近年,ワイシャツやスカートなどの衣料で,洗濯しても型崩れせずアイロン不要で着用できるとされる形状記憶(形態安定)衣料がもてはやされ,帽子など製品の種類も増えている。立体的に作り上げた衣料を樹脂加工などして,その形態を保持させようとしたものである。
衣料製造のどの工程で加工されるかにより,プレキュア(Pre-Cure)法,ポストキュア(Post-Cure)法,気相加工(Vapor-Phase)法に大別され,用いられる処理剤も様々である。
代表的な処理剤としてホルムアルデヒドがあり,これは以下のように綿繊維のセルロースを架橋することにより,分子の動きを抑えて形態を維持させようとするものである。ところが,このホルムアルデヒドは最近問題の化学物質過敏症の原因物質の代表格に上げられており,加工衣料着用時の問題も指摘されている(「パソコンで見る動く分子事典」,p.257参照)。
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