性奴隷・ユキ(4)(模作・SAYさん)



最近、私の勤めるヘルスによく来てくれるお客さんがいる。歳は20代から
30代くらい、背が高くて体格がいい男の人だ。

最初に来た時は、緊張していて無口であまりしゃべらなかった。部屋に入っ
て、水着を脱いで全裸になって、服を脱がしてあげた。いつものように緊張
をほぐすために、私はその男の人に微笑みながら話しかけた。
「お客さん、ここははじめてですか?」
男の人はうなづいただけで何も言わなかった。脱いだ上着をうけとった。
「フフ、リラックスしていいですよ」
上着をハンガーにかけてあげて、パンツまで脱ぎ終わるのを待った。
「こちらへどうぞ」
誘ってバスルームに入った。

後ろから抱きすくめられ、胸を激しく揉まれながら耳と首すじを舐められた。
片手が私の股間に入れられペニスを探り当てると、グッとつかまれた。
「あ…」
私は思わず声を出してすこし身をよじって悶えてしまった。緊張のあまり、
かえってそんな風に強引になるお客さんはたまにいる。でも、その時は、
それからがちょっと違った。

「あ…あ…」
「イヤ」なんて決して言えなかった。ずっと立たなかった私のペニスがふいに
勃起してきたからだ。手でペニスを揉まれると、酔いしれるような快感が腰全
体に広がった。
「あ…嘘…そんな…」
もうずっと長いこと不能だったペニスはどんどん固くなり、とうとう痛いほど
屹立してしまった。
「ああ…すごい…魔法みたい…」
口から無意識に言葉が出た。勃起したのは本当にひさしぶりだった。男の人に
はなんのことだか分からなかったらしく、構わず勃起したペニスをつかんで
ギュッと握りしめられ、私はゆっくりとしごかれはじめてしまった。
「あ!…ああ…あ…ああ」
とたんに快感が沸き上がって、私は後ろから抱きすくめられた体をよじら
せた。どけようした手をおなかのところで掴まれた。6
「ああ…イ…あ…イキそう…イッちゃいそう…」
気持ちよくてたまらなかった。背中を男の人の体に押しつけこみ上げる快感に
耐えた。恥ずかしくてうつむいた顔に男の人が顔をすりつけてきて、私もたま
らず目を閉じて頬をすりつけてしまった。手の動きが早まった。
「ああ!…イクゥ!…イッちゃうぅ!」
腰が震えて立っているのが辛くなった。舌で耳の裏を舐められて頭がクラクラ
した。手の動きがさらに早くなった。
「あぁ…も…もうダメェ…ホントにイッちゃうぅ…あぁ!」
突然ペニスにものすごい快感が沸きあがった。一気に激しくしごかれトドメを
刺された。
「イィ!…アァ!イク!…アァ!ダメェーーー!」
悲鳴をあげ肢体を反らせ、激しく射精してしまった。ドピュッドピュッと脈
打って精液が噴き出た。気持ちよすぎて卒倒しそうになるのを後ろから抱きと
めてもらった。体がビクンビクンと何度も律動した。さらに強くしごかれてた
まらず悶えた。
「はあああ…ああ…あああ…」
何回も何回も精液が噴き出た。私の口はだらしなく開いてしまって、射精が止
まるまでずっとはしたない声を出していた。やっと終わった。本当にひさびさ
に感じるすごい快感だった。男の人に手を離されると、私はペタンとベッドに
座り込んで茫然としてしまい、しばらくお仕事にならなくなってしまった。

「あぁっ!」
いきなり乳首をつままれビクッとして声をあげ我に返った。前を見ると、男の
人が私の顔を心配そうに見ていた。
「だいじょうぶ?」
その時になって、私は、すっかり仕事を忘れて快感の余韻に浸っていた自分に
ハッと気がついた。
「ハァ…ハァ…ごめんなさい…私…なんだか…すっかり…ハァ…」
ふいに目に熱いものがこみ上げてきた。自分でも驚いたけど、うれしくてとう
とう私は涙まで流してしまった。

それから、その男の人のペニスを夢中でフェラチオしてあげて、それでイカせ
てあげた。アナルには興味が無いといわれてしまってちょっと傷ついたけど、
そういう人もたまに来るので深く気にはしなかった。無情にも決められた時間
がきてしまった。帰り際、私はその男の人に「お客さん、絶対また来て、また
私をイカしてください、お願いします」と言ってしまった。そして頬にキス
した。バカかと思われるかなんて、全然気にしなかった。本当にまた来て欲し
かったからだ。

そんなことがあって、私は名前も知らないその男の人に勝手に「魔法つかい」
とアダ名をつけて、また来ないかなと、内心で待ちわびた。もちろん、一回
だけ来てそれっきりって人も多いから、来なかったら仕方ないとも思ってい
た。そのあと、私の性器はまた不能になってしまい、ストレスがたまった私は
他のお客さんに、やたらと自分からアナルにペニスをねだるようになってし
まった。それで私を気に入ってくれたお客さんもいた。

私がまた不能になったのは、優子に呼び出されて、何度か「特別な顧客」の
相手をさせられたからだ。ヘルスに勤めはじめた頃、私としてはうれしいこと
に飽きられたのか、それまで全部で4本出演していたAVの撮影がパッタリ無
くなって、内心ホッとしていた。そしたらこんどは、携帯をつかって指定の
場所に行かせて、私のようなシーメールを虐めるのが好きなお金持ちの相手を
させるという。私は例よって渋々同意させられ、最初は指定された都内のホテ
ルの客室に一人で行かされた。

最初の相手は、お医者さんぽい若い男だった。私の体に興味があるらしく、
後ろ手に縄で縛られて体中をまさぐられて、乳首をつまんで引っぱられたり、
アナルを指で開かれていじられ、「いつもここにチンチンを入れられてんの
か、よくこんな小さな穴に入るな」とか、「へぇー」とか「ふーん」とか、
やたら感心された。それから突然、怖くなって、鞭で叩かれて浣腸されて、
我慢させられながらまた鞭で叩かれ、バスルームで見られながら排便させられ
て、フェラチオさせられた後アナルに入れられた。入れるとすぐに果ててし
まった。ペニスを舐めてキレイにした。縄を解かれて、「もう帰っていい」と
言うので、シャワーを浴び服を着て客室を出た。

二回目に携帯で指示されて行かされたのは、住宅街に堂々と建つ大きな家
だった。中年の女中さんに案内されて入った奥の部屋にいたのは、一人の老人
だった。私はビックリした。歳は80歳近いかも、と思うくらいのヨボヨボの
おじいちゃんだった。何をされるのかと内心ビクビクだった。でも老人は私に
ただフェラチオして欲しいとだけいった。私が30分も枯れ木のような節くれ
だったペニスを一生懸命舐めてしゃぶったり、乳房に挟んでしごいたりしてあ
げてなんとか勃起させると、老人の目から涙が流れ落ちた。私はなんだか可哀
相になってしまった。コブのように節ができたペニスをアナルで咥えてあげて
お尻を動かすと老人は幸せそうな顔をした。でもビックリしたことに、老人の
節のあるペニスでアナルをこすられるのはすごく気持ちよくて、私は老人の上
ではしたなく燃えてしまった。一時間も経って体がツリそうになってアナルが
ヒリヒリしてきた頃、老人はやっとイッてくれた。イッた時の老人のなんとも
いえない顔は、私の忘れられない思い出になってしまった。

キレイにしてあげて着物を着せてお茶を注いであげると、座椅子に座った老人
の膝の上に乗らされて、話をされた。
「得意先はんから、あんたの話を聞いてな。男の子やのにあんまり綺麗やから
女の子になったのがおる言われて、死ぬまでにいっぺん拝みとうなった。
おかげでえらい若返りさせてもろたわ、おおきになあ」
「おじいちゃんの…ぁ…節がたくさん…あって…ぁぁ…とっても…
…おいしかった」
後ろから抱きつかれて胸をいじられモジモジしながら答えた。経験豊富らしい
老人の愛撫は話しながらでも絶妙でした。
「あんたほんまべっぴんや、肌があつうなって、桃色になっとる、
きれいやで」
別れ際、老人と長いキスをして家を出た。私はなんとかうまくやれたと思って
ホッとした。

それからニ回ほど呼び出されて、別の「特別な顧客」のSMの相手をさせられ
た。相手は、まだ若い東大出の高級官僚と、中年の会社社長。緊縛、平手で
お尻を叩かれるスパンキング、鞭打ち、浣腸、バイブレーター、全身舐め、
フェラチオ、アナルセックス…。優子に調教されて慣らされてしまって、それ
にヘルスで働いている私にとっては、いつものフルコースをこなしただけで
した。

それ以外は、平日は毎日ヘルスで働き、土日の休日はヨガを習って、一人で
シブヤで映画を見たり、エステや美容院にいったり、ショッピングで服を買っ
たりして過ごす平穏な日々が過ぎていきました。一度、地元の実家から電話が
かかってきて、たまには帰省するように言われたけど、なんとかごまかした。
話し方で私が変わったことに気づかれないよう気をつけた。

もう来ないだろうなあ、と思ってしまったころ、ふいに「魔法つかい」が現
れた。私はうれしくて部屋に入ったら抱きついてしまった。男の人はびっくり
したみたいだった。私はその人の手でまたイッタ。ひさしぶりで溜まっていた
からいっぱい射精した。「お客さん、また来て、絶対来て、お願い、また私を
イカせてください、お願いします」、私は周囲の目も気にせずに、帰り際に
思いっきり再来をねだってしまった。

恥を捨てて死ぬほどねだったおかげで、翌月、「魔法つかい」はまた来て
くれた。

三回目だった。私はまたひさしぶりに手で激しくイカされて射精させられて
から、ベッドに寝そべった男の人のペニスを舐めてしゃぶっていた。拒み続
けられたけど、私はずっとそのペニスがアナルに欲しかった。勃起した亀頭
のカリに舌を這わせて舐めていたら、入れて欲しくてたまらなくなってし
まった。そして舐めながら言った。
「ねぇ、お客さんのペニス、入れていい?」
天井を向いて目を閉じていた男の人が、目をあけて私を見た。
「ん?…肛門に入れるのか?」
私はペニスの根元を少し音を立ててしゃぶりながら微笑んでいった。
「ンフ、これ、お尻に欲しい…」
とうとうねだってしまった。後ろに突き出しているお尻を少しだけたまらな
そうに振った。
男は頭をバタッと倒して上を向いてタメ息をついた。いつもならすぐきっぱり
拒否されていた。
「あーどうするかな、経験ないんだよなーアナル」
私は少し笑ってしまった。男の人がけっこうまじめに考えていたからだ。私は
ペニスに手をあててさすりながら、体を起こした。
「フフ、だいじょうぶですよ、私にまかせてください」
手でペニスをさすりながら男の人の腰にまたがり、お尻をペニスの真上に持っ
てきて腰をゆっくり下げていった。固くなったペニスがアナルに当った。ゆっ
くり肛門を押し分けて入ってくるのを感じた。
「お、おおお!」
男の人の目が丸くなった。私は目を見て微笑みかけ落ち着かせながら、アナル
の奥までペニスを咥え込んでいった。入れるとなんともいえない満ち足りた
感覚が私の体を包んだ。
「あ…あぁん…お客さんの…気持ちイイです…」
根元まで咥え込むと、アナルをゆるく絞めてゆっくり腰を上下させはじめた。
男の人が抵抗なく受け入れてくれたのを確かめて、私はうっとりと目を閉じて
アナルに入れたペニスを味わった。
「あぁん…おいしい…」
気持ち良かった。腰を上下させながらしだいにアナルを強く締めていってペニ
スを絞り、射精を誘った。イカせてくれたお礼に、できるだけ気持ち良くして
あげようと思った。

途中から押し倒され、正常位で突かれて、感じた。キスしてきたので、私は
自分から舌を入れて男の人の舌と絡め唾液をすくいとり飲みこんだ。溢れた
唾液が口からたれた。逆に舌を吸われて頭がクラクラするほどの陶酔を
感じた。

「あぁん!…もっと!…もっと突いて!」
はしたないことばを口にしてねだった。男の人は足を大きく開いた私のアナル
を一生懸命突いてくれた。肛門から私が感じると出す体液が漏れてお尻がび
しょびしょに濡れた。私は男の人の体を触りながら目を閉じて体の中をかき回
される感覚に身をまかせた。心地よい快感で私をじゅうぶん酔わせながら、
その男の人は射精した。私のアナルでイッてくれた。手を伸ばして肩で息を
する男の人の体を引っぱり抱きしめてあげた。そしてキスした。
「お尻でイッてくれて…うれしい…」

「もう来てくれないですか?」
帰り際、服を着るのを手伝いながら、私は急にそんな不安を感じて口にした。
男の人は少し黙ってからいった。
「うん、お金がかかるからな」
(やっぱり…)
私は悪い予感が的中してヘコんだ。ヘルスは決して安いお金じゃない。それに
短い時間ですぐ終ってしまう。最初は好奇心や興味本位で来て楽しんでくれ
ても、一、二回来れば飽きられてしまって、もう来なくなるお客さんも多かっ
た。その男の人は、もう三回もお金をつかってくれた。

「こんど休日、私とつきあってもらえませんか?」
私はいってみた。もちろん笑われてやんわり断られると思っていった。ヘルス
で働いているし、シーメールだし、汚れてるし、バカだし…私となんて…。
男の人の動きがとまった。ゆっくり振り返って私をじっと見た。そしてその顔
が笑った。
「いいよ」

部屋を出る前、携帯の番号を交換した。携帯に「魔法つかい」の番号が増え
た。帰り際、黙ってキスした。男の人は何も言わずうなづくと、帰っていっ
た。お店には内緒にしておくことにしたからだ。

次の土曜日、ひさびさにデートした。精一杯の化粧をしていちばんおしゃれだ
と思う服を着た私は、かなりイイ線いっていたと思う。優子たちのこともある
ので、都内は避けて横浜まで足をのばした。中華街を歩いて二人で肉まんを
食べた。ゲームセンターでダンスマシンを甘く見て転んだ。ボーリングをして
腕が痛くなった。私は背は小さかったけど運動神経はもともと良かったので、
いきなり200点を出して驚かせた。二人で映画を見た。映画館を出ると夜に
なっていた。港にあるホテルのレストランで夜景を見ながら二人で食事した。
そして、食事が終わる頃、私は彼をホテルの部屋に誘った。OKしてくれた。

港の夜景が見えるホテルの部屋で、窓に手をついて立ったまま後ろから入れら
れて、私は感じた。両手で胸を揉みしだかれたまらずに頬を彼の顔にこすりつ
けた。彼はバックからアナルを突きながらときどき私のペニスを握ってしごい
てくれた。私は声を出して悶えた。今まで一度も経験しなかった快楽を与えら
れた。私は激しくイッた。前でイッてしまい、激しく突かれてアナルでも
イッた。彼の息があがり少し休憩して水を飲み、ベッドでまた激しく抱かれ、
またイッた。彼の愛撫は荒っぽくて不器用だけど暖かかった。私は抱かれて
いてとてもうれしかった。休憩しては何時間も抱かれ、体中に水をかけられ
しゃぶられたりして、何回もイッてしまい、私は陶酔させられてしまった。

そして、ベッドに寝そべった彼の胸に頬をあずけ、彼の腕の中で眠った。

私は、無口な彼の素性も仕事もよくは知らなかった。でも、別によく知らなく
てもいいと思った。今のこの瞬間があれば、たとえそれが永遠に続かなくて
も、私は幸せと思った。信頼できると思う男の人の胸にやさしく抱かれて眠る
のは、ずいぶんひさしぶりのことだった。私は、たまにこんな瞬間があれば、
東京で一人っきりでも、これからもなんとかやっていけそうだと思った。私に
とってはひどく冷淡で残酷になってしまったこの世界で、今までにあったい
ろんなことを思い返すと、たとえこれだけでも、私には十分幸せだった。私は
こんなだし、それに優子たちのこともあるし、もしかしたらそのうち彼に迷惑
がかかってしまうかも知れない、それを避けるために、たとえこれっきりで終
わってしまっても、私にそう勇気を与えてくれたことで、彼には感謝しよう、
そう思った。

十日ほど後、閉店直前のヘルスに、ふいに優子がやってきて、食事に行こうと
車に乗せられた。

「ユキ、ちょっと下を脱いでくれる」
走り出してから優子がいった。私は最初、以前のことにひっかけた冗談かと
思って笑った。でも、そうではなかった。
「はやくしなさい」
私の笑い顔は硬直した。慌てて黙っていわれた通りにした。内心怖くなった。
彼のことがバレてお仕置きされるのかと思った。急いでストッキングとパン
ティーを脱いでバッグにしまった。

仕舞い終わると優子がいった。
「ちょっとお尻を出して、いいものを入れてあげるから」
「はい・・・」
ユキは言われるまま体を横に向けて両手でスカートをまくり上げておなかの
ところで丸めて持ち、お尻を優子に向けて出した。優子はポケットからゴム製
の手袋を出し手にはめ、前の座席の背もたれから透明なビニール袋をつかむ
と、中からローションにまみれた小さな変わった形のバイブレーターをとり出
し、目の前のユキの肛門にねじこんだ。
「あぁ!う・・・ん」
いきなりアナルに指を入れられて、思わずかみしめたユキの口からなまめ
かしい声が漏れた。
「じっとしてるのよ、傷ついちゃうと困るでしょ」
優子はアナルの奥までバイブを押し込むと、指で尻のなかをまさぐって確認
する。
「ん・・・ん」
ユキはじっと耐えていた。パチンッとかすかに音がして、アナルに栓をされ
た。栓は肛門を外と中から挟み、された当人では外せなくなっていた。栓の先
はアナルの中でバイブの底の部分とつながっていて、中でバイブが動かない
ようになっていた。

終わると、優子は指を抜いてゴム手袋を脱ぎ捨て丸めてゴミ袋に放り込んだ。
「これでいいわ、ユキ、もうパンティ履いてもいいわよ」
前の座席の背もたれのポケットから小さなリモコンのようなものを手にとった
優子がいった。

それから、レストランに着くまでもレストランに着いてからの食事中も、ユキ
のアナルに奥深くまで埋められた最新型のアナルバイブが、複数の突起部分を
絶妙に振動させて、ユキの敏感な前立腺の性感帯を刺激しつづけていた。

「じーっとしなさい、ユキ、人が見てるわよ」
優子はそう言いつついじわるく手に隠し持ったバイブのスイッチを操って
いた。
「優子さん・・・お願い、止めて・・・」
「ダメよ、ちゃんと感じてなさい」
「ぁ・・・ぁ・・・ぃゃ・・・」
私は人の目線が気になって顔から火が出るほど恥ずかしかった。

発端は、シブヤの街で私を見かけた優子が、緒方と組んで最初から私をシー
メールにするつもりで、尾行して私の行動を調べ上げ、計画的に誘拐して手術
し、それから騙して私に女性ホルモンを注射しつづけたのです。手術をした
病院の医者は、緒方に借金をして弱みを握られていて、格安の費用で私の各部
の整形手術を請け負ったという話でした。緒方や優子たちは、都内で風俗店
や、Hな本やアダルトビデオの出版やアダルトグッズの販売なんかを手広く手
がけるやり手のヤクザで、裏ではコールガールの売春の斡旋もやっていた。
この話は、ヘルスに勤めて一ヶ月が過ぎたころ、ヘルスで働いている優子の
知り合いの男から聞かされて、私は初めて知った。不景気でマンネリを打破
するために、私に目を付けたのだそうです。そして私は女になった直後、強姦
され恥ずかしい姿をビデオに撮られた。壊れかけた私は前の彼氏に救われたの
でした。

「ユキのビデオね、いまだによく売れるのよ、おかげでユキの変身にかかった
手術代や他の費用もすべて回収できたわ」
「・・・いつ・・・私の体を元に・・もどしてくれるんですか?」

「何言ってるのよ、それよりビデオを見た他の顧客からオファーがあったわ、
またお相手してもらえるわね?ボーナスはずむからさ」
「・・・ふぅ・・・」

「なによお? ユキ、いまさら男に戻ってどうするのよ?」
優子は手に隠し持ったバイブのスイッチを操って刺激をより強くした。
「ああ!イヤ!強くしないで・・・」

「しっかり感じてるじゃない、もっと正直になりなさい」
「ぁ・・・ぁぁ・・・やだ・・ィッちゃいそう・・・」
「もう男にもどっても、あなたはホモよ、ホモじゃ到底生きていけないわよ」

「ああ、もうダメ・・・もう許して・・・止めて・・・お願い・・・ィキ・・
・・そう・・・」
「ユキは、もう、こういう刺激が無いと生きていけないでしょう?」
優子はいじわるな顔をしてさらに刺激を強くした。
「ああ!ひど・・いッ!・・・ィクッ・・・ィッちゃうぅ・・やめ・・て・・
・・ぇ・・・」

「そのままでいるのは、あなたのためでもあるの、つまり、お互いの利益が
一致してるってわけ、そうじゃない?」
「ハァハァ・・・あぁ!また!・・ぁぁぃやぁ・・・ぁぁぁ」

「ご覧なさい、あなたはもうとっくに変態よ、こんな人前で。 
どうユキ?今のままでいたいでしょ?」
「ハァハァ・・・もお・・・」

「どうなの!ユキ!」
「ハァ・・・はい・・このままでいさせてください・・・ハァ・・
・・シーメールでいさせて・・・」
バイブを使われて同意させられたけど、内心優子の言う通りだと思った。男に
戻されたらホモになるしかない。きっともっと悲惨な目に遭う。もう引き返せ
ない。

性格的に典型的なサドらしい優子は、食事が終わってもあきるまでいじわるを
つづけた。私はアナルに埋め込まれた前立腺バイブにさんざん悩まされた。人
に気づかれないようにと必死に声をおさえ、羞恥心をえぐる優子の言葉責めに
耐え、アナルに無理やり流しこまれる快感にひたすら抵抗して、し切れずに
何回もイカされた。ついには座ったままフラフラになってしまった。私の性器
はいつのまか勃起しなくなった。また不能にされてしまった。

「立てる?」
「ハァ・・ハァ・・・なんとか・・・」
私のスカートのお尻の部分は体液ですっかり濡れていた。恥ずかしくて、見え
ないようにハンドバッグで隠して歩いた。

帰りの車の中で、優子はやっとバイブを抜いてくれた。引き抜かれた後、ウ
エットテッシュをもらって汚れたお尻を拭いていて、ふと私は、レストランで
ホモと言われて、今まで、自分が妄想の世界をつくりあげて、その中で女に
なった気になって一人でハシャイでいたことに気がついた。私は本物の女じゃ
ない。整形や注射で、見た目は女みたいだけど、現実には男に喜んで排泄器官
を貸す汚いホモでしかない。突然あまりにも空虚な現実感を感じて、傷つい
ていた。

「明日もイイ女になってお仕事がんばるのよ」
アパートまで送ってくれて、優子はそう言って去った。

私は部屋に入ったとたん、ベッドに飛び込み、枕に顔を押し当てて泣いた。涙
が枯れるまで声を殺して泣いた。いじわるされたのが悔しかった。もう元に
戻れなくされたのが悔しかった。一人で喜んでただけの自分が悔しかった。

時間が経って、泣きつかれて、乾いた涙でかゆくなった顔をこすり、イジケ
ながらお風呂を沸かした。

「あーあ、親にどう説明しよう・・・」
お風呂に入った後、ベッドに寝転がって、私はそんなことを考えていた。
「ああ・・・もう、地元には帰りたくないなあ・・・」
「ハアッーー」
考えるのが嫌になり、ため息をついてベッドの上でうつぶせになってバタバタ
した。

ピピピ、ピピピ…
携帯が鳴った。

また優子かと思って、面倒くさそうに拾った。
着信を見たら・・・「魔法つかい」だった。
「ユキ、元気?」
枯れたはずの涙が、また一筋流れた。

近くまで彼がバイクで来てくれた。私は目をこすって慌てて涙を拭い、鏡の前
にダッシュして髪と化粧を直して、飛び出すように部屋を出た。鍵をかけ忘
れた。

近所の公園に彼がいた。立っていた彼に走っていって飛びついた。両足を彼の
腰に巻きつけ、両腕を背中に回して体を強く抱きしめた。彼はしばし茫然とし
てしまった。

「来てくれて嬉しい・・・」
また涙が出てきた。

小さな公園のベンチに座って二人で缶コーヒーを飲みながら、私は思い切って
彼に聞いてみた。
「ねえ、私のこと、ホントはただホモだと思ってる?」
「こんな私が言うのもなんだけど、女じゃなくて・・・ホモの・・変な男だと
・・・思ってる?」
「・・・・・・」

彼はしばらく黙って考えてから、言ってくれた。
「ユキが精一杯努力して、本物の女を超えるくらい女らしくなれば、ユキは
女だよ、たとえ体は男でもね」

「私ったら、こんなこと言って・・・・もう私のこと、嫌いになったよね?」
私は、彼を現実に引き戻すようなことを言ってしまったと思った。ふいに、私
のせいで彼をホモにしてしまった気がしてきて、急に自分が嫌になった。背中
を向けてイジケた。なんだか自分が心底嫌になってきて、これで彼との仲も終
わったと思って、ひっそりとイジケて泣いた。

彼の腕が私の肩をつかんで、振りかえらされた。振り返った私の口に、彼の唇
が触れた。やさしくキスされた。泣いている私に彼がいった。
「ユキ、君は・・・性同一性障害なんだよ」
「せい・どういつ・せい・しょーがい?」
「そう、生まれつきの障害の一種で、ユキは、体は男に生まれたけど、心は
女で生まれたんだ」

キョトンとしている私に彼が珍しく早口で説明してくれた。
「性同一性障害ってのはね、脳の性が肉体の性と一致しないことで起こる生物
学的な障害なんだ。、生物学的、つまり、肉体的には男や女でありながら、脳
の中にある心の、性の自己認識としては、自分ではさかさまに女や男であると
感じる、つまり正反対の性別だと感じること、もっとわかりやすく言うと、正
反対の女や男でいる方がしっくりきたり、女や男として振舞うことが自分に
ふさわしいと感じることなんだ。そして自分に違和感を感じて悩む。今のユキ
のようにね」

茫然とする私に彼は話しつづけた。
「その症状は、反対の性に対して強く惹かれる、つまりユキみたいに女より
男が好きになる、そして自分の身体の性を強く嫌う、つまり自分の性器が
すごく嫌になる、そして日常生活で、反対の性別の役割をとろうとする、
つまり、ユキみたいにいつも女らしくしている、この三つだ。製薬会社の研究
所で働いているせいか、なんかユキを見ていて気になって調べてみた。ユキは
心は女で体が男。生まれつきそういう体質なんだよ。そうだと分かったから、
別に気にしないから」

話し終わって、彼が優しい笑顔で見つめてくれた。でも、たぶん彼の予想に
反して、私は彼から顔をそむけた。急に彼に悪い気がしてきたからだ。

(ち、ちがう・・・私はヤクザたちに無理やり性器を切り取られて、調教さ
れて女にされた。私はアブノーマルなセックスが目当てで金を払う人たちの
相手をするために、調教されて変態にされた性のオモチャなだけ・・・)

「どうしたんだ?ユキ?」
彼の声がした。
私は彼にずっとものすごく悪いことをしていたような気がした。
(彼は、とてもいい人だけど、こんな愚かな私とは、やっぱり住む世界が
違う、客に犯され、アナルにペニスを突っ込まれて感じて本気でヨガリ狂って
しまう、変態で愚かなこんな私とは違いすぎる・・・)

「・・・ごめん・・・なさい」
私は言ってしまった。
「貴方は・・・わかってない・・・私なんかとつきあっても・・
・・貴方のために・・・・ならない・・・」

その後すぐ、私は、彼と別れた。また寂しくなると思ったけど、彼の将来の
ためを考えると、私がそうしたかったからだ。私は、彼が傷つかないよう、
彼にとって私はタメにならないと言いつづけた。優子たちのことは彼には言わ
なかった。彼は頭が良くて暖かい人だったけど、ガリ勉で少し世間知らず
な人。別れる時、彼に強く抱きついて、精一杯心をこめて感謝のキスをした。
女になって二人目の彼とは、初めて会って片思いになってから三ヶ月、つき
あいはじめてからはたったニ週間の恋だった。私は、彼が傷ついたかも知れ
ないと、少し心が痛んだ。でも、私なんか、すぐに忘れるさ、と思った。

彼は別れた後も、たまにヘルスに来てくれた。だいぶたって、出世して部下の
女性と結婚して、それ以来、来なくなった。