聖者なんていない 一章(作:SAYさん)



「ア・・アア・・」

麻衣は、天井から吊るされた鎖の先端に取りつけられた手枷に、両手を縛めら
れ、自由がきかない状態にされていた。

ローションを髪の毛をのぞいた全身に塗られて、裸身がヌラヌラと光っていた。

「アァ!  アアン・・」

太ももを必死に摺り合わせることで、恥ずかしい陰部は守れても、お尻のアナ
ルは、隠すことができない、体の最も無防備な場所だ。

そのアナルに、ゴム手袋をはめた男の手でバイブを突っ込まれていた。

男が背後から、妖艶に汗のしたたる麻衣の耳に顔を近づけ、言った。

「どうだ? ケツの穴もいいだろ?」

催淫効果のある、アンフェタミンという麻薬の混ぜられた性感ローションを
全身に塗られた麻衣は、異様な快楽に身悶えるしかなかった。

「イヤ・・イヤァ・・」

男は口もとに好色な笑みを浮かべた。




話は、数年前まで戻る。

「あの、MNビルって、どこか知りませんか?」

麻衣は、はじめて降りた都心の駅前で、面接に向かう会社のあるビルの場所を
尋ねた。

麻衣は、雪国北海道の田舎町で生まれ育った。高校を卒業後、学力が足らず
大学や短大には行けず、札幌に出て、コンピューター事務系の専門学校に通い、
その間、効率がいいと、親には内緒で、歓楽街ススキノのソープランドで働い
て、生活費や学費を工面した。

美貌のうえ、雪国育ちで肌が白く、プロポーションも良かったせいか、客の中
に関係者がいて、何度かAV女優にスカウトされた。

しかし、風俗でセックスの味は、体の奥まで覚えこまされてしまったが、それ
は生活費のため。卒業したら、夢の大都会、東京に上京して、適当に就職先を
見つけようと思っていた。

そして二年後、念願の上京を果たした。都内のIT系の中小企業に、事務経理
として入社することができ、中央線の沿線に安いアパートを見つけた。

仕事の合間、週末に都内のクラブに入り浸り、何人か、いかにも流行りの茶髪
のイケメン系男のナンパに乗り、会話が弾んで楽しければ、誘いに乗って、ノ
リでラブホテルまで一緒し、セックスすることもあった。

でも、酒の酔いがさめると、なぜか勢いも覚めてしまい、気がついたら部屋で
一人でいるような生活にもどってしまうのだった。

誘った男たちも、しばらくすると、「よく分からない女だな」とか言って、麻
衣のそばから去ってしまうのだった。

「私、どーせ、バカだしね・・」

麻衣も、もともとサッパリした性格なせいか、自分の方からしつこくしがみつ
くようなことはなかったため、結局、長続きしない短い交際ばかりとなってし
まうのだった。

そんなこんなしているうちに、上京して数年がたってしまった。

20代中盤に入り、適度なセックス経験も手伝って、麻衣の体は、肉感的に成
熟していた。

「私なにげに、思いっ切りDカップじゃん・・・フフン」

クラブ通いも飽き、アパートの部屋に買った、パソコンでのネットチャットに
も飽きてきたころ、夜、仕事が終わると、一人でぶらりと、カクテルを出す
バーに行くようになった。

「麻衣ちゃんって、どんなタイプが好きなの?」

暇な時間はいつもグラスを磨いている、親切な中年のマスターに、ふとした時、
聞かれた。

「年上で・・・リーマンで・・・そんなとこかな」

「なるほど」

(どこにでもいるよね・・そんなタイプ・・・でも・・・それでいて、なか
なかいないんだよねぇ・・)

それからしばらくして、バーで一人の男性に出会った。30代で、ある大手企
業から中小企業に転社したサラリーマン。大手は体力的にキツかったんで、今
は中小でちょうどいいペースでやってますと言っていた。

会話がおもしろかったので、ついつい携帯番号の交換なんかをしてしまって、
珍しいエスニック料理を出すお店での食事の誘いをうけたりなんかするうちに、
交際するようになってしまった。

その彼に、マゾの調教をされた。

どっかのそういった道具を売っているお店で買ってきたという、いろんな道具
を持ってきて、両手を後ろ手にされ手枷をはめられ、あそこにローションを塗
られ、指を突っ込まれ、愛撫されて鳴いてしまい、たっぷり濡れてしまうと、
太いバイブレーターを突っ込まれた。

スイッチを入れられて振動で刺激されるだけでなく、片手を使って、奥まで
突っ込まれたり、引き抜かれたりされると、ヒイヒイ声を上げて快感の虜にさ
れてしまった。

かつて、ススキノのソープで客としたセックスの比ではなかった。ベッドの上
で、後ろ手に縛められた裸体で身悶えしつつ、何回もイカされてしまった。

そのうち、小型ビデオカメラとデジタルカメラを取り出すと、イカされながら、
恥ずかしい決定的な写真とビデオまで撮られてしまった。

言いなりにならないと、写真とビデオを、会社に送るぞ、と脅された。警察が
介入したら、自動的にネット中にバラまかれるぞ、とも。

そのせいで、もう、言いなりになるしかなかった。それに、それでも彼だった・・
・。

二週間に一度は、電話で、都内のホテルに呼ばれた。

(私の部屋ですればいいのに・・・)

でも、どうせなら、いいホテルに泊まろうよと、譲らなかった。

新宿駅のパークハイアットホテル、渋谷駅のセルリアンホテル、目白のフォー
シーズンホテル、恵比寿のウェスティンホテル、品川駅の新高輪プリンスホテ
ル、日比谷の帝国ホテル・・・。

都内のほとんどの有名ホテルに泊まった。もちろん、全部のレストランで夕食
も食べた。

それから部屋に泊まって、調教された。

(毎回奢ってくれるし、なんか悪いな・・・サービスしちゃおうっと・・・)

麻衣は、結局、彼が好きになった。それに、愛していた・・・とも言えるかも
知れない。

(よ〜するに・・・変態オジサンだけど、たまらないほど感じるし・・・)

アナルの調教もされた。

ホテルの浴室で、お尻をシャワーで洗われた後、肛門にローションを塗られ、
指で丁寧に揉みほぐされた後、1000cc入りのガラスの浣腸器や、長いゴムホ
ースのついたゴム袋式の浣腸器で、グリセリンを混ぜた浣腸液を浣腸された。

ゴロゴロ鳴らして我慢させられた後、浴室でそのまま排便させられた。
ときには、我慢させられながら、ペニスをしゃぶらされることもあった。

それから、シャワーで洗い流され、また、肛門にローションを塗られ、先の細
いアナル開発用のバイブレーターを突っ込まれた。

「ア・・アア・・気持ちいいです・・ご主人様・・」

何回かされるうちに、アナルの快感を知ってしまった。

朝、部屋にルームサービスのモーニングセットを運ばせた時は、食事をしてい
るあいだずっと、足元の床に奴隷らしく膝をついて、ペニスをしゃぶってフェ
ラチオ奉仕させられた。

「気持ちいいですか? ご主人様?」

「麻衣はどうなんだい?」

「とってもおいしい・・・」

そして、射精すると、飲み込むまで許してくれなかった。

内側に、陰部用と肛門用の二本のバイブが突き出ている責め具のパンティを履
かされることもあった。

「これを履いて」

「・・・・・・」

(まったく、ご主人様。どっからよくこんなもの見つけてくるのかしら・・・)

前の太めのバイブを体の中に入れつつ、後ろの細めのアナルバイブを肛門に押
し込みながら履く。

履いてから、歩くと、突き上げるような快感が襲うことを知る。

「ア!・・・アア!・・イヤァ」

そのまま、無理やりに、休日のデパートでの買い物につきあわされ、途中、昇
天寸前にまで追いこまれ、トイレに駆け込み、個室に飛び込むと、またたくま
にアクメに達した。

戻って、外させてと哀願しても、許してくれなかった。

その日は、屋外で何度も絶頂を迎えさせられ、そのうち、頭がボーッとしてし
まうくらいまでイッタ。

二人っきりになった時、とうとう抱きついて大泣きしてしまった。

「もう、虐めないでください・・これ以上は、もうイヤァ・・」

「ダメな奴だな」

一方的に決めつけられて、その代わりに罰だと言われて、公衆便所の個室に連
れ込まれた。

声を漏らすなと、口にハンカチを詰め込まれ、立ったままスカートをまくられ
パンティを脱がされると、後ろから、肛門にペニスを強引に突っ込まれ、犯さ
れた。

(ああ、こんな場所で・・恥ずかしい・・・)

麻衣は興奮して感じてしまった。

人に聞かれそうで、恥ずかしくてたまらないことが余計に興奮剤となり、立た
された状態でお尻を後ろに突き出して、個室の壁に両手をついてアナルを犯さ
れていると、凄まじい快感が突き上げ、悶え狂った。

無理な姿勢なのか疲れてなのか、尻の穴を掘るペニスの動きが止まると、自分
から腰を動かしてしまった。

「クックック、そうだ、もっと自分からケツを動かせ、いやらしいマゾ牝だな」

そう言われながら、お尻を平手で叩かれて、命令どおりにさせられた。

(ああ、もう私、こんな風にされないと、ダメかも・・・)

麻衣は、とうとう、真性のマゾ女にされた。