随想  車椅子

田 中 恭 彦


選挙権とトイレ権

先日行われた県議選で、高知医大に入院している患者が医大に不在者投票の手続きを依頼したところ、「医大ではすでに、不在者投票は済んでおり、時間的に間に合わない。」として一時的に断られたことが報道されていた。(結局は、不在者投票は実現した。)

話は変わりますが、多くの病院や福祉施設では、医学の発達に伴い、病気や障害の重症化で、多くの人手を必要としている患者や障害者の割合が増えている。にもかかわらず、看護婦さんや寮母さんの定数の基準は三○年前と殆ど変わっていない。このため、たとえ排尿感覚があっても自力でトイレにいけない人はオムツ着用が当たり前、(或いは雑居部屋で、ポータブルトイレを使う。)そのオムツでさえ、なかなか換えてもらえない。と言っても看護婦さんや寮母さんがさぼっているわけではありません。ほかにしなければいけないことがあって、そこまでできないのです。せめて、トイレに行きたいときにトイレに行けるように、看護婦さんや寮母さんの数を増やしてほしいものです。選挙権も大切なことですが、それ以上にトイレ権も大切であるということを一度考えてみて下さい。


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