◆ 科学捜査/ルミノール ◆

 以下の書籍の第10章『推理小説中の司法科学』に,パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズ(講談社文庫)では最新の司法科学的手法が取り入れられているとの紹介が出ています。

  ◎山崎昶 訳,「科学捜査 −続・化学と犯罪−」,丸善(2000)

 p.235には,“何年も以前に起きた犯罪現場における古い血痕の検出には,ルミノール(3-アミノフタルヒドラジド)によるけい光が利用されている”との記述があります。有名なルミノール反応(ルミノール発光試験)です。
 アルカリ性水溶液で酸素,オゾン,過酸化水素,次亜塩素酸塩などで酸化すると青色の化学発光を示しますが,過酸化水素とへミン(または血液,ヘモグロビン)を加えた場合には特に強く発光します。この反応においては,新鮮な血液よりも日時が経過してヘミンを形成している血液の方が発するけい光が強いのです。
 ルミノールの化学発光の最終生成物は窒素と3-アミノフタル酸で,化学発光は3‐アミノフタル酸イオンに関係すると考えられています。


luminol
〔5-amino-2,3-dihydro-1,4-phthalazinedione〕

3-aminophthalic acid
 


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