ナルシスの転落 7・初めての客(作:宮城耕一さん)
とっくに九月になっているはずだ。私のあそこはいつも小さくて代わりにオ
ッパイが普通の小さめのオッパイくらいになり、乳首は普通の女並みだ。パッ
と見はもう女だ。ドアから目つきの鋭い男が入ってきて、黒のブラジャーをし
ろと手渡された。いつもと違う。もしかしたらと思った。後ろ手に縛られ、ボ
ール・ギャグをかまされ、首輪をつけられて、おそらく地上三階まで上らされ
た。廊下に入ると、ラブホテルのようだった。一室で男がノックすると、眼鏡
をかけた頭のはげた太った男が出てきた。
「おお、連れてきたか」
「どうぞ」
私は中に入れられ、目つきの鋭い男は消えた。初めての客なのだ。首輪を外
され、天井からカギのついたチェーンを電動モーターで下ろし、カギを後ろの
縄にひっかけて私を吊るし上げ始めた。ヒールの爪先が床から十センチくらい
のところでモーターを止めた。はげ男はパンツ一枚になり、眼鏡を外して近寄
り、数枚の写真を見せた。彼の部屋で最初に撮られたものと、女の格好にされ
、お化粧をされて撮られた写真だった。焼増しして、ここのお得意に写真をば
らまかれていたのだ。
「どや、ええ写真やろ。見るの、初めてか?いっぱいばらまかれてるとは思わ
なんだか? きれいやがな。エロチックやがな。マレッタ、おまえ、気に入っ
た。わしが初めての客になるというて、一番先に手付けを渡しといたんやがな
」
彼は初めての客として予約をしていたということは、ホモやシーメイルが趣
味のオジンがすでに何人か予約しているということだ。彼は私の露出した肌を
ねぶり、愛撫しはじめた。ぞくっとした。私は一カ月ぶりくらいにまた愛撫さ
れ、しゃぶられている。快感が背筋を走った。私は声を上げはじめ、悶えはじ
めた。アヌスに指を突き入れられると感じた。ギャグからよだれが垂れ下がっ
た。床に下ろされて、縄をほどかれた。ブラジャーを取られて改めて後ろ手に
縛り直された。オッパイの上下に縄を渡され絞り上げられた。更にもう一本の
縄で両手首を縛り、オッパイの上の縄の数センチ高いところに縄を巻き付け、
背中に回した。縄をぎゅっと絞り上げられ、両手首に縄がいっそう食い込んだ
。私は悲鳴を上げた。後ろから髪を払いのけて左肩から胸に下ろし、オッパイ
の下の縄に潜らせて引っ張り上げた。オッパイは更に絞り上げられて変形した
。腕の下側の縄が食い込んできた。縄をオッパイの中央で巻き上げて右の髪を
払いのけて右肩から背中に引き下ろし、くくりあげられた。初めて二本の縄を
使われて首縄をかけられたのだ。私のオッパイは左右に分かれプックリと絞り
上げられた。鏡の前に連れて行かれ、背後から両手でオッパイをもまれ、乳首
を握りつぶされた。私はビンビン感じた。注射でオッパイを大きくされて初め
てオッパイをなぶられている。鋭い快感の波が何度も背筋を走った。イキソウ
になった。けれど私のあそこはいきりたちもしない。それなのに全身が燃え立
ち、血が頭に上るようだった。私はフラフラになって膝まづいた。またよだれ
がしたたり落ちた。
はげ男は私を抱き起こしてベッドに仰向けに寝かせた。天井から皮のベルト
のついたチェーンを下ろし、ハイヒールの両足を離ればなれに吊り上げた。お
尻が浮き上がった。彼はボール・ギャグを外し、粘っこい舌を口に差し入れて
きて、私の口の中をねぶり回し、つばを飲み込ませ、手で舌を引き出して私の
舌をねぶり回した。耳をねぶりながら、「かわいいマレッタ、かわいそうなマ
レッタ、これからもおまえの体を買ってやるからな」とささやかれた。
私はいくらでこのはげ男に買われたのだろうと思った。そう高い金額で売ら
れたとは思えなかった。それから彼はアヌスを犯した。アヌスを犯されて、私
は感じていた。自然に目を閉じてしまい、声を上げていた。何度もピストン運
動をされ、彼のものが膨らむのを感じ、精液が更に私をけがすのをさとった。
一段下に転落したのだ。こうして私は一段一段深い奈落に転落を重ねていく運
命なのだ。彼が咆哮して果てた。私の体に崩おれた。しばらくして、「ええ味
やったで」と言ってキスをされ、舌を差し込まれた。彼は起き上がり、服を着
て出ていった。
私は両足を吊るされ、後ろ手に縛られたままなので起き上がることは出来な
かった。ひょろひょろ男が中に入ってきて下半身裸になり、私にのしかかり、
オッパイをねぶりながら体を撫で回し、アヌスに精液を注ぎ込んだ。彼は服を
身につけた後、部屋を片づけ、私をチェーンから解放し、ベッドのシーツを取
り替えた。使用済みのシーツを抱え、片手に私の首輪につながれた鎖を引きな
がら、地下一階の調教室に連れ込んだ。
またフェラチオの特訓だった。相変わらず浣腸液を五回分注入され、栓をさ
れた。相手はひげ男だった。その日は不思議にひげ男のものはすぐに固くなっ
た。排泄したくて我慢できなくなる寸前に、ひげ男は私ののどの奥に精液をぶ
ちまけた。
「うまくなったな。飯をふやしてやるぞ」
私はなんだかうれしくなった。食事の回数が増えるのがうれしいのだと、私
に言った。排泄が終わると、また吊るし部屋に連れて行かれた。二人の女が吊
られていた。その真ん中に私は吊り上げられた。二人とは二回か三回、一緒に
吊られていた。この部屋ではいつもボール・ギャグをされているので、いまだ
に名前も知らない。ここの従業員というか男たちの名前もわからなかった。何
のために、毎日一時間ほど吊るされるのかわからない。でも吊るされていると
、逃げられない、言われるままに客を取るしかないということばかり考えてし
まう。こうして本当なら、売春なんかに関係のないような女たちがセックス奴
隷に変えられていくのだろうと思った。
部屋に戻されたら、食事が来ていた。むさぼり食って化粧を落とした。今日
は早く終わったと思っていたら、インターホンが鳴った。「マレッタ、客だ。
早く支度して、待っておけ」といわれた。あわててストッキングとガーターベ
ルトをつけてハイヒールをはいてお化粧にかかった。ブラジャーをつけて、下
を見たらあそこは小さいままだった。トイレをしておまるを廊下に出した。
ドアが開いて、あの細面の男が入ってきた。もう会うことはないと思ってい
たのに。彼は素知らぬ顔をして事務的に、「鏡に向かって手を後ろに回せ」と
命令した。いつものように後ろ手に縛られ、ボール・ギャグと首輪をつけられ
て、さっきの階に上らされた。さっきとは違う部屋だった。中にいた男はいか
つい感じだった。私をチェーンで吊り上げて裸になった。男の背中一面に虎の
入れ墨があった。ヤクザだ。私はまた転落の階段を一段下りたと思った。ヤク
ザは鞭でお尻やオッパイをひっぱたいた。私はヒーヒー泣きながらチェーンを
中心にクルクル回った。全身に汗が吹き出し、体中熱の固まりになった気分が
した。チエーンから下ろされて膝を抱くようにかがみ込まされた。ヤクザは足
を揃えて縛り、縄を背中に回して、窮屈な姿勢に固定した。それから私のお尻
を持ち上げた。私は額と両膝で体を支える格好になった。ヤクザは背後から浣
腸し始めた。二回、三回とした。足と背中の縄をほどいて、M字型に両足を開
かせて椅子にくくられた。あそこがヤクザに丸見えだ。
「そのうち、この縮かんでるやつも切り落とされるからな」
私はショックを受けた。その内に私は男の生殖器を切り落とされるのだ。「
宦官」という高校の世界史で習った言葉を思い出した。シーメイルにされてし
まったけれど、そこが行き止まりでなく、僕のチ○ポとキンタマが切り落とさ
れる予定になっているのだ。アヌスに栓を詰められていないので、もうすぐに
も大便が噴出しそうになった。キーキーわめいた。ヤクザはおまるをあてがっ
た。私は噴出した。何度も爆発するように便が出た。そのたびに体から力が抜
けていった。それが快感に変わっていった。私は浣腸の味を覚えた。初めての
客がやったように縄をほどかれ、ブラジャーを取られて縛り直された。鏡の前
でオッパイを揉まれて気が遠くなった。同じようにベッドで足を吊られて犯さ
れた。快感が鋭く私を貫いた。入れ墨の客が去ると、細面が入って来てアヌス
を犯し、精液をのどの奥に注ぎ込んだ。ボール・ギャグと首輪をつけられて、
部屋に戻された。
縄をほどかれているとインターホンが鳴った。細面が出た。「マレッタに客
だ。化粧を直して三〇五号室に連れて行け」という声がした。私は化粧の崩れ
ているところを直して、トイレをさせてもらい、縛り直されて三〇五号室に連
れて行かれた。私の初売りは今日だったのだ。一日に三人の客を取らされた。
その後、三人の従業員というか、ここの男たちに犯された。他の女たちも客を
取った後にここの男たちに犯されているのだろうか。会う時は互いにギャグを
かまされて、吊るし部屋で吊るされている時だけなので、知りようがなかった
。
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