第2章 僕はメイド?


先日、ショックなことがありました。彼氏が彼女を家に連れて来たのです。連絡も無かった
のでいつものように食事を作って待っていたのですが、呑み会の後に流れて来たようで二人
とも少し酔っていました。

挨拶をした後、彼女はテーブルの上の食事に目を止めると
「これ真樹さんが作ったの?すごいですね!おいしそう」
と言いながら浩に目をやり
「真樹さんは浩の隠し妻じゃないでしょうねぇ(笑)」
浩はニコニコした顔をして
「隠し妻と言うよりメイドかなぁ?」
っと浩は私に返事を求めるではありませんか。
「それじゃ、私が浩の奥さんになったら真樹さんは私のメイドでもあるんだね」
っと彼女も私に返事を求めてくるのです。言葉に詰まっていると
「でも男性でメイドは変じゃありません?食事を作るんだからシェフでしょ?」
彼女は言葉を付け加えました。それで終われば良かったのですが浩は正直に私が洗濯してい
ることやトイレの掃除をしている事まで例に出してメイドであることを主張するです。

最後には女性の下着を付けていることまで暴露するのです。当然、その時もピンクのパンテ
ィーを履いていたので何も言えず頭の中はパニック状態になってしまいました。

さすがに気まずく思ったのか彼女は話しをそらす為に、ビールを呑もうと言い出し3人で呑
み始めたのです。しばらくすると疲れていたのか浩は眠いと言いながら自分の部屋に入って
しまいました。

彼女と二人きりになると酔いが回ってきたのか、突然、彼女は
「それで、今日はどんなパンティーを履いてるの?」
と聞いてくるではありませんか。私も酔っていたのかも知りません。
「どんなのだったかなぁ?有紀(彼女)が見せてくれれば私も見せてあげるわよ」
っと冗談半分に女言葉で返答したのです。

その時は絶対そんなことにはならないと思ったものですから冗談で返したつもりだったので
すが、彼女は「ホントー?」と言いながら履いてたジーンズを少し降ろして見せたのです。
唖然としている私に向かって彼女は「約束でしょ!」といいながらジャージを勢いよく降ろ
してしまったのです。ピンクのパンティーが露わになってしまった私は恥ずかしさに顔は真
っ赤になっていたと思います。

彼女はそんなことは気にもしていないように「可愛いパンティー」と言いながら「真樹の趣
味?」と聞いてくるではありませんか。浩に買ってもらったとは言えないので「そうよぅ」
と女性言葉で返すと彼女はおもしろいものでも見るように私の顔を眺めて
「お化粧はしないの?」
「真樹は色白で顔が小さいからきっと美人になるよ」
と言いながら自分のバックから化粧道具をガサゴソと出して来たのです。

調子に乗って女性言葉を使っていた私は引くに引けなくなり酔っていたこともあって彼女の
言いなりに化粧を受けていました。ファンデーションに口紅、マスカラなどあげくの果てに
は眉毛をかみそりで少し剃り綺麗に書き出したのです。

流行などいろいろ説明してくれていましたが頭には入りませんでした。仕上げはマニュキュ
アと言いながらパンティーと同じピンク色に塗りあげました。

翌朝、浩と彼女の分の食事を作っていると浩が私の手を見て
「真樹、マニュキュアしてるの?」
と言うではありませんか、いくら石鹸で洗っても落ちなかったのです。次に顔を見て
「なんだよその顔は!」
と言うのです。

そうなんです化粧はすっかり落としたのですが剃ってしまった眉はもとに戻らなかったので
す。あたりまえのことなんですが。彼女は「昨日教えた通りに毎日お化粧しなきゃダメヨ!」
と言いながら私に昨日使った化粧用品一式を差し出したのです。

「毎日、私がしてあげられないんだから自分でしてね」
これは真樹の為に買って来たと言うのです。そうです、予め彼女と浩は打ち合わせをしてい
て、私に罠を仕掛けていたのです。

彼女はコーヒーを飲みながら・・・・
「これから真樹は私のメイドでもあるんだからしっかり綺麗にしてよね」
と言うのです。

私の作った朝食を食べおわると彼は会社に、彼女は一度自分の家に帰ると行って出かけて行
きました。二人を見送ると私は二人が食べた食器を洗いだしました。




あの日以来、有紀(彼女)さんはよく遊びに来るようになりました。最後に残した言葉・・
「これから真樹は私のメイドでもあるんだからね」
と言った通りに食事の支度や片づけは私がするのが当然かのように振る舞っています。お客
様だからしょうがないのかも知れませんが少しは手伝ってくれても良いではないでしょうか

一昨日も食事の片づけをしていると浩と有紀さんは何やらCDを聞きながら
「おーーい、真樹、コーヒー」と浩は私を本当のメイドのように扱うのです。さすがの私も
カチンと来たのですが経済的に殆ど養われている居候の身の私は断ることが出来ません。片
づけを終えコーヒーを入れて持って行きました。
「遅い!なにしてたんだ?」
とお礼も言わずに受け取ったのですが一口飲み、今度は
「甘い!何杯砂糖を入れた?」
いつもの通り2杯入れたのですが
「俺を糖尿病で殺すのか?」
などと言うのです。不服そうな顔をしていると、イヤなんだったら出て行けと言わんばかり
にドアを指差しコーヒーを流しに捨ててしまいました。

私は「わかった」と言うとそのまま部屋を飛び出したのです。外に出たのは良いですが・・
何処と行くあての無い私は取りあえず駅に向かって歩き出したのです。
(きっと浩は私が邪魔になって来たのじゃないだろうか・・・・・・)
空は今にも雨が降り出しそうな厚い雲で覆われ、まるで私の気持ちそのもののように思われ
ました。

その時、女性のヒールの音と共に「真樹さん!待って、、」と声がしたのです。有紀さんが
後を追って来てくれたのでした。
「真樹さん、さっきはゴメンね。最近、浩は仕事で悩んでいるみたいなのよ」
「・・・・・・」
「気がつかなかった?」
「ううん」
「でも、少し横暴よね。今は帰らないほうが良いと思うわ」
「でも、、行く当てもないし・・・・」
「良かったら私の家に来ない?」
「男が独身女性の家に泊りに行くなんて」
「今日はどんなパンティーを履いてるの?そんな心配していないわよ、笑」
私が女性物の下着を付けていることをさり気なく指摘したのでした。彼女は十二分に私の性
格を見抜いているかのようで、結局その日は泊めてもらう事にしました。

有紀さんの家はふたつ先の駅で駅からは歩いて5分のワンルームマンションだとのことでし
た。駅に着くと先ほどにも増して雲は厚く近くで雷が鳴り出していました。
「雨が降りそうね、急ぎましょう!」
二人は足早に歩き出しました。

歩き出すやいなや大粒の雨がポツポツ来たかと思うとすぐに雷を伴なう滝のような雨に変わ
ってしまいました。二人は走って帰ったのですが有紀の部屋に辿り着いた時は衣服を着たま
ま川で泳いだような状態です。彼女のブラウスは透けて肌に張り付きブラジャーのデザイン
が分かる状態でした。

玄関を開けて中に入り彼女はバスタオル取って来ると風邪を引くからシャワーを浴びるよう
私に指示し、部屋が濡れてしまうからと言いながら私の服を剥ぎ取りだしたのです。さすが
にジーンズは脱がされると女性物のパンティーになってしまう為、バスルームに行き自分で
脱いだのですが・・・・

シャワーを浴びているとバスルームの外で有紀さんが
「着替えをここに置いときますよ」
と行って私の脱ぎ散らかしたジーンズとパンティーを片づけているようでした。自分で履い
ていた女性物のパンティーを見られたと思うとても恥ずかしい思いでした。

シャワーを浴び終えて外に出、置いてあったバスタオルを手に取るとその下には明らかに、
有紀さんの物と思われるジーンズや可愛いTシャツとパンティーが置いてありました。
よく見るとブラジャーまであるではありませんか。私の洋服は?と探すとそれは無惨にも水
の張った洗濯機に漬けられ10分前よりビショビショの状態なのです。

「着替えを用意しておいたから使ってね」
私が上がったことに気が付いたのか部屋の方から有紀さんの声がしてきました。しかたがな
く用意されたものを身につけたのですが、Tシャツもデザインが女性物、ジーンズもウエス
トが絞られており、いつもと履き心地が違います。しかし、鏡に写った自分を眺めるとウエ
ストが絞られている為かお尻が大きく見えて女性のヒップのようになっているのです。

「上がった?、次は私がシャワーを浴びるから」
「少し小さいと思ったけど丁度良いわね、すごく似合ってるわよ」
と言いながら私を嘗め回したのです。
「こんどは私が入るからテレビでも見ていて」
と生渇きになった服を脱ぎ出したので私はあわててその場を立ち去りました。

彼女の部屋はワンルームにしては比較的広く、八畳程度だと思いますがベッドなどがある為
そんなには広くは感じません。だだ、如何にも装飾品や色合いは女の子の部屋でありその中
で下から上まで女装している私はなんだか自分が本当の女になっているような変な気分にな
って来ました。

しばらくすると有紀さんがバスルームから出てきました。右手には先ほど見たブラジャーを
ぶら下げていて
「なんでこれ付けなかったの?小さかった??ここで調整出来るわよ」
と言いながら私に説明するのです。私はてっきりいつもの習慣で用意してあると思っていた
ので無視していたのですが、有紀さんの言い方は意図的に私に付けさせようと思っていたよ
うです。

困惑している私の顔を見ると彼女は睨み付け
「もしかしたら嫌がっているんじゃないわよね」
と言い、完全な女装を強要するのです。
「パンティーだけじゃ、いつ狼男に変身するかわからないからブラジャーも付けてね。ここ
では真樹は完全な女になるの」

先ほど浩と喧嘩をしたばかりで、また気まずい思いをすることを恐れた私は小さく肯くしか
ありませんでした。それを見た有紀さんは私の後ろに周りTシャツを脱がせるとブラジャー
を私に付けたのです。私の前に回るとジーッと眺めて
「うん、可愛い、似合ってるわよ」
と言いながら
「でも・・・・」
「膨らみのところの隙間が寂しいわね、こんど真樹専用のブラを買いに行こうね」
と付け加えたのです。私はなんて返答すべきか迷っていました。
「返事は?」
追求されるので私は小さな声で・・・
「うん」と答えると
「はいでしょ?」
それに一緒に行ってもらうんだから、お願いしますぐらいは言ってほしいわ。と意地悪く強
要するのです。
「はい、私と一緒にブラジャーを買いに行ってください」
とお願いしていました。もしかしたら心の奥でこのような事を望んでいたのかも知れません。