◎人間が“分子”というものの存在を知ってから,その構造と性質の関係を解き明かし,必要としている性質を持った新しい分子を創り出すという営みが続けられてきましたが,近年の“ナノテクノロジー”進展の中で,よりユニークな機能を持った分子の開発が盛んになってきています。今回取り上げた解説の冒頭には“物質科学研究の究極の目的の一つは,1個の分子を素子とする「分子素子」及び機械装置として作動させる「分子機械」の開発であろう”と記されています。
以下は,その「分子機械」の一つである分子モーターの一例であり,同解説の著者らが世界で初めて開発した「光動力キラル分子モーター」の回転中の構造例です。ただし,以下の分子モデルは市販の分子科学ソフトウェアにより組み立てたもので,正確なものではありませんのでご注意ください。
「光動力キラル分子モーター」の一例の回転機構
※Chime分子モデルは,回転子(反時計廻りに回転)を球棒モデルで,軸を棒モデルで表示
↓ hν,> 280nm |
2 (3R ,3'R )-(M ,M )-(Z )-4 unstable
|
↓ Δ,20℃
|
↓ hν,300nm |
4 (3R ,3'R )-(M ,M )-(E )-3 unstable
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↓ Δ,50-70℃ (1へ) |
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※このトピック記事は,「化学の広場」の運営スタッフが毎月交代で担当します(今月の担当:シェーマ).