2001/06/19のNHKテレビ「クローズアップ現代」で『中毒急増! 脱法ドラッグ』と題して,ミラクルマッシュルームの話題が紹介されました。ほとんど毒キノコともいえるものが,食用・薬用でなく観賞用などの名目で売られているために取り締まることができないとのこと。またも法律とのいたちごっこです。ミラクルマッシュルームについてはインターネット上でも多数販売されているのが残念でなりません。
番組の中では1998年に麻薬に指定された2C-Bに類似した成分の2C-T-2が取り上げられました。2C-Bの-Brが-SCH2CH3に変わっただけで,2C-Bと同様な効果があると推定されますが,法律は個別の化合物に対してしか規制できないので,新規の類似構造化合物については新たな政令改正等が必要なところも難題となっています。
なお以下の分子モデルから2C-B・2C-T-2とも,「亀-C-C-N」構造を有していることがわかります(“脳と心をあやつる物質”参照)。化学物質を医療用としてではなく,“誤った快楽”のために弄ぶ悪癖・愚行から人類は抜け出せないのでしょうか。
蛇足ですが,麻薬ではなく神経ガスなど化学兵器に用いられる化合物については,当該化合物だけでなく前駆物質なども規制対象になっています(経済産業省/化学兵器関連施策のページの「化学兵器禁止条約」など参照)。麻薬の分野でも,将来的には計算化学の手法を活用して類縁化合物を規制していくようになっていくのかも知れません。
《2002/02/26追記》
ミラクルマッシュルーム(マジックマッシュルーム)に含まれるサイロシン(シロシン),サイロシビン(シロシビン;別名 Magic mushrooms → ChemFinder化合物情報参照)については,以下の資料中に,“現在、麻薬成分であるサイロシン、サイロシビンを含む幻覚きのこ(通称『マジックマッシュルーム』)の規制について、検討を急いでいるところである”とあります。同資料中には,麻薬・覚せい剤事犯の推移(検挙人員/主な薬物の押収量/覚せい剤事犯における未成年者検挙者の推移/覚せい剤事犯における直近の傾向)のデータなども出ています。
分子モデルも追加しました。
《2002/03/08・2002/04/24追記》
厚生労働省から2002/03/07付けで意見を募集していた「いわゆるマジックマッシュルームを麻薬原料植物として指定する件」に寄せられた意見とそれに対する考え方が,2002/04/23に公表されました。
2C-T-2 |
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サイロシン(psilocin,psylocin) |
サイロシビン(psilocybin,psylocybin) |