◆ 今週の分子 ◆
連載103(2005/12/07〜):
紅花の色素カルタミン
★Jmol版に変更しました! (分子表示はInternet Explorerで)

「山寺が支えた紅花文化」日本遺産(山形市)
日本遺産「山寺と紅花」山寺が支えた紅花文化 | 日本遺産ポータルサイト

 昨日届いた「化学と工業」2005年12号の特集は,『地方名産品の化学』で,ベニバナ(山形),わさび(静岡ほか),焼酎と焼酎粕(九州),フグの子糠漬け(石川),ホタルイカ(富山)が取り上げられている。
 このうち,ベニバナ(紅花)の色素であるカルタミン(カーサミン)の構造解明には多くの研究者が取り組んだことで有名で,同誌解説,

にあるように著名な女性化学者の黒田チカ(お茶の水女子大学デジタルアーカイブズ参照)もその一人である。最終的には上記記事の執筆者らが1979年に平面構造,1996年に絶対構造を明らかにした。以下の分子モデルのようにC-配糖体構造を持ち,非常に特異的である。

 ところで,本サイトの分子モデル組み立て方法は時代とともに変化してきたが,近年アカデミック版で入手しやすい価格になった,

を先日入手して,当初の文献(紙版)探し+手作業での組み立てに比べて格段に作業が楽になった。ただし,新規化合物などこれに載っていないものも多い上に,今回のカルタミンは構造が略記で一部に間違いがあり(Webで捜してもその間違った構造が引用されている場合がある),確認などに苦労する場合も少なくない。計算や分子モデル表記という面を含めれば,以下にアイコンの画像を示すMerck Index,ChemCD,Alchemyという複数のツールでどうにか組み立てられる場合もしばしばである。


左から Merck Index,ChemCD,Alchemy 2000 の各アイコン
※後者2ソフトについては市販分子科学計算ソフトウェアによる作成分子モデル例参照
(市販ソフトでなくフリーウェアを用いる場合は計算化学演習のリンク集を参照)

 以上,本サイトの分子モデル作成の苦労話を含めて。その時々の環境の中で,分子組み立てに取り組んでくれた多くの卒業生たちの労苦に改めて感謝するばかりである(ブログ記事も参照)。


カルタミン(カーサミン,carthamin)

空間充填 球棒 球60% スティック 針金
モル・タロウ色(CHN結合以外はJmol色)
 
背景・黒 灰 白 


「生活環境化学の部屋」ホームページJmol版「分子の学習帳」