真のノーマライゼーションを求めて

代表者 上 田 真 弓


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突然「あそこへ行きたい」とか、「あれが食べたい」とか衝動的に思いつき、その気持ちを満たしたくなることは誰にもありますよね。『杏理』という歌手の"夏の月"というCDの表紙の写真を見た私は、この夏に、こんな光景をどうしても見たいと思いました。
私は"満月の夜の琴ケ浜"でならそれに近い景色が見えるはずだと確信し、妹のように親しくしている女子大生に話したことがありました。すると、「まゆみさん、あさっての夜が満月のはず。夏の月を見に行こう!」と、二、三日後そんな声が留守電に入っていました。
そして、私達は出かけることにしました。道中、お月様は傘をかぶっていました。どうか私達が琴ヶ浜に着くまでには顔を出してくれますようにと祈る思いでした。琴が浜に着くと、彼女達は、砂浜の真ん中まで車椅子ごと私をかかえて行ってくれました。この時、私はこの4人の妹達をなんとたくましく感じたことでしょう。そして彼女達は素足になって、砂の上に寝転がるのです。雲の切れ間からお月様が顔を出すのを待ちながら、私たちはいろんな話をしました。彼女たちは看護を学ぶ20歳の学生、自分で選んだ道とはいえ思い悩むこともあれこれとあるようです。大人になっていく人生の階段を、一歩一歩踏みしめているんだなあと感じ、私自身も心を洗われたような時間でした。
やがて雲が切れ、"夏の月"のアノ光景が目の前に現れました。その波音だけの静けさの中、それぞれの胸にそれぞれの思いがよみがえり、私達は大きく感動していました。そして月明かりでキラキラ輝く静かな波をしばし見つめていました。
以前の私なら簡単に行動できていたのに、悲しいかな、今の私は一人で自由な行動はとれなくなってしまいました。誰かに連れて行ってもらうか、前もって計画を立てておかなくてはなりません。こんな点はさすがにつらいですね。しかし、そばにいてくれる誰かと、一人では得られない感動を味わえている幸せもあります。


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