあちゃんを自分の背中に背負って、火事を見るために高知駅の歩道橋をかけ登ったそうです。私はその話を聞いたとき、あんな小さな体でよくそんなパワーがあったものだなとびっくりしました。その後、病院が完全看護体制になったため、付添婦としての仕事がなくなり、家政婦の仕事を始めるようになりました。ご主人が四二才の若さで亡くなられ、女の子二人を大変苦労されながら育てたそうです。現在は朝二時間と夜二時間、家政婦として働いています。私自身も何度か国友さんのお世話になったのですが、障害を持った私達のことをいろいろと気をつけてくれて、本当に優しく接してくれるのでとってもありがたい存在です。全面的に介助してもらっているある方は、国友さんのことを自分の身内のように思っており、気持ちの通った介助に感謝しつつ、自分にもまして国友さんの行く末を見守っていきたいと思っているほどだそうです。