ナルシスの転落 23・処女乱売(作:宮城耕一さん)
目が覚めたらあたし、全裸で毛布にくるまっていた。細面が縄とギャグを取
ってヒールとガーター取って寝かせてくれたのだわ。考えたら、シーメイルで
客を取らされた時、ここの人が毎回あたしを抱いたのは調教の一貫なのじゃな
いかしら。他の女たちが客を取らされた後、ここの人たちに毎回犯されてるん
だって考えたことあるけど、あれは空想なんだわ。男はそんなに出せないから
、一日に一回あたしを抱くか、誰かを抱くかしていたんだわ。それに思い出し
たら、最初の方は必ず客を取った後、犯されたけど、だんだん五人お客を取っ
た時は二回とか、客の多い時とかきつい客の時とかは抱かれなくなったわ。商
売ものに手を出すなっていうけど、ここは違うんだわ。客を取らせている女と
ここの人が恋愛関係になるおそれがないのかしら。
あたし、ここの誰かが好きになってるのかしら。好きって何回も思ったっけ
。村井とかひげとかギラギラとか。でも、ひげが好きと思っても他のここの誰
かに抱かれたら、その男が好きになってしまう。細面も好きになったわ。
でも抱かれたりキスされたりするたびに、新しいのに気が移るってことは、
ここの人たちが好き勝手に商売ものに手を出すことによって、逆に商売ものの
あたしたちとの間にややこしい関係が出来ないように仕組まれているってこと
だわ。女よりも男の方が頭が上なんだわ。女よりも男の方が頭が上、あたし、
一年半か二年前かわからないけど、男の子だったんだわ。男ってどういうもの
の考え方をするのかしら、わかんないわ。
男の子だった時、S・M写真集を古本屋でチラッと見るのが楽しみだったっ
け。あたしがS・M写真撮られたり、S・M写真集にして秘密出版されるなん
て夢にも思わなかったわ。中学や高校の先生の名前も顔も思い出せない。中学
の友達は二人かな、三人かな、顔覚えているのは。高校の友達、吉田君、池田
君、佐藤君、後山君、迫田君、どうしてるんだろ。どこの大学だったっけ。も
う二回生かな。もう三回生になってるのかな。あたし、男の子のままだったら
三回生なのかな。まだ二回生なのかな。
中学で二回ピクニックに行った女の子は顔は思い出すけど、名前思い出せな
いなあ。高校の時、三回デートした山下さん、どこの短大に行ったんだっけ。
好きになったけど、打ち明けられなかった忠岡さん、どこに進学したっけ。忘
れてるなあ。大学に入学して一回か二回デートした、目のくりくりした女の子
、顔しか思い出せない。
中学や高校の場面は断片的に覚えているけど、さらわれてから体にいたずら
した男や女の方はすごく記憶の底からよみがえってきて、あたしの思い出の大
半を占領しているわ。それとここで取らされたお客さんと、フェラ専門店のお
客とで思い出のほとんどを占領されているわ。あたし、本当の名前は何だった
っけ。正岡だったかな。寛夫だったかな。とにかく重症だわ。さらわれる前の
自分の名前がはっきり思い出せなくなっている。絶望的だわ。でも、思い出し
ても仕方ないじゃん。あたし、男には戻れないもん。
ベッドから起き出すと朝食のトレーに煙草が一箱のっていた。あたしは昨日
の赤のガーターベルトと網の大きなストッキングをして銀のサンダルピンヒー
ルをはいて足首のところでストラップをとめた。おまるでオシッコしてからテ
ーブルで朝食を取った。きっとお客を取るのは夕方からだわ。それまで暇すぎ
るわ。お化粧しても時間余るわ。本もテレビもラジオもオーディオもパソコン
も何もない。お化粧と煙草と食事とトイレ。これしかないか。オナルのも、後
でお客取らされるんだから、やっても仕方ないか。でも、暇すぎるから、オナ
ッテみようかしら。
化粧台の前に椅子を運んで、あたしの顔を見ながら煙草をふかした。S・M
写真集に写されている女たちはギャラもらってるんだろうか。インターネット
でエロ写真公開されている女たちはギャラもらってないんだろうな。写真をネ
ットでばらまかれるって知らないんだろうなあ。縛りの写真やオマ○コ丸見え
とか、女のものに突っ込まれているのやアヌスに突っ込まれているのや、オシ
ッコや浣腸の写真、ほとんどが無理やり撮らされて、娼婦にされてるんだろう
なあ、あたしみたいに。女ってかわいそうね。大昔からそうやって娼婦にされ
て。従軍慰安婦って騒いでいたけど、売春業者が女の一人歩きを見つけてさら
って、何日か調教とか輪姦とか入れ墨したりして女を観念させて、兵隊の相手
をさせていたんだろうなあ。
二本、吸っちゃった。髪でもといてお化粧するとするか。その後、オナニー
しようっと。女の男より得なのは何回もイケルことだわ。昨日の化粧を取って
顔をざぶざぶ洗った。今日シャワーさせてくれるかもしれないけれど、この二
日間なかったので、タオルを水に濡らせて髪の毛をバシャバシャしはじめた。
あー、お客さん、今までの縛りとアヌスが好みという範囲からぐっと広がる
んだ。縛り好きでもアヌスやフェラでイキタクナイというお客さんも入ってく
るし、ただの女好きも、外人の女抱きたいってのも、写真見てはるばるあたし
目掛けて来るのだわ。それにたいてい処女膜つけられてるんだろうから、処女
膜破るのは相当の金持ち男で、常連客じゃないんだわ。そしたら縛られないか
もしれないし、外人のお嬢さんでさらわれてって設定で、上品な化粧をさせら
れて、やっぱり縛られて連れて行かれるのか。縛られて連れて行かれるのはい
つもなんだろうな。予約客は縛らない客からで、その日の最後に縛る客を取る
んだろうな。縛られたら痕が残るから、その前に他の客を取っていたってこと
、丸わかりだわ。そうして、あたし、毎回処女ですと言われて乱売されて、予
約客終了したら、たいてい裏ビデオとお客、平行して取らされて、ビデオ終っ
たらあたしどうなるの。ここでお客取り続けるの。もしかして、転売されてど
こかへ連れ去られるの。
あたしは自分がオナニーしやすいようにどぎつい化粧をはじめた。マニキュ
アもペディキュアも黒を塗った。あたし、何を思ってか、フェラハウスでピア
スとかガーターとかおねだりしたら支給してくれたことを思い出した。化粧品
がなくなったらメモに書いて食器トレーと一緒に出せって言われて、化粧品し
か頼まなかったけれど、服は関係なくてもメイクアップの雑誌なら支給してく
れるわ。コーヒー、紅茶、ジュース、安いものだわ。ピアスも書いておこう。
塗ったマニキュアがはがれないように気をつけて、あたしはメモにボールペン
で書いた。
「お化粧の仕方や化粧品についての雑誌お願いします。ジュースやコーヒー、
紅茶、時々ください。ピアス、もう少し種類ください。マレッタ」
昼食のトレーに缶ジュースとメイクの雑誌がのっていた。言ってみるもんだ
。言わなさすぎた。お化粧の仕方やいろいろな化粧品の広告はあたしを楽しま
せた。インターホンが鳴った。
「マレッタです」
「そろそろ初売りの支度だ。迎えをよこすからな」
「はい、お化粧はどうしたらいいんですか」
「先に上でシャワーだ。メイクとか衣装は上で用意してある。化粧してるんだ
ったら、全部落としておけよ」
あたしはまだどぎつい化粧のままだったのでメイクを落としてストッキング
脱いで、マニキュアもペディキュアも落としていた。入ってきたのはギラギラ
だった。あたし、ガーターベルトだけ。
「ストッキングとヒールはくから待ってて」
ギラギラは何も言わずに待っていた。
「さあ、上に上がろう」
ギラギラはあたしを縛りもせず後ろ手錠も首輪もギャグもしないでドアの外
に出た。変な気分で続いてドアを出た。
「行こう」とギラギラが言った。
「あたし、縛られたり何もされずに上がらされるの、不安なの。連れて行って
」と言って、ギラギラの右腕に腕をからめた。
「甘えたがりなんだな、マレッタは」
「そうよ、あたし」
踊り場のところでキスされた。あたしはギラギラの背中に腕を回して抱きし
めた。あたし、待っていたんだ。それだけしか今回もなかった。早く行かなく
ちゃと腕にぶら下がるあたしを連れ、入り口であたしの腕をふりほどいて二階
の入り口に入れた。幾つかある小部屋にマスターの中年男が待っていた。あた
しを椅子に座らせた。
「説明しておく。おまえも予想はついてるだろうが、マレッタの処女はセリで
一人が落とすのでなくて、一人一人の客がおまえの処女を予約しているという
ことにしてある。だから予約客が一巡するまでは、マレッタは毎回処女膜を破
られることになっているから、突っ込まれたら必ず痛いって叫ぶんだぞ。これ
からは普通の趣味の客が多い。服とか化粧とかあらかじめ注文している客もい
る。注文に応じた服と化粧をしてもらう。客の来る時間になったら二階のこの
部屋に連れて来させるから、客が出て行ったら、ベッドの電話で5番をプッシ
ュして、『マレッタです。終わりました』と連絡しろ。係がシーツなどを持っ
ていくから、今度からシーツの取り替えも手伝って、終わったらこの部屋に戻
って次の客の用意をするんだ。縛りの客は体に痕が残るから最後の客にする。
そいつらはおまえを縛ったままで帰るのが多いから、前のように係が部屋を片
づけてから、おまえの部屋に戻す。夕食はこれからこの部屋だ。質問あるかい
」
「縛るのが趣味でないお客さんでも連れて行かれるときは大体縛られて連れて
行かれるんですね」
「きっちり考えていないが、さらわれた外人の少女が売春をさされているって
ことは客はみんな知っているから、大体そうなるなあ」
予想どおりだった。シャワーをして用意されていたピンクの細いパンティと
オッパイの上がかなりはみ出すハーフブラをして、白いパンストにピンクのス
リップ(ハジメテ!)、胸の大きく開いた白の襞飾りの多い長袖のブラウスを
着て、紺のプリーツスカートをはいた。ヒールは黒だった。薄化粧をして口紅
はピンク、アイシャドウはグリーンで細く、マニキュアは真珠色にした。
支度が終わるとマスターはいつものように後ろ手胸縄に縛りあげて、あたし
を三階の部屋に入れた。
部屋は強い煙草の匂いがした。年配の恰幅のいい男が葉巻をくわえていた。
「マレッタちゃん、待っていたよ。三日前にマスターから日本を旅行中の日本
語ペラペラの白人の女の子を手に入れたって連絡受けてね。次の日に処女で、
お客取れるようにポルノ写真撮っていますから、観念して客を取るようになっ
たら、その外人少女の処女の味をどうですかって。わしゃ金はいくらでも出す
から。外人の処女を抱せてくれと頼んだんだよ。かわいそうに逃げられないよ
うに縛られて。おじさんがほどいてあげるよ」
お客さんはあたしの縄をほどいた。あたしはどうしたらいいかわからないの
で、黙って腕の縛られたところを撫でていた。お客は服を脱いでパンツ一枚に
なった。お客はあたしの前に膝まづいて足の下からすうっとパンティストッキ
ングを撫で上げた。あたし、ぞくっと感じた。お客はパンストの上からねぶり
、ヒールのストラップをはずして脱がせ、足の爪先をなめあげた。それからあ
たしの首筋をなめながら
「マレッタ、かわいそうだね。ここから逃げたくないのかい」と言った。
「はい、お客さん、逃げたいです。でも監禁されていて逃げられません。逃が
せてくれるんですか」と嘘と思うけど、つい言ってしまった。
「そりゃ逃げたいだろう。わしもさらわれたこんな美人の外人女を監禁して売
春させるなんて人道に反すると思ってるんだよ。逃がしてやればわしはひどい
目に合うに決まってるし、マレッタもすぐにつかまるに決まってる。それに、
わしも自分から売春するスレッカラシやテレクラやツーショットとかで売春し
とる自称「素人女」よりも、マレッタのようにさらわれて売春を強制される女
の方が興奮するんじゃ。昔からきれいな女はそうやって娼婦にされてきたんだ
よ。そういう女は生まれついた時に娼婦の星がくっついて、時がくればさらわ
れて娼婦にされてきたんだよ」
「じゃ、おじさんはあたしを逃がしてくれないの」
「当たり前じゃ。お客でおまえを逃がしてやろうと思う者はいないって」
ブラウスのボタンを全部はずされ、ブラからオッパイ引き出されてしゃぶら
れながら、あたし、損したって思った。どこまでも底抜けだわ。ブラウスとブ
ラを取られて、お客は後ろにまわり、両手でオッパイをもんだり乳首を指でひ
ねったりした。あたしはじわじわと燃えてきていて、あそこが濡れてきている
のを感じた。あたしはセックス用に改造された女だから赤ちゃん、生むことは
ないんだわ。生理もないもの。でもオッパイは注射されないのにしぼまないわ
。どういう手術なの。オッパイをもまれうなじをしゃぶられて、あたしはあえ
ぎだした。声が漏れてきた。
お客はあたしに立てと命令した。お客はスカートに両手を入れて、パンスト
を脱がした。もう一度浅く椅子に座らされ、足の爪先から上へなめはじめた。
スカートの中に頭を入れてパンティの縁をなめられた時は、あえぎが激しくな
った。また次の左足におしゃぶりが移って、左のパンティの縁をなめられると
もっと大きな声であえいだ。お客は椅子に逆向きに座らせ、今度はあたしの背
中をなめ回し、前に向かせて右手の指先から右のオッパイまで、次は左の指先
から左のオッパイまでなめ回した。あたし、骨までしゃぶられてるんだわ。ス
カートの上からオッパイまでおなかをしゃぶって、オッパイのまわりから円を
描くように乳首までなめられて乳首をかまれた時は快感でイキソウになった。
スカートを脱がされて、ベッドに上れと言われた。
全裸でベッドに上がった。自分からベッドに上がるのもはじめてだわ。布団
の中に入ると、お客は掛け布団をひきはがして下に落とし、あたしに両足を立
たせて大きく開かせ、あたしのあそこをしげしげ見て、指で触りはじめ、女の
中に指を入れてかき回した。
「こりゃ、上玉だな。天下一品だ」
お客はクニリングスをはじめた。あたしはすっごく感じて、ベッドのシーツ
を必死に握っていた。体が燃えてどうしようもなく、手が縛られていないこと
が不自由で、ギャグもされていないのであたしのあえぎ声がとてもはずかしく
て、手を水平にしたり、上に伸ばしたりまた下に伸ばしたら、お客が両腕を上
から押さえ込んだ。あたしの腰はくねくね動き、波が高まると足がピンと伸び
るのを感じた。
お客があたしにのしかかってきて、男のものをあたしのところに押し当てる
のを感じた。いよいよあたしは名前も知らない男に処女を奪われる。入りはじ
めると、股から縦に体が引き裂かれるようで、「イタイ! イタイ! ヤメテ
! オネガイ! サカレチャウ!」とあたしは叫んだ。あたしは槍であそこか
ら頭の先まで貫かれたようで、ピストン運動されても少しも感じず、オマ○コ
に精液を噴射された。
「よかったよ。本物の処女だな。出血している」
お客は満足して出て言った。あたしは処女をいくらで売られたんだろうかと
思った。痛いので、しばらく身動きできなかった。ようやく起きて、股間を見
ると、シーツに赤い血が散らばっていて、股間部のあたりや太股に血がついて
いた。ベッドから降りるのもつらかった。あたしはがに股で化粧台のところに
行って、タオルを水で濡らして、血をぬぐった。それから電話で5番をプッシ
ュして、
「マレッタです。終わりました」と連絡した。あたしはパンティをはきブラジ
ャーをつけて、意味ないかなと思いながらパンスト、ブラウス、スカート、ヒ
ールと身につけていった。新人が来て、あたしはシーツをはがすのを手伝い、
特に補充するものがないのを確かめ、二人で二階の部屋に戻り、新人はよごれ
たシーツを抱えて、どこかに行った。
あたし、いつまであの男を新人と呼んでいるんだろうと思うとおかしかった
けど、股間が鈍い痛みのままだったので、あまり、動きたくなかった。部屋に
夕食が来ていて缶コーヒーとファッションの雑誌もあった。あたしは、ダンヒ
ルライトが化粧台にあったので、まず煙草を一本、雑誌を見ながら吸った。
それから普通の趣味の客を二人取った。本当に痛いので、突っ込まれるたび
に、イタイ、イタイと叫び続けた。あたしは普通の愛撫でもどんどん感じるよ
うになっていっていた。最後のお客は、シーメイルの時の初回のはげ男だった
。
「わしゃうれしいで。シーメイルの初回も、おまえが女にされた初回も抱ける
なんて。性転換の手術終わっても、なかなかセックス出来るまで時間がかかる
もんだな」
あたしは注文でアイブロウを太く塗り、紫のアイシャドウをべったり塗り、
目尻に広く金粉のアイシャドウをして真紅の口紅をしていた。黒の細いガータ
ーベルトに少し編み目の細かい黒のガーターストッキング、マニキュアとペデ
ィキュアは真紅の色。銀色のサンダルピンヒールだった。あたしは後ろ手縛り
に胸縄でボール・ギャグされて、天井のチェーンから吊られていた。でも、あ
たしはシーメイルだった時のように、こんな形に拘束され、しゃぶられたりま
さぐられたりすると、とってもよく感じる。鏡の前で縛られているあたしがは
げ男の両手でオッパイをもみしだかれているのを見ながら、あたしは二回、イ
ッタ。初売りの日にイッタのはこういう姿でだった。はげはクニリングスもう
まく、あたしは獣の声を出して二回、三回イッタ。でもはげの男のものがあた
しを貫いた時、ギャー!と叫んだ。はげはギャグをはずして、
「処女の時は痛いって知ってるだろう。そのうち、アヌス以上に感じるように
なるんだよ」
はげが出て行くと、ギラギラが来た。ギラギラは何も言わずにあたしをひっ
くり返してアヌスを貫いて、あたしはギラギラにこんなことされたくなかった
のにと涙を流しながら、やっぱり気持ちよくてイッタ。ギラギラは服を着ると
ボール・ギャグをかませ、あたしを天井のチェーンに吊り上げ、使われた縄を
しまい、シーツを取り替えてからあたしを床に下ろし、地下の部屋に戻して縄
とギャグを取った後、鍵を三カ所、きっちりかけて出て行った。あたしはギラ
ギラに甘えたことを悔やんだ。
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