2000/04/13の朝日新聞に『バイオ「夢の糸」・東レ、帝人参加へ/トウモロコシ原料に米デュポン社開発』の記事。
トリメチレングリコール(3G,trimethylene glycol;1,3-propanediol, HO-CH2-CH2-CH2-OH)とテレフタル酸から得られる高分子の3GT(PTT,polytrimethylene terephthalate〔ポリトリメチレンテレフタレート〕)からつくった繊維によりポリエステルやナイロンよりしなやかで伸縮性が優れた糸ができることから注目されていましたが,原料の3Gを石油から合成すると高くついていたのを,デュポン社がトウモロコシから3Gを安価に産出できる微生物を誕生させ,製品化を可能にしたものです。
同一の製品を,石油化学で合成した場合と,バイオ技術で合成した場合のどちらが有利になるかという観点でも注目されています。
なお,従来のポリエステルの主役はポリエチレンテレフタレート(PET,polyethylene terephthalate)で,これはエチレングリコール(2G,ethylene glycol;1,2-ethandiol, HO-CH2-CH2-OH)とテレフタル酸から合成されます。
この例のように,-CH2- 1個の有無で合成の難易やでき上がる高分子物質の性能に大きな違いが生じるところが分子の不思議さです。
PTT(3GT) | PET(2GT) | |
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分子モデル | ||
原 料 | テレフタル酸+トリメチレングリコール | テレフタル酸+エチレングリコール |