ナルシスの転落 13・シーメイルお別れ大撮影会(作:宮城耕一さん)
私には前よりも踵の高い赤のハイヒール、ストラップつき、赤の網のガータ
ーストッキング、赤のガーターベルト、赤のブラジャーと、赤い色のものばか
りを支給された。ピアスは長さ五センチくらいの金と銀の鎖が三本ずつ垂れ下
がっているものだった。髪は肩に届くくらいになった。オッパイは十分大きい
。Dカップかな。注射は二週間に一回くらい。もうあそこをいじることはすっ
かりなくなった。ここの人に抱かれても満足しきらない時は部屋でオッパイを
もみ込んだが、イクところまではいかず、イカセテクレル客や、ここの数人を
待ち望んだ。
ギラギラ男が迎えに来た。不思議なことにボール・ギャグをされず、一階上
の吊るし部屋に連れて行かれた。中に入ると真っ暗だった。突然強烈なライト
が私に当てられた。私は部屋の真ん中に連れて行かれた。大勢の男たちが折り
畳みの椅子に座って私を眺めていた。十数人くらいいる。後ろの縄にカギがか
けられ、上に吊り上げられ、ヒールの爪先が床から離れた。場内が明るくなっ
た。ほとんどは私を数回は買っている客ばかりだった。見知らない男もいた。
もしかしたら買われたのに、記憶に残っていないのかもしれない。マスターの
中年男がうれしそうに挨拶した。
「本日はみなさまのご要望にお応えして、マレッタの撮影会をいたします。す
でにくじで順番が決まっていますので、お客様が好きなことをなさり、他の方
はそれをお写真に撮ってください。普通の写真屋で現像できるものではありま
せんから、撮影会終了後、フィルムを私どもにお預け願います。焼き付けが終
わりましたら、ご連絡申し上げます」
ああ、写真に撮られる、おまけに今度はこの十数人の客に犯されていく様子
を撮影される。そうして二冊目のソフィーの写真集が印刷されるのだ。自称村
井らに写真を撮られてほぼ一年、私はすっかり変わってしまった。私は恥ずか
しい写真を撮られ、順に十数人の客にいろいろに縛られ、浣腸され、鞭打ちさ
れることを期待して、胸が高鳴り始めた。して! 早くして! 早く私を犯し
て! 私は叫びたかった。ボール・ギャグがほしい。ギャグをかまして!
椅子が片づけられて早くも撮影が始まった。私は顔をあちこちに向けさせら
れて写真を撮られた。一通り撮影が終わると、床に下ろされた。一番くじの客
が私をあぐら縛りにし、交差された足首と首を縄でくっつくくらい連結した。
髪の毛をつかみ見上げて他の客に顔をさらした。フラッシュをしきりに浴びた
。次に寝転がされて縛られた足の縄と背中の縄を連結して引き絞ってくくられ
た。私は逆えびの形にされ、またもフラッシュの洪水だった。客は下半身裸に
なってフェラチオさせた。私は言われるままフェラチオした。カメラは顔の近
くまでやってきて、くわえている私の顔を撮影して他の客に代わっていった。
一番くじの客が私ののどに精液を放つと二番くじに代わった。私は後ろ手の
縄をほどかれ、ブラジャーを取られて菱縄をされた。股縄をされて小さなあそ
こを露出された。フラッシュを浴びながら、これはシーメイルにされた私の最
後の撮影会なのだと思った。この後、何日もしないうちに私は手術をされて女
の性器をつけられるのだ。本物の女の性器を使えるようになった頃に、たいて
いまた撮影会がされて、さらわれた時のグラビア写真集と、シーメイルになっ
た写真集と、女体改造後の写真集と、三冊の写真集が完成し、S・M愛好者に
売られるのだろう。女にされた後、私はもう日本にいないのかもしれないと思
った。
二番くじは右手と右足、左手と左足を縛って大きく広げ、アヌスに油を塗っ
てから私を犯した。拍手する客もいた。私は喘ぎ声を出し続け、のどがからか
らに乾いた。様々な格好で縛られ、ギャグをかまされたり、浣腸されたり、吊
るされたり、鞭打たれたり、客はそれぞれの嗜好で私をもてあそんだ。私の胃
の中は彼らの精液であふれかえり、口の回りも精液にまみれていた。アヌスは
浣腸でただれたようだ。従業員が時々、口紅やアイシャドウなどを直しては撮
影は再開され、私は何度もイッタ。イッタ顔を彼らは写真に撮った。悶えた顔
を写真に撮った。ギャグからしたたるよだれを撮った。アヌスから噴出する浣
腸液と私の顔を撮った。口に突っ込まれ、アヌスにも突っ込まれている私を撮
った。今、のどの奥を突き刺しているものが何人目の客のかわからなかった。
最初はあの時の客と意識していたが、誰が誰やらわからなくなった。ガーター
とヒールはつけられたままだった。それはここの客の好みであり、典型的な娼
婦の正装なのだ。私はさらに深く地獄に転落していっているのだ。もう、去年
の春までいた世界とはすっかり縁が切れ、異次元の世界でセックス奴隷として
生きるしかないのだ。私は自殺する勇気もない。自殺できる道具も部屋にはな
い。あるのはおまると化粧品に娼婦の正装、ガーターとハイヒールだけだ。後
ろ手に縛られて水平に足を広げて吊られ、二人の客の精液を口とアヌスに注が
れた時、撮影会は終わった。客たちは満足した顔をして去っていき、従業員は
椅子やライトを片づけ、最後に私は下ろされて、いつものように縛られ、ギャ
グと首輪をつけられて、部屋に返された。私はそのまま化粧も落とさず、ガー
ターもヒールも取らず、ベッドに倒れ込んだ。
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