ナルシスの転落 2・他の男達に回される(作:宮城耕一さん) 目が覚めた時、彼はいなかった。私は縄をほどかれていたが、後ろ手に手錠 をかけられていた。足にも手錠がかけられていて、足の手錠に鎖がかけられて ベッドの足にくくりつけられていた。時計がないので何時かわからなかった。 私は逃亡できないように監禁されているのだ。でも、すぐにもここを出してく れるのかも知れないと思った。何回か彼が私をもてあそぶだろうけれど、そう 何日も続くことはなく、また僕は帰って旅を続けるのだ、まだ旅に出て二日目 でしかないと慰めた。 彼が帰って来た。私は何だか安心した。朝食の袋を抱えている。 「すまん、すまん、痛かったろう。目が覚めて手錠をかけられている方が、マ ドレーヌは興奮するって思って。あの映画の女のようになった気分になっただ ろ」 私は図星を刺された気分になって何も言えなかった。 「マドレーヌは最後に女が救われるっていう筋書きと、あの映画のように転落 していく筋書きと、どっちの方が興奮するんだい?」 「やっぱり、救われない方かな」 彼はニヤっと笑いながら、私の手と足の手錠を外した。私はパンとミルクの 朝食をとりながら、昨日からのS・Mの写真集の続きを見始めた。穴の沢山つ いたボールを猿ぐつわにされている女を見ていると、それはボール・ギャグと いうんだと教えてくれた。棒のようなものをくわえさせられている女もいた。 皮のコスチュームの女もいた。 「皮のはボンデージて感じで、外人みたいだろ」 「うん、外人に捕らわれた奴隷って感じがするな」 私は彼に警戒心を抱いていないことに気がついた。このまま、ずるずると言 いなりになったら僕ではなくなるとおもった。意識の中で、「私」と意識し始 めているのだ。私は昨夜全裸にされて、そのままだった。彼は他の本を持って きた。それは初めて見る種類の本だった。男が男に縛られ、チ○ポをくわえさ せられているのや、昨夜の私のようにアヌスを犯されている写真集だった。私 はぞっとした。その途端、彼は私の手を後ろに回し、後ろ手にまた縛り始めた 。 「ああ、もう、いや、やめて、さんざんしたでしょ」 「いや、縄の味を仕込んでやるよ。その写真の男も、いつも縛られて犯されて るんだ。いや、お前は男でなくて、女として縛られるんだよ、マドレーヌ」 「女じゃないのよ、男よ」 「もう女の子のような話し方になってるじゃん、女に変えてやるよ」 そういえば、女の子のように、「よ」とか「でしょ」と言ってしまってる。 そして昨夜、僕は犯されたけど、僕自身は射精はしなかった。男としての快感 は与えられなかった。縛られて一方的に体をもてあそばされ、アヌスに射精さ れてけがされただけで、僕はイッテイナイのだ。縄が胸をも締めつけてくると 、一度も射精していない僕のチ○ポは猛然としてきた。彼は両脇で縄止めをし て縄を引き絞った。手首や腕や胸に縄がぎゅっと食い込み、思わず私は、「あ あ」と声をあげてしまった。 「いい声でなきはじめたじゃないか、マゾの素質、おおありだ」 突然、目の前に赤いプラスチックのゴルフボールのようなものが見え、あっ という間もなく口にくわえさせられた。あの穴のたくさん開いたボール・ギャ グをくわえさせられたのだ。首の後ろでぎゅっと絞められた。唇の両端が痛く 、舌で押し出そうとしても押し出せない。 「うええ、うううええお」 「何をいってるんだ、おまえ?」 「やめて、もうやめてよ」 と言ったのだが、言葉にならなかった。またごろんと寝かされ、彼は私の体に のしかかり、乳首をなめはじめた。小さな乳首が固くなりはじめているのが自 分でもわかった。それがわかると自然に私は目を閉じてしまい、昨日の映画で 女が全裸にされて縛られ、入れ墨の男にオッパイをしゃぶられているシーンが 頭に浮かび、自分がその女になった気分になってくると、自然に声が漏れはじ めてきた。もうどうでもいい、今は体を愛撫され 、しゃぶられているのを味わいたいと思ってしまった。彼は私の体をうつ伏せ にし、また仰向けにして愛撫し、しゃぶり回した。そして、またアヌスに油を 塗り込んでマッサージし、私を犯した。やっぱり痛かった。暴れようとしたが 、体に全然力が出なかった。うつ伏せで犯されている時は開きっぱなしの口か らよだれがたらたら流れた。ドアが開く音がした。 「よう、やってるね、こいつがマドレーヌか」 私は「いい! うええ!」と叫んだ。もちろん、「キイ! やめて!」と叫 んだつもりだ。彼はチ○ポを抜いて、私を仰向けにして、新しい男に猿ぐつわ をされた私の顔をねじ曲げて見せた。 「なるほど、兄貴の言うように、メイクしたら外人の女で通りそうなブツだな 。顔も髪の毛も肌もきれいじゃん。味もいいのか?」 「処女だったから仕込まなくちゃならないが、素質は十分。昨日やられたばっ かりなのに、もう感じはじめてるよ」 新しい細面の男は上着を脱ぎ始め、パンツだけになった。私はまた寝転ばさ れて、ボール・ギャグを外され、代わりにご主人様のチ○ポをくわえさせられ そうになった。 「やめてくれよ!」 そう叫んだ途端に左の頬をどつかれた。私はショックを受けた。口をこじあ けられ、チ○ポが押し込められた。喉の奥まで入ってきた。つるっとしていて 、いやになめらかなものだった。 「さあ、舌でなめたり、しゃぶったりしろ」 急に彼が怖くなった。初めてオシッコをするきたないものをくわえさせられ 、どう舌を使うのか、なめまわすのかなんてわからない。髪の毛をつかまれて 、引き上げられた。目が吊るみたいな気がして、舌を動かすしかなかった。懸 命に彼のチ○ポをなめたり、しゃぶったりしはじめた。その時、私のアヌスに 指が入り込み、新しい男が私を犯そうとしているのに気がついた。私は絶望的 な気分になった。激痛が走った。知らない男に犯された。アヌスに名前も知ら ない男のチ○ポが侵入し、二人目の男に犯され、私は口とアヌスに別々の男の チ○ポを突っ込まれているのだ。程なくして彼の方は私の頭を抱えて無理やり ピストン運動をし始め、私は窒息しかけてあげそうになった。彼はうめき声を 出し、私の口の中で射精した。 「飲み込め、絶対吐くな!」 彼は大声で怒鳴り、私の口をぐっと閉めてしまった。気持ち悪くて吐き出し たかったが怯えて飲み込んでしまった。屈辱感が噴き出てくるようで、アヌス ばかりでなく、口もよごされたとおもった。飲み込んだのを確認すると彼は離 れていって、私は細面の新しい男にアヌスを犯され、胸や足や太股、背中をし ゃぶられ、またアヌスを犯されたりして、凌辱のやむのを待つしかなかった。 それでも私の体は興奮を示し、乳首は固くなって、声が漏れているのだった。 とうとう新しい男は私のアヌスに精液をぶちまけた。 彼がやってきて私にボールギャグをくわえさせ、あぐらをかくように足を縛 った。新しい男はストロボをたいて、縛られた私の写真を撮り始め、彼はさる ぐつわを外したり、別の縛り方をしたりし、何枚も恥ずかしい写真を撮った。 アヌスに男のものを挿入されて、顔も写っているのとか、のどの奧まで突っ込 まれている顔写真も撮られた。撮影が終わると、ボール・ギャグをかまされ、 足を縛った縄と後ろ手に縛った縄を結びつけて逆えびの形にして身動きできな いようにし、自分たちは隣の部屋に行ってしまった。 しばらくして、「おまえ、オシッコしたいだろ、これ使え」と言って抱き起 こし、風呂桶にトイレをさせて、また隣の部屋に行ってしまった。 元通り、両手と両足を結びつけられて身動きできないまま、部屋に転がされ た。旅に出て二日目の昼はとっくに過ぎていた。猿ぐつわも手や足を縛ってい る縄も、どうしてもほどくことはできなかった。ほどこうと身動きすると、縛 られているところが痛くなる。自分では縄もボール・ギャグも外せない。彼は 初めから、縄も猿ぐつわも持っていた。S・Mマニアだったんだ。時々か、し ょっちゅう女を縛ったりしていたんだろうと思った。新しい彼よりは年下に見 える痩せた男も、そのマニアのグループなんだろうと思った。グループ! は っとした。では、この二人で解放される可能性はないのだ。私が自由になれる のは、彼らが一通りか、十分に私をもてあそんで飽きた後だ。少なくとも、後 二日か三日はこのマンションから出されないのではと思った。そして凌辱した 私を何もなしで、そのまま解放することはあるのだろうか。 私は人に警戒心がなく、消極的で、いつも受け身の人間関係しか作れなかっ た。そして、顔がきれいね、とか、髪の毛がいいから触らせてと言われれば気 持ちが良くなり、いつも長い目にカットした髪をさわらせてきた。肌がきれい と言われれば喜び、さわらせてね、と言われれば断らないでさわらせてきた。 それでいつもされる快感を覚え、自分からするのでなく、相手が私に何かする ことで、小さなころから快感を得ることに慣れすぎていたのだ。その結果捕ら われて監禁されてしまったのだと、自分で納得がいくような気持ちになった。 もう夕方になっていた。 |