真のノーマライゼーションを求めて

代表者 上 田 真 弓


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 何だって十年やればプロだと言われますが、私もこのニ月で障害者″となって丸十年が過ぎました。障害者にもプロはあるのかしら?本当にあっと言う間に時は流れたけれど、もう一度十年前に戻って今のようにやってこられるかと問われると、やっぱり「二度とは無理だ。」って即答します。私自身は生死をさまようころは何もわからずベッドの上、それをそばで見守る両親の胸の内を想像しただけで心が痛みます。入院生活を送るものの、完全回復がない私の身体。誰を憎むわけでなく、熱い愛情を注ぎ励まし続けてくれた両親。お見合い結婚だったという両親の三十四回目の結婚記念日がやって来ました。二人に縁があったおかげでこの世に生まれ、交通事故という大きな逆境を乗り越えさせてくれた愛情によって今の私があります。私は未だ親になったこともなく実感としては語れませんが、我が子を守る親の愛に勝るものはなし″と、愛を受ける身から強く感じます。結婚記念日にはコンサートチケットやお食事会など、弟と二人でささやかなお祝いをしています。弟と並んだ父親の肩幅はいつの間にやら弟より一回りは細くなり、笑顔を見せる母親の顔にはやさし いしわがふえました。そんな姿を見る度に、いつになればこの両親を心から安心させることができるのかなあって思います。私にできる親孝行。私がどう生きることが両親への親孝行なのかしら?いいかげん甘えん坊のわがまま娘を卒業しなくては…。  この十年を振り返り、障害者になってよかったと思ったことは一度もありませんが、障害者になっても幸せを感じられることがわかりました。だって、心の自由は誰にも奪われないものだから…。


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