オフィス・ラブ [Part-1](作:慶子さん)


『残業』

「それじゃぁ、お先に。」 
「お前も大変だけど、まぁ、頑張って。それじゃあ。」 

私の他に残っていた同僚達も、夜の街へと帰って行きました。周りの同僚達か
ら「ノロイ」と思われている私の仕事を手伝ってくれる人は居ません。でも、
私は誰も居なくなったオフィスで残業する事がそれほど嫌では有りませんでし
た。時には、帰宅が深夜になる事も有りましたが、そういう仕事を命じられて
も、決して嫌な顔はせず、黙って引き受けていました。それは誰も知らない私
だけの理由が有ったからです。 


『昼休み』

その日昼食から戻ると課長に呼ばれました。 

「牧村君、ちょっと!!」 
「ハイ。」 返事をして課長の席へ行くと 
「これなんだけどねぇ。来週の営業会議でどうしても過去5年の分析が要るそ
  うなんだ。ちょっと大変かも知れないけど、何とか頼むよ。」 
「判りました。何とか間に合うようにやってみます。」 

過去5年の営業所別・商品別・売上推移、同じく営業担当者別・商品別・売上
推移、更に顧客別・商品別・月別売上推移の分析。考えただけでもぞっとする
ほど時間が掛かりそうだ。実績を拾い出して、グラフにするのはそんなに時間
は掛からないだろう。でも、その後の分析にはかなり時間が掛かりそうだ。
まぁ、グズグズ考えていてもやらずに済むわけでは無いから、データを集める
ところから取りかかることにしよう。 


『資料室』

いつも冴えない僕の頼みを嫌な顔一つせず、引き受けてくれるのが資料室の理
子ちゃんだ。もっぱら、そう思っているのは僕だけで、彼女は心の中で考えて
いることを顔や態度に出していないだけかもしれないが。でも、そんな事はど
うでも良い事で、気軽に頼みやすい理子ちゃんに今日も頼んでみよう。そんな
事を考えながら資料室のドアを開けて、理子ちゃんの席の隣の椅子に座った。

「ねぇ、理子ちゃん、悪いんだけど、またデータを拾って欲しいんだ。」 

哀願するように頭を下げて、上目づかいに理子ちゃんの顔を見る。 

「良いわよ。今、特別に急ぐ仕事をしてる訳じゃ無いから。 でも、そろそろ、
  お昼ご飯くらい御馳走して貰っても罰は当たらないような気がするけど。」
「判りました、判りました。でも、レストランなんて言わないでよネ。社食で
  我慢してくれるんだったら、御馳走させて戴きます。」 
「エエーッ。社食なのぉ?! だったら、デザートも付けてくれる?」 
「仕方無い、デザート付けさせて貰います。」 
「これで、契約成立ネ! で、どんなデータが欲しいの?」 
「これこれ、過去5年のデータが必要なんだ。」 
「ふーん、判った。じゃあ、いつもの様に、エクセル用のデータにすれば良い
  のネ?」 
「そうです、そうです。ホント、理子ちゃんには恩にきます。もう足向けて寝
  られない!」 
「もう、大袈裟なんだから! すぐに出来るからそこで待ってれば?」 
「えっ、そんなに早く出来るの? ふーん、じゃぁ待ってようかな?!」 

彼女は、ホストにPCを接続してDB検索を始めました。僕には何が何だか判
りませんでしたが、彼女は鼻歌でも歌いそうな感じでキーボードを叩き続けま
した。引き出しからMOを取りだしてドライブにセットすると、マウスでどこ
かをクリックして、 

「はい、一丁上がり! まず、最初のデータは拾えたわよ。」 
「おおっ、早いねえ! さすが、理子ちゃん。」 
「何が、さすが、なのよ?! 残りもすぐやって上げるからネ。」 
「宜しくお願いします。」 

ここまで7分位だから、後15分も待てば、僕の欲しいデータは全部揃いそう
だ。少し手持ちぶさたになって来たので、足を組んだり机の上の書類を見たり
しましたが、ホントは煙草を吸いたいところですが、我が社は「オフィス内全
面禁煙」だからそうも行きません。彼女は時々僕の方へ視線を投げながらもデ
ータ抽出を続けていました。 

「これで良し。はい、最後のMO!」 
「サンキュウ!!今日は金曜だから来週の月曜にはお昼を御馳走しますから」 

拝むようにMOを受け取って、ついでに、ウィンクもサービスして資料室を後
にしました。 


『営業支援部』

僕、牧村真人は、営業支援部に籍を置いています。名前だけ聞けば、それなり
の部署に聞こえるのですが、実はていの良い「何でも屋」です。営業会議が有
る時は、必ず現場からデータの分析や見通しに関する資料作成という仕事がま
わってきます。社長の「営業は現場に出てナンボ。」という方針から、古くか
ら私の部署は設立されていたそうです。資料作成以外にも、地方営業所のキャ
ンペーンや客先キャンペーン支援等、営業に関する事は何でも声が掛かります。
従って、出張も結構頻繁に有ります。「行け。」と命令されれば、北は北海道
から南は沖縄まで、日本国内はどこへでも行かなければなりません。 

ほとんどの業務がデスクワークなので、私は出張も結構気に入っています。知
らない土地、知らない街へ行ける、という事も有りますが、ホテル宿泊は結構
楽しいものです。上司や電話から逃れられるのは勿論ですが、「仕事」で結構
自由な時間が持てるのも好きな理由です。つまり、もう一つの私の特殊な「趣
味」の為の時間が持てるのです。 


『アパート』

僕は会社の用意してくれる独身寮に入る事も出来ましたが、入社と同時にアパ
ート住まいを選びました。やはり、自分だけの時間を大切にしたかった、とい
うのがその理由ですが、同僚や先輩に自分の部屋に入って欲しく無かった、と
いうのが正直な理由です。 

僕の部屋へ遊びに来たい、という同僚は居ませんが、仮にそんな同僚が居たと
しても、僕は断っていたと思います。一応、普通の独身男性の部屋に見えなく
も無いのですが、唯一場違いなモノ、そう「ドレッサー」が窓際に有り、その
上には化粧品が並んでいるのです。化粧品は押し入れにでも隠してしまえば何
とでもなりますが、ドレッサーは隠しようが有りません。 

何故、独身男性の部屋に「ドレッサー」が有るのか? そう、私の特殊(?)
な「趣味」とは「女装」だからです。 




『自分のスカート』

小さい頃から姉のお下がりを着せられていたからかどうかは判りませんが、い
つの頃からか「スカート」に興味を抱くようになり、女性の衣服・下着・靴等
に興味が拡がって行きました。物心ついた頃には、姉が居ない間に姉の下着や
スカートを家族に隠れて身に着けるようになっていました。中学の頃には何か
と理由を付けて姉より後で風呂に入るようにしていました。そうすれば姉の脱
いだ下着やブラウス等を身に着ける事が出来るからです。この頃には、当然な
がらオナニーという性的行為と女装が結び付いて、姉の衣類が無くてはならな
い生活になっていました。 

そんな生活に終止符が打たれたのは、僕が大学3年、20歳の時でした。姉が
結婚する事になったのです。姉は新居へ移り、姉の衣類も全て新居へ運ばれま
した。女性の下着・衣類の無い生活など考えることさえ出来ません。姉のもの
が手に入らないとしたら、自分で買うしかない。僕はアルバイトに精を出しま
した。幸い、成績はそう悪いほうでは無かったので、結構自由にアルバイトを
しました。ファースト・フード店、コンビニ、レンタル・ビデオ店等のバイト
に精を出し、バイト料が入ると早速自分の「モノ」を買いました。 

どうしても自分が着る、という気持ちが有るので、後ろめたく、ドキドキしな
がら駅前のスーパーへ行きました。午後2時位の比較的空いている時間帯を選
んで、女性衣料のコーナーへ行きスカートを選びました。プリーツ・スカート、
ラップ・スカート、みんな素敵に見えます。どれも欲しくなります。でも、予
算は限られています。どうしよう...。 

「彼女へのプレゼントですか?」 

いきなり背後から声をかけられて、飛び上がりそうになりました。 

「はい、そうです。」 

やっとの思いで答えましたが、汗が噴きだして来て、咽喉がカラカラに乾いて
いました。でも、その女性店員は優しく微笑んで、好みの色やサイズ、予算な
どについて質問し、新設に相談に乗ってくれました。さらにブラウスも勧めら
れるまま買ってしまいました。初めての女性物の買物で、下着も一緒に買うと
いう訳にも行かず、スーパーではそれだけを買いました。 


『自分のランジェリー』

でも、スカートとブラウスを着ても、下着がトランクスではしっくり来ません。
どこで下着を買うか? そうだ!! あるお店の事を思い出しました。高校時
代の友人の家へ行くには、途中で飲み屋街を抜けるのが一番近道なのですが、
その飲み屋街の外れに、下着屋さんが有ったのを思い出したのです。 

スーパーから一旦家に戻り、自転車に乗ってそのお店へと向かいました。その
お店は記憶通りの場所に有りました。少し離れた公園に自転車を停めて2度程
お店の前を通り過ぎて中の様子を窺いましたが、昼間で飲み屋の客も居ないか
らか、店の中には客の姿も見えず、店員さえ居るのかどうか判りませんでした。
3度目に意を決して、ドアを開いて店の中に入りました。 

そこには目も眩むような色とりどりの、そして様々なデザインの下着が並んで
いました。店の外の人通りもほとんど無いので、段々と落ち着いて来て下着を
手に取ってみました。それは想像通りの柔らかいスベスベとした肌触りのパン
ティーです。白・ピンク・黒・真紅・ブルー・パープル・グリーン・イエロー、
全部欲しいくらいです。繊細なレースで縁取られたものや、再度がヒモになっ
て結ぶようになっているもの、Tバックスタイルのものも有りました。姉も少
しはこういうパンティーを持っていましたが、ほとんどはコットンのシンプル
なデザインのものでした。値段は思っていたより高かったのですが、買えない
値段ではありませんでした。 

その時、店の奥のカーテンから僕と同じ年格好の女性が出て来て、 

「いらっしゃいませ。プレゼントですか?」 

と、スーパーと同じ質問をしました。 

「はい。」 

と小さな声で答えました。 

「パンティーだけですか? それとも他のものも?」 

一瞬どう答えようか迷いましたが最低限の下着は揃える必要が有りましたので、 

「ええ、他のモノもです。」 
「他には何が要るの?」 (結構タメグチ! 僕は客なんだけど...) 
「えーっと、ブラとスリップです。」 (ああっ、恥ずかしい) 
「サイズは?」 
「えっ!」 

今迄、何も考えずに姉の下着を着ていたので、サイズの事まで考えていません
でした。 

「えーっと......。」 (どうしよう?!) 
「サイズ判らないの? パンティーはほとんどMさいずかLサイズで大丈夫だ
  と思うけど、ブラとスリップはちゃんとサイズが判らないとェ。」 
「.......。」 

暫く黙って考えていると、 

「ねぇ、ホントにプレゼントなの?」 

僕の顔を覗き込むように近付いて来て訊ねます。 

「えっ?!」 (きっと鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をしていたのでしょう) 
「正直に言っちゃいなさいよ。結構多いのよ自分で穿く人。夜になると、この
  辺のお店のホステス目当てに下着を買うオヤジは多いけど、昼間っから来る、
  アンタみたいな若いコは結構自分で、ってのが多いのよ。」 
  (へぇー、そんなもんなんだ...) 
「アンタが着けるのなら、サイズは今測って上げられるけど....。」 

また、僕の顔を下から見上げるように言います。彼女から目を逸らして、 

「ゴメンナサイ!! 僕が着ます!」 (言っちゃった!!) 
「そうなんだ、良いんじゃ無い?!じゃあ、サイズ測るからちょっと待ってて」 

彼女は店の奥のカーテンの中に消えるとメジャーを持ってすぐに出て来ました。 

「じゃあ、両手を上に上げて。」 

僕の両脇から背中へメジャーを回して、胸の前で交差させると、 

「やっぱり、男の子だからアンダーが大きめネ。君、スリムだから、もう少し
  小さいかと思ったんだけど。アンダー82だから、80Aか80Bで大丈夫
  だと思う。」 (へぇー) 
「でも、スリップのサイズは80じゃぁダメヨ! Aカップなら90以上、B
  カップなら95以上じゃ無いと窮屈になるかなね。」 
「あのー、どうしてなんでしょう?」 (バカみたい...) 
「さっき測ったのはアンダーバスト。判る? そこにオッパイの膨らみがプラ
  スされるでしょ!Aカップはその差が10cm、Bカップは13cm。ネッ、判
  った?」 
「はい、判りました。」 
「で、気に入ったのは有ったの?」 
「はい! これです。」 

さっき見ていたパンティーの中の白のレースが奇麗なパンティーを取り上げま
した。 

「そう。それのお揃いのブラとスリップが有るけど、試着してみる?」 
「えっ、良いんですか?!」 
「ウン、良いわよ。 やっぱり安く無い買物するんだから、ぴったりじゃ無い
  と嫌でしょ?」 
「はい! お願いします。」 
「じゃあ、出して来るから、そこの試着室の中で待ってて。」 

そう言うと、彼女は奥のカーテンの中に再び消えました。僕は、言われた通り
に試着室に入ってカーテンを閉めて、ドキドキしながら待ちました。もうすぐ
あのパンティーが穿ける。そう思っただけで、僕のペニスははち切れそうに硬
くなっていました。 

「ねえ、まだ裸になんかなってないでしょうねぇ?」 

カーテンの外で彼女の声がしました。 

「勿論、裸なんかじゃ有りません!」 

言うなり、カーテンを開きました。彼女はちょっとビックリした様子で、 

「たまに居るのよ、露出狂。カーテン開けたら素っ裸、ってネ。」 

どう答えて良いのか判らずに、黙って彼女の持つ下着を見ていると、 

「ああっ、ゴメンゴメン。はい、じゃあこれ。着てみて。」 

僕に下着を手渡すと、彼女はカーテンを閉めてくれました。僕は、着ている服
を脱ぐのももどかしい程、焦っていました。脱いだ服を試着室の床に落として
裸になり、パンティーを手に取り、足を通して引き上げます。そう!この感触、
肌触りです! ヒップを包み込むようにピッタリと肌に張り付くような、この
感触です。ますます僕のペニスは硬くなり、脈拍に合わせてピクピク動いてい
ます。 

次にブラを取って、背中に手を回してホックを止めようとするのですが、興奮
しているせいか、中々うまく行きませんでした。鏡に背中を映して何とか止め
ることが出来ました。最後にスリップに足を通してゆっくりと引き上げてスト
ラップに腕を通すのですが、スリップの生地がパンティーの上に顔を出してい
たペニスを擦ると、快感が背中を駆け上がり、思わず声を出してしまいました。

「大丈夫?」 

突然、彼女がカーテンの端から顔を出しました。さっき、ブラのホックを止め
るときに鏡に背中を向けていたので、まともに彼女と視線が合ってしまいまし
た。

スリップはまだブラの下辺りに有り、その下で大きくテントを張っていました。
目ざとくその膨らみを見付けて、彼女はニヤリと笑うと、僕にウィンクして顔
を引っ込めました。 

一瞬の出来事で、呆然としましたが、お陰で興奮も少し覚めて、僕のペニスは
少しだけ大人しくなってくれました。スリップを引き上げて、ストラップに腕
を通しましたが、ブラの中味が空気だけなので、胸のラインが奇麗に出ないの
が、凄く悲しい気持ちにさせました。鏡に映った自分を見るために体を回転さ
せていると、再び彼女の顔がカーテンの端から覗きました。 

「どう? サイズは?」 
「サイズは良いんですけど、胸のラインが....。」 
「まぁ、仕方無いわね。パットを入れてみる?」 

そう言うと、また彼女はカーテンから消えました。しばらくすると、カーテン
の端を少し開けて 

「1枚じゃ足りないから、2枚ずつ入れようか? ちょっとこっちに来て。」 

段々と自分の下着姿を女性に見られていることに麻痺して来ていたのか、言わ
れて通りに彼女の傍に行きました。彼女はスリップの上側から2枚重ねた肌色
の円錐形をしたパットを僕の左のカップから入れました。少し離れて全身を試
すように眺めて、 

「良いンじゃ無い? 結構奇麗にラインが出てるよ!」 

僕は鏡でバストラインを確認しました。そこには奇麗なバストラインが出来上
がっていました。決して大きくは無いけど、奇麗なラインでした。 

「ねぇ、ちゃんとストラップは調節した?」 
「エッ? 調節?」 
「やっぱりして無いのネ! ストラップの長さを調節して、きちんとトップバ
  ストがカップのトップに来るようにしなくちゃ!」 

そういうと、彼女はカーテンの中に入って来ました! 

「君はじっとしてなさい! 私が調節して上げるから。」 

そう言うなり彼女は正面から迫って来ました。 

「!!」 (僕がビックリしていると) 
「このブラとスリップはデザイン重視だから背中に調節する遊びの部分が有る
  の」 

そうなんだ、と納得して立っていたのですが、今思えば、背中を向かせた方が
調節し易い訳ですから、始めから彼女には魂胆が有ったのかも知れません。 

まるで抱きつかれているような格好でストラップを調節されたのですが彼女の
香りと密着する下半身で、また僕のペニスは硬くなっていました。彼女にそれ
を知られたく無くて、腰を後ろに引いていると、 

「ちゃんと立ちなさい!」 

怒られて姿勢を真っ直ぐにした途端、僕のスリップ越しのペニスと彼女の下腹
部が当たり、僕は思わず声を出してしまいました。 

「アッ!」 
「もう、何をそんなに感じてるのよ? そんなに気持ち良いの?」 

恥ずかしくて答えられず、黙って頷きました。 

「じゃぁ、もっとセクシーな『モノ』も着けてみる?」 

彼女が何の事を言っているのか判らなかったので、返事に困っていると、 

「さぁ、これでストラップはOK! ちょっと、待っててネ。」 

と言って、またカーテンの向こうに消えました。彼女はすぐに戻って来て、試
着室の中に入って来ましたが、左手を背中に回して何かを隠しているようです。 

「何ですか、それは?」 
「あのね....、これ!!」 

彼女が僕の目の前に出したのは、ガーターベルトとストッキングでした! 

「ね、セクシーでしょう。見た事位有るわよネ?!」 
「.......。」 (頷くのがやっとです) 
「どう、着けてみたい?」 
「.......。」 (再び頷くだけです) 
「じゃあ、着けてみよう!」 

まるで僕をおもちゃにして彼女は楽しんでいるようでした。僕の足下にしゃが
むと、 

「ちょっとスリップの裾を持ち上げてっ!」 
「えっ? だって....。」 
「良いから、言われた通りにしなさい!」 

ピシャリと言われて、仕方無くスリップを持ち上げます。パンティーの上から
顔を出している僕のペニスも丸見えです。顔から火が出る位恥ずかしいのに、
彼女は別に何でも無い素振りで僕のウエストにガーターベルトを巻き付け、そ
こから下がったストッキング止めをパンティーの内側にくぐらせます。次にス
トッキングを片足ずつ爪先まで丸めて僕の足に履かせてくれました。 

「どう?」 

ストッキングを止め終わった彼女が僕を見上げて聞きます。鏡の中には黒いレ
ース付きストッキングをガーターベルトで止め、白いパンティーを穿いて、そ
のパンティーの上から硬くなったペニスを聳えさせて、奇麗なバストラインを
見せるスリップを持ち上げている「中性の女の子」が居ました。 

足下の彼女も鏡の中の僕の顔とペニスに交互に視線を投げています。彼女の手
が鏡の中のペニスにそっと副えられた、と思ったら、また快感の波が背中を駆
け上がりました。触れるような触れないような彼女の微妙な手の感触に今にも
爆発しそうに硬くなって脈打っている僕のペニス。その先端からは透明な液体
が泉のように湧き出し、パンティーを黒く濡らしています。 

「恥ずかしい? それとも気持ち良い? 声に出して言ってごらんなさい。」 

優しい彼女の言葉に逆らえずに 

「恥ずかしいけど、その恥ずかしさも気持ち良いです。」 
「行きたい? 出したいんでしょ?」 
「はい、出したいです。とっても。」 
「じゃぁ、大切な下着を汚さないように、見ててあげるから自分でしても良い
  わよ。」 

そう言うと、彼女は僕が持ち上げていたスリップの裾を持って、僕の両手を自
由にしてくれました。何故、彼女の前であんな事が出来たのか、今でも不思議
ですが、鏡の中の中性の女の子に向かって、僕はペニスをしごきました。片手
でペニスを握り、空いた手でストッキングに包まれた足を撫で、ブラの膨らみ
を確認し、ヒップを包むパンティーの手触りを確認して、声を出して鏡の中の
女の子に向かって大量の精液を放出しました。 

気が遠くなるような快感の中で、立っているのも辛くなり、壁に手を突いて立
っているのがやっとでした。急速に萎えるペニスを見て、彼女はスリップから
手を放し、カーテンから出るとティッシュの箱を持って戻って来ました。 

「鏡や床もきちんと奇麗にしておいてネ!」 

そう言うと彼女は試着室から出て行きました。 

言われた通りに自分の放出した精液を奇麗にふき取り、下着を脱いで、男の服
に着替えました。結局、随分と予算オーバーの買物になってしまいましたが、
全部買うことにしました。もうどれ一つ足りなくても、今の快感は得られない
ような気がしたからです。 

下着を包装しながら、彼女は 

「また、新しい下着が欲しくなったら、いつでも来てね。今日みたいな事が起
  こるかどうかは判らないけど...。」 

そう言ってウィンクしました。 

「ウン、ありがとう!」 

お礼を言って、店を出ました。 

(続く)