オフィス・ラブ [Part-4](作:慶子さん)


『再びオフィス』

  忘れられない玲子さんのマンションでの出来事から私の毎日は一変しました。
玲子さんに命令され、その命令に従い、その努力を誉めて貰える、今迄決して
知らなかった満足感・充実感を知ったのです。ただ、仕事上は今迄と何の変化
も無く、同じ日々が続いていました。

  今日も上司から頼まれた仕事を終わらせるために、残業です。でも、残業も
以前とは違う楽しみが生まれました。いつもの様に、23時のガードマンの巡
回が終わると、私は玲子さんのロッカーへと向かいます。以前なら、玲子さん
の征服とヒールだけを持って自分のフロアへ戻るのですが、最近はロッカーに
置かれたバッグを持ってデスクへ戻ります。

  バッグの中には今日私が身に着ける下着・アウター・ヒール等と一緒に今日
私がクリアしなければならない「命令書」が入っています。私は、忠実に「命
令書」をクリアし、その証拠写真をデジカメで撮影しなければなりません。そ
して、次の休みに証拠写真を玲子さんにお見せしなければならないのです。

 デスクに戻ると着ている「男の殻」を脱ぎ捨てました。バッグの中味をデス
クに順に出して行きます。今日の下着は黒のサテンのブラとパンティー、お揃
いのガーターベルトと黒のストッキングにミニスリップです。アウターは黒い
レースのスリップ・ドレスに同じ黒のレースのカーディガンです。靴は黒のロ
ーヒールのサンダルでした。ウィッグは軽いウエーブのロングです。下着を順
に身に着け、スリップドレスを着てから、メークに取りかかります。玲子さん
のマンションでメークして貰ってから、自分の変わりように驚き、玲子さんの
指導の下で随分懸命に練習したおかげで、普通の女性がするのと同じ程度にメ
ークの腕も上がりました。最初は1時間以上掛かっていた時間も、今では30
分とかからずに仕上げることが出来るようになっていました。最後にウィッグ
をかぶって、出来上がりです。男物を全てバッグに詰め込んで、準備完了です。

 私の会社はガードマンが常駐していますが、社員証兼用のIDカードさえ有
れば、24時間ビルの出入りは自由です。通用口はガードマンの詰め所前を通
らなければなりませんが、この時間は当然まだ巡回中なので、詰め所にガード
マンは居ません。貨物用エレベーターで1Fへ降り、IDカードを通して通用
口から出ます。少し会社から離れてから「命令書」に目を通します。

命令 
XX公園へ行き、オカマ目当ての男に抱かれる事 

短い命令でしたが、2度繰り返して読みました。

「XX公園」 

声に出して言ってみました。知る人ぞ知る、結構有名な公園です。女装の男娼
が夜な夜な集まる公園として有名で、またその男娼を目当てに男が集まってく
る公園です。少し、怖い気もしましたが、行かなければ「命令」をクリアする
事は出来ません。決心が鈍らないように、少し早足でタクシーの拾える通りへ
と向かいました。

  バブル全盛の頃なら深夜にタクシーを拾うのは一苦労でしたが、バブル崩壊
以後は、比較的簡単に拾えるようになりました。今夜も5分と待たずに空車の
タクシーが通り掛かりました。右手を上げてタクシーに乗り込み、

「XX公園まで」 

と小さな声で行き先を告げました。あまり運転手さんとはお話ししたくないの
で、すぐにコンパクトを取り出して、化粧を直す振りをします。口紅や、アイ
シャドー、ファンデーションなど、一通りのチェックと手直しの振りをして、
それ以上間が持たなくなったら、システム手帳を広げて何かを書き込む振りや、
調べる振りをして誤魔化します。 

「1,600円です。」 

運転手に2千円を渡し、黙ってタクシーを降ります。さぁ、これからです。 
  
  

『XX公園』

  少し公園全体の様子をうかがって、これからの作戦を決めます。この公園
へ来る「男」は車で来るケースが多いので、あまり公園の中央へは行かないよ
うにします。また、公園の周囲の木立の中や出入り口には「プロ」の方が居ま
すから、そこへも近付かないようにします。公園の周りの歩道を歩いて、中に
入れそうな入り口を捜します。少し歩いた通りとは反対側の入り口には幸い誰
も居ませんでした。その入り口から公園の中に入り、反対側の通りに面した入
り口の方へ歩きます。少し入り口から距離を置いたベンチの辺りで素敵な男性
を待つことにします。 

 うまく男性とカップルになれたら、その後の事を考えます。周りを注意深く
見回すと、丁度50m程離れたところに野外ステージが有ります。そのステー
ジの裏手なら、死角になって他の人に見られることは無さそうです。少し緊張
しているので、咽喉が渇いて来ました。私は立ち上がって水飲み場の方へ歩い
て行きました。蛇口をひねって一口、二口、水を飲みました。前屈みの姿勢で
水を飲んでいたので、後ろは全く無防備でした。突然、誰かが私のヒップを撫
でました。 

「きゃっ!」 

小さく叫んで、振り返りました。 

「誰かを待ってるのかい?そんな訳無いよな?!俺と楽しまないか?幾らだ?」

ゆっくりと男は値踏みするように私を見詰めます。年の頃なら30代前半、ちょ
っとハンサムな感じの良い男です。背も高く、声も甘い声です。

「お金は良いの。」 

やっと答えました。 

「どうして? 相場が有るんだろ?」 
「今夜、初めてなんです。それにプロじゃ有りませんから...。」 
「ウン? プロじゃ無い? なんだ、素人か....。」 
「あっ、でも、一生懸命頑張ります、だから....。」 
「まぁ、試してやるか。 でも、下手だったらそれまでだからな!」 
「はい、それで結構です。」 

どうして、こんなに「女」というのは弱い立場なのだろう。抱かせてあげる、
って気持ちになれないのはどうしてだろう? 下手だったら、こっちから願い
下げの筈なのに、「男」を前にすると、どうしてもそんな事は言えなくなって
しまう。

男は私の腰に手を回して歩き始めました。 

「あそこのステージの裏へ行きませんか?」 
「ウン? そうだな。」 


『バックステージ』

 ステージを回り込んで、裏へ行きました。コンクリートの壁を背に、男が仁
王立ちになります。私は男の前に跪いて、男のベルトを緩め、ボタンを外し、
ジッパーをゆっくりと引き下げます。その間にも徐々に男の「物」が怒張して
来るのが判ります。トランクスの裾から手を差し入れて「男の物」を引っ張り
出します。 

(大きい!) 

最初は優しく先端にキスをし、唇で円を描くように愛撫します。舌で「チロチ
ロ」という感じで焦らします。下側の縫合線に沿って舌を這わせ、袋にもキス
をし口に含みます。何度か繰り返して、ペニスが脈打ち始めたのを確認したら、
全体を口に含みます。一旦口を離して、

「ねえ、私があなたに奉仕しているところをこのデジカメで撮って欲しいの」 
「判った、撮ってやるから続けろよ。」 

どうして「奉仕」なんて言ったのだろう、と思いましたが、他に適当な言葉が
浮かばなかったので、そう言いました。デジカメを彼に渡して、再び彼のペニ
スを飲み込みました。

  深く、浅く、頭を前後に動かして刺激します。少し彼の腰が私の動きに合わ
せて反応するようになって来ました。頭の動きに、舌のテクをプラスします。
舌を絡み付けるように巻き付けて左右に回転させます。

「あぁ、良いヨ、その調子だ...。」 

段々と感じてきている様子です。口の中に吸い付ける力を更に強めます。

「おおっ、あーっ、そろそろだ。」 

彼のペニスから離れて、素早くバッグからコンドームを取り出し、唇で彼のペ
ニスに被せます。本当は抱き締められてキスして欲しい、私の股間も愛撫して
欲しい。でも、そうは行きません。彼と入れ替わってコンクリートの壁に手を
突いて、お尻を後ろに突き出します。彼の手が乱暴にドレスの裾を引き上げ、
パンティーを膝まで引き下ろします。冷たい夜の空気がヒップに触れ、ピクッ
体が震えました。

ガーターベルトの腰を彼の手で抱えられて、彼のペニスが私のアヌスに宛てが
われました。 

「行くぜ。」 

彼の言葉と同時に腰が突き出され、私の腰が引き寄せられます。

「アッ、アーッ」 

恥ずかしいけど、思わず声が出てしまいます。彼のモノが私の腸の内部を掻き
回します。感じる、擦ってる、当たってる...。

「お願い、アッ、これも撮って!」 

ピストン運動を休み無く続けながら、背中でストロボが光ります。もう、どん
な映像でも構わない。もっと突いて、もっと深く。彼の動きに私の体もガクガ
クと揺れます。 

「行くぞ!」 

彼の動きがピタリと止まり、腰を私のヒップに押し付けて来ます。

「あっ、あぁっ、あーーーーー。」 

腸の中への射精を感じることが出来ないので、ホントはちょっと物足りないの
ですが、彼が私の中で行ってくれた事で満足出来ました。

  荒い息をしながら、彼のペニスが抜かれるのを待ちます。すぐに彼のモノは
萎え始め、私のアヌスから押し出されるように抜けました。私は、手で体を支
えながら、彼の方に向き直り、コンドームを取り去った彼のペニスを口で清め
て上げます。 

 トランクスの中に彼のモノを戻し、ズボンのボタンをかけ、ジッパーを上げ
て、ベルトも留めて上げます。やっと、そこまで出来たら、地面に座り込んで
しまいました。

「ほらよ。なかなか良かったよ。」 

デジカメを私の膝の上に置いてそう言うと、男は去って行きました。


『プロ』

 まだ、余韻から醒めずに、ボンヤリと座っていると、周りから人が近付いて
来るのが判りました。

「人の縄張りで、何してるのよ?!」 

結構凄みの有る声です。

「エッ、ゴメンナサイ。でも、お金は貰ってません!」 
「お金を貰ってない? なお悪いわヨ!!」 
「....。」 
「私達は商売でやってるのよ。それをタダでさせるなんて、舐めてんの?!」 
「イイエ。」 
「フザケんじゃ無いわよ!!」 

両手両足を押さえ付けられ、地面に大の字に寝かされました。ドレスの裾を引
き上げられ、私のペニスがあらわにされました。

「二度とこんな事をしたく無くなるように、少し痛い目にあって貰おうか?」 
「止めて下さい! もう二度としませんから!」

必死に叫ぼうとしましたが口にハンカチの様なものを詰め込まれて、叫べなく
されました。 

 少なくとも3人は居たようですが、実際にはもっと居たのかも知れません。
恐怖で小さくなった私のペニスを唇で刺激し、勃起したら誰かが私に跨がって
アヌス・ファックします。私が射精するまで腰を動かし続け、絞り取ります。
一人で終わりでは無く、しばらくしたら、また誰かに勃起させられ、誰かが乗
し掛かって来ます。途中からは、ペニスが痺れて、勃起しているのかどうかさ
え、自分では判りませんでした。女装した男同士で「レイプ」とは言わないの
かも知れませんが、私に取っては紛れもない「レイプ」でした。

 最初は何とか抵抗しようともがきましたが、相手も元々は「男」ですから、
力で叶う筈は有りません。途中からは抵抗する気力も失せて、されるがままに
なっていました。気付いたら涙が溢れていました。

 女として抱かれた後で、男として射精させられるなんて、悲しくて仕方が有
りませんでした。何人が私の上に乗ったのかも覚えていませんが、罵倒するよ
うな言葉を残して彼女達はどこかへ行ってしまいました。それから、どの位の
時間が経過したのか判りませんが、やっと体を起こし、下着を上げ、身繕いを
して家に戻りました。


『次の休日』

 XX公園での悪夢の様な出来事は、随分尾を引いて、私の心に沈殿していま
した。それでも、玲子さんへ「命令書」に対する報告はしなければならなかっ
たので、次の休みにマンションへと向かいました。いつもの様に、玲子さんの
マンションでシャワーを浴び、メイド用の下着を着けて変身しました。

 玲子さんは私とは違い、パソコンにも精通していたので、私からデジカメを
受け取るとすぐにパソコンに接続して撮影した画像を転送し始めました。転送
が完了すると、画像の確認です。ビデオプロジェクターのスイッチが入り、デ
スクトップが壁に大写しになります。

「じゃぁ、一緒に確認しましょうか?」 
「....。」 

最初はフェラで奉仕している私が映し出されました。

「この男はどうだったの? 気に入ったの?」 
「はい。」 

次は、アヌスに突き立てられている私です。 

「感じたの? どうなの?」 
「はい、感じてしまいました。」 

言葉による羞恥責めです。3枚目は後始末を口でしている私。 

「こんな事までしたの? 恥ずかしく無いの?」 
「恥ずかしいです...。」 

クリック! 

「あっ!?」 

あのプロの彼女達が押さえ付けられてレイプされている私を撮っていたのです
巧妙に自分たちの顔は写さないように、私が犯されているのが撮影されていま
した。

「何なの、これは?」 
「.....。」 
「黙ってちゃ、判らないじゃ無い!」 
「.....。」 

何か言おうとしましたが、言葉は出ず、何故か涙がどんどん溢れて来ました。 

「!」 

その涙に気付いて、玲子さんもそれ以上何も言わなくなりました。私の目はス
クリーンに釘付けになったまま、後から後から、涙が溢れ出ました。玲子さん
は黙って部屋を出て行くとディルドを装着した姿で戻って来て、私を立ち上が
らせ、優しく抱き締めてくれました。私の肩に手を回したまま、ベッドルーム
へ移動し、私を跪かせました。全て判っていたので、私は黙ってディルドを口
に含みました。また、涙が溢れて来ましたが、それはさっきまでの涙では無く、
喜びの涙でした。

 十分に唾液で潤された頃合いを見定めて、玲子さんは私をベッドへ上げまし
た。いつもの様にバックスタイルを取ろうとすると、玲子さんは私の体を回転
させて正常位の姿勢にしました。私の両足を肩に着く位に持ち上げ、私の中に
侵入して来ました。初めて貫かれながらキスをしました。何と甘美なキスなん
でしょう! また、涙が流れました。左右の目から耳へ溢れた涙が流れ落ちま
した。 

 唇を離した玲子さんはリズミカルに腰を使いながら、私のペニスに手を伸ば
しました。でも公園での出来事以来、なかなか勃起しなくなっていました。ア
ヌスは悲しいほど感じるのですが、精神的なものかも知れませんが、ペニスは
勃起してくれなくなっていました。

 玲子さんは諦めたのか、ペニスから手を離し、ディルドに専念したようでし
た。ふたりはだんだんと昇り詰め、生理食塩水の射精でフィニッシュしました。
余韻を楽しみながら、ベッドに横たわって玲子さんが言いました。

「ホントのヴァギナだったら勃起できるかしら?」 
「えっ、玲子さんの?」 
「ううん、違うんだけど...。」 
「じゃぁ、誰の?」 

玲子さんはベッドを降りると一旦ベッドルームを出て行き、誰かを連れて戻っ
て来ました。 

「!? 玲子さんが二人居る !?」 
「どう? そっくりでしょ?」 
「玲子さん、双子だったの?」 
「似たようなものだけど....。」 

もう一人の玲子さんは、清楚なワンピースを着ていました。ゆっくりと私に近
寄り、ベッドの隣に恥ずかしそうに腰掛けました。どうして良いか、判らなか
ったので玲子さんを見ると、

「抱いて上げて。」 
「良いんですか?」 

もう一人の玲子さんに聞くと、ゆっくりと頷きます。もう一度玲子さんを見る
と、玲子さんも頷きます。

「抱けるかどうか判りませんが...。」 

そう言って、そっと隣の玲子さんにキスしました。ぎごちない反応が帰って来
ました。まるでファースト・キスの様に体を硬くしています。私は今迄とは違
う、興奮を覚えていました。

(勃起出来るかも知れない..) 

何の根拠も無く、そう思いましたが、これが未知の世界への入り口だとは、こ
の時には全く気付きませんでした。

(続く)