無関係では無い人達

ITNと共に仕事をしたアーティスト、ITNが仕事に関わったアーティスト、はたまたITNが影響を受けたアーティスト・・・、というように、ここではITNと何かしらゆかりのあるアーティストを紹介しようと思っています。全然勉強不足なもので知っていることが少ないため、今後も更新されていくかもしれません。

Chandeen Assemblage23 Sabres Of Paradise Death in june Joy Division Philip glass アルジェの戦い

Chandeen / Bike And Pyramide
1. My world depends on you
2. Pink
3. Days in time
4. A silent love (part I)
5. You love him
6. Walking
7. Heute nacht
8. One way love
9. Apples and Oranges
10. Smooth man's melody
11. Lucky life
12. The Spacerider legend
13. Lumis (single version)
14. Young Days
15. Silver Days
16. Imagination


©Kalinkaland records
2002 Release

ITNのリミックスアルバムである「Cause+Effect」には、様々なアーティストが参加していますが、実は逆にこの参加アーティストの曲をITNがリミックスしていたりして、言ってみればCause+Effectでそのお礼を、といった感じで参加している人達も結構いるみたいなんですね。どこまで親密な関係なのかは分かりませんが、ちょっと気になったので参加アーティストについてちょっと調べてみました。そこで出てきたのが、このドイツのバンド「Chandeen」です。

Cause+EffectではBelle Epoqueの見事なリミックスを聴かせてくれたこのバンド、女性ボーカルとシンセを中心としたポップグループ、といった位置づけなのでしょうが、ヒーリングの要素があったり、アコーステックな雰囲気もあったりと、どうもこれといって決まり切ったイメージが見えてこないちょっと不思議な雰囲気を持ったバンドですが、まあ全体的にヒーリングミュージック的要素の強いバンドなのかなあ、と思いますが。
2002年のこのアルバムでは、4曲目の「A Silent love (Part I)」でITNがバックトラックを担当しており、この曲だけいかにもITN、って感じになっています。普段のITNというより無声映画でのアンビエント風ですね。曲自体も詩の朗読という内容ですから、そのまんまって感じですね。ただ、曲のクオリティとしては平凡かもしれません。
私個人の感想としてはこのChandeen、まあ普通かな、という感も否めずピンと来る物が無かったんですが、まあ聴きやすい曲が大半なので良い感じではあると思います。既に2003、04年にもアルバムも発表しており、どうもますますヒーリングミュージックっぽくなっているようです。うむ、こっちの方がひょっとしたら出来は良いのかな? 機会があれば買ってみませう。

このChandeenが所属しているKalinkaland recordsは、こういった聴きやすいいい感じのアーティストが他にもいるみたいなんで結構注目です。まあ全然販売ルートが確立されてなくてAmazon.deくらいしか無いみたいですけど・・・。ドイツ語はわからんですって。せめてUKなら買えるんですが。今後期待大。


Assemblage23 / Disappoint
1. Disappoint
2. Disappoint (Funker Vogt Mix)
3. Disappoint (Mood Mix)
4. Disappoint (Ward of Fear Mix)
5. Disappoint (ITN Affinity Mix)
6. Disappoint (Ment Mix)
7. Disappoint (Down & Gone Out Mix)



©Accession Records
2001 Release

これまたCause+Effect繋がりのアーティスト、Assemblage23ことTom Shearによるソロユニットです。 要するにトランス系のテクノユニットなんですが、唄い方や雰囲気にちょっとゴシックやインダストリアルな雰囲気もかもし出しているので、ダークトランスとかいう言葉が合うんでしょうかね? ただ全体的にそんなに聴き難い感じではない印象を持ちました。トランスというものが持つメロディが曲の雰囲気をいい感じに仕上げているからなのかもしれません。

2001年のアルバム「Failure」からシングルカットされた曲、「Disappoint」のマキシにてITNがリミックスを披露しています。他のアーティストがトランス系のリミックスをしているのに対し、ITNは相変わらずITN節に染めています。しかしあまり着色し過ぎず、原曲のノリを残しつつITN色に染めているので、非常にバランスの良いリミックスになっていると思います。この原曲自体も良い曲ですし、意外と必聴トラックかもしれません。かわりに、Assemblage23が担当したCause+Effectでの「Hymn Noir」 は、ウーンって感じでしたが(爆)。

当然他にもCause+Effect繋がりのアーティストはいますが、リミックスがあまり興味深いものでは無かったり、確認出来なかったりというのが多いです。いいのが見つかったらまたここで紹介しようと思っています。



Sabres Of Paradise / Haunted Dancehall
1. Bubble And Slide
2. Bubble And Slide II
3. Duke Of Earlsfield
4. Flight Path Estate
5. Planet D
6. Wilmot
7. Tow Truck
8. Theme
9. Theme 4
10. Return To Planet D
11. Ballad Of Nicky McGuire
12. Jacob Street (7am)
13. Chapel Street Market (9am)
14. Haunted Dancehall



©Warp
1984 Release

日本でもそれなりにクラブミュージック界においては著名な人物であるアンディ・ウェザオールが結成したテクノユニットがSabres Of Paradiseですが、このウェザオールという人物、プライマル・スクリームのアルバムをプロデュースした事等で有名なようですが、私自身はプライマルスクリームとかには全く興味無いのでそれは置いといて、まあどちらかというと裏方的な仕事が多いみたいですが、DJとしてもなかなかのキャリアを持っているようですね。

さて、このSabres Of Paradiseの「Haunted Dancehall」というアルバムは架空のハードボイルド小説のサントラ、というイメージで作られており、クラブ、ダンスミュージックというより、エレクトロニカ、トリップホップという趣が強く、全体的に暗めのトーンの曲が多いです。元々ゴシックっぽい感じのサウンドが得意だったようなので、またもやITNとはゴシック繋がりですか(笑)。
てな訳で、このウェザオール氏、ITNのコンピ「Scatter」にコメントを寄せているほどITNとはゆかりがあるようなのですが、その実、このアルバムのタイトル曲でもある「Haunted Dancehall」をITNがリミックスしているのです。
「Versus」というマキシシングルにてこのITNのバージョンを聴けるのですが、これはコンピ「Scatter」にも収録されているので、ITNファンなら馴染みのある曲だと思います。オリジナルはスピーディなトーンの暗い曲なのですが、ITN版ではオーケストレーションが加味され、実に壮大な雰囲気の曲になっていて、当然ながら私はITN版の方が好みです。


しかしなんでDJ界の大御所がITNにリミックスを依頼したのか、さすがに経緯までは分かりませんが、やっぱりゴシック繋がり? なんか呪縛のまじないのようにゴシック、ゴシックって出てきますな。まあゴシックって呪縛的ですけど(笑)。


Death In June / NADA !
1. The Honour Of Silence
2. The Calling (Mk II)
3. Leper Lord
4. Rain Of Despair
5. Foretold
6. Behind The Rose (Fields Of Rape)
7. She Said Destroy
8. Carousel
9. Cest Un Reve
10. Crush My Love
11. The Torture Garden
12. The Calling
13. Doubt To Nothing
14. Carousel (Bolt Mix)
15. Last Farewell
16. Born Again


©NER
1985 Release

ダグラス・ピアース率いるオルタナバンド、Death in june。「長いナイフの夜」という、実際にあった粛正事件からその名を取ったそうですが、その不吉な名からも分かるように、テーマは生と死、虚無などを扱ったものですが、ネガティヴな発想とは違い、生があるから死もあるといった、全てを受け入れた結果そうなったというようなまるで修行僧のごとき傾向があるようです。
とはいってもやっぱり全体的に不吉ムード満点な感じでどーだかねー、というのが正直な所ですが、曲自体はそんなに歪んではおらず、オルタナ・フォークソングといった趣きが感じられ、意外と聴きやすかったり。まあトーンは暗いですけど。

今現在では中心人物であるダグラスのソロユニットと化してしまったようですが、紹介している「NADA!」というアルバムはまだ3人で活動している頃の作品です。インダストリアルなテクノサウンド等も披露していますが、全体的にアコーステッィクな雰囲気漂うフォーキーなアルバムになっていて、テーマや雰囲気は暗いですが、思ったより結構聴きやすい内容かもしれません。
DIJはその時期によってある程度サウンドの傾向に違いがあるようなのですが、基本的な部分はあまり変わっていないようですね。DIJのアルバムは現在でも非常に入手困難なので、なかなか手に入れる事が出来ないのではっきりしたことは私には言えないのですけど。


ITNとの関りですが、まだデビューしてまもない頃に、ITNのライヴをダグラスが見た事がきっかけで、彼がマネージメントしていたレーベルからめでたくシングルリリースまでこぎつけた、という経緯があるんです。つまり初期ITNの良き理解者だった訳ですね。(ちなみに「Sonority」だった模様)
ただ、その後DIJとITNの間に何かしら交流があったのかどうかについては分かりません。その後ITNは大幅に方向性を変えていくのに対して、DIJは相変わらずダーク路線を突っ走り続けているため、接点らしい接点が無くなってしまった感はあります。


ちなみにダグラス氏は熱狂的な三島由紀夫ファンとして知られ、曲の中にも楯の会のテーマソングとかを使ったりしているほど(爆)入れ込んでいるようなのですが、ITNの曲の中にも三島にインスパイアされた曲がある事を考えると、こういった曲を作るキッカケをもたらした張本人がひょっとしたらダグラス氏なのかもしれません。
いや、逆にITNとの交流によってダグラスが三島の魅力に引きつけられ、現在に至っているのかもしれず何とも言えませんが。それとも三島繋がりで引き寄せられていたのかも? 
ま、全部憶測なんでどうでもいいことですけどね。



Joy Division / Unknown Pleasures
1. Disorder
2. Day Of The Lords
3. Candidate
4. Insight
5. New Dawn Fades
6. She's Lost Control
7. Shadowplay
8. Wilderness
9. Interzone
10. I Remember Nothing


©Qwest
1979 Release

イギリスのオルタナシーンにて、決して外すことの出来ない最重要バンドの一つがこのJoy Divisionです。熱狂的に向かい入れられていたパンク・ムーヴメントが70年代末期には既に陰りが見えはじめていて、そんな中で突如現れたのがこのバンドだったんですが、非常に冷静沈着にパンクする彼らのゴシック・サウンドは衝撃を持って迎えられ、ボーカリストでリーダーでもあるイアン・カーティスの持つ独特のカリスマ性もあいまって、またたく間に時代の頂点に登りつめてしまいました。

彼らのサウンドは荒削りでシンプルな物ですが、独特な世界観、絶望を唄った歌詞、それと特にギターの音色などが特徴的で、非常にダークな雰囲気を形作っています。
私はロックやパンクミュージックの何たるかは全く分からない人間なので、一体このサウンドの何処に傑作たる物が内秘められているのだろう?と常に首をかしげてしまうのですが、少なくとも独特で非常に個性的だということは痛い程分かり、
当時を知らない私にはもはや想像するしかないですが、恐らく本国では相当に騒がれたんだと思います。だいたい、セカンドアルバム発表直前に、リーダーのイアンが首つり自殺をはかって亡くなってしまうのですから、当時の若者達にとってはもはやトラウマ的な経験となっているかもしれません。
ですから影響を受けた人は山程いるはずで、当然ITNもそうだった訳です。ITNの初期の作品を聴けばそれが良く分かります。ギターの音色やその雰囲気はまさにJoy Divisionそのものです。音楽性が変わった後も、「Cause+Effect」でJoy Divisionのヒット曲をカヴァーしたりしていますし、特別な存在なのだろうな、というのは想像するに難くないです。

イアンが亡くなってしまったので、2枚のアルバムを残しただけで事実上バンドは解散してしまいますが、残ったメンバーは新たにニューオーダーを結成して現在に至り、方向性は非常にエレクトロニックになったもののJoy Divisionに匹敵するほどの影響力のあるバンドにまで成長しました。
ニューオーダーの現在の方向性を憂う往年のファンもいるようですが、もしイアンが生きていていまだにバンドが健在であったとしても、結局はこういう方向性へ向かったのではないかという見方をする者もいます。まあそれがどれだけ説得力のある意見なのかは分かりませんが、私個人としては、もし彼が健在だったとするなら、もう過去のように絶望を唄うような事をいい加減止めて、心の平穏を勝ち取っていればいいんだけどな、と思ったりしてるんですが。

Philip glass / Mishima
1. Mishima/Opening
2. November 25: Morning
3. 1934: Grandmother & Kimitake
4. Temple of the Golden Pavilionn
5. Osamu's Theme: Kyoko's House
6. 1937: Saint Sebastian
7. Kyoko's House (Stage Blood Is Not Enough)
8. November 25: Ichigaya
9. 1957: Award Montage
10. Runaway Horses (Poetry Written With a Splash of Blood)
11. 1962: Body Building
12. November 25: The Last Day
13. F-104: Epilogue from "Sun and Steel"
14. Mishima/Closing


©Nonesuch
1985 Release

前々からITNはこういったミニマルミュージックとの関りがあるのではないかと思っていたんですが、まあ別にそんなに深い関りがある訳でもなし、仮にあったとしてもそういったアプローチに関してはほんの「味つけ」程度しか使ってない感があるので取り立てて紹介する事はないんじゃないのかなあ、と思って敢えて書いてなかったんですが、やっぱりほったらかしには出来ないと思って紹介しちゃいます。

どれだけの人が気付いているか分かりませんが、ITNのシングル「Trinity」での三島由紀夫作品に捧げた「Blind me」という曲の中にミニマルミュージックの巨匠、フィリップグラスに対するオマージュ、もしくはパロディ? が含まれています。曲の中間部分であからさまにミニマルサウンドが挿入されるのです。なんでこんなことをやったのかと言うと、それはグラス自身が三島由紀夫という人物と無関係では無いからだと思われます。何故ならグラスは三島由紀夫の生涯を描いた映画「Mishima」のためにスコアを提供しており、これがまた非常に美しいミニマルミュージックに仕上がっているからです。

フィリップ・グラスは、スティーヴ・ライヒやテリー・ライリーに並ぶミニマル・ミュージックの第一人者であり、今や音楽家としては重鎮クラスの人物です。このミニマルミュージックというのを説明しようとするのは結構厄介なのですが、過去には「反復音楽」とも呼ばれた事からも分かるように、同じ旋律を微妙に変化させながら何度も繰り返し演奏するスタイル、というのがざっくばらんな答えでしょうか。

ところでこの映画自体は遺族の反対にあって国外のみの公開という不遇な結果に終わっていまいましたが、グラスによるミニマル要素をふんだんに取り入れたこのサントラは、恐いジャケットとは裏腹に(笑)実に美しくもはかないサウンドを展開しており、個人的にもお気に入りの一枚です。実はこのサントラの曲は他の映画でも使用されていて、ジムキャリー主演「トゥルーマンショー」で、映画のラスト、主人公が自分の運命を決めるクライマックスのシーンで使われたりしていますので調べてみてください。

まあこうしたグラスのアプローチを使ったとは言え、これだけに終わっているなら単なるパロディに過ぎないんですが、ITNは要所要所でこうした「ミニマリズム」を継承するかのようなアプローチを見せ、反復やパルスといったミニマル要素を効果的に挿入したりしているのです。とは言えこうしたミニマルといったアプローチは、今となっては別段特別な要素とも言えず、節々でそういったサウンドがあったところで別に継承しているとまでは言えないのかもしれませんが、無声映画サントラでのサウンドアプローチや、「Stormhorse」での「Counterpart」、「Sense」での「Angelchrome」、「Duality」での「Meccano」、さらには「Groundloop」での「Imparator」などを聴くにつけ、やっぱり結構影響受けているというか、確実にサウンドアプローチとしてはミニマルをメインに持ってきているな、という事が伺えます。
ミニマルミュージックに関しては、グラス以外にもスティーヴ・ライヒなどの巨匠がいますが、これも言ってみれば無関係では無いといえるかもしれません。まあライヒともなるとテクノ・サンプリングミュージシャンは全て影響下にあるといっても過言では無いくらいの元祖中の元祖という感もあるので、グラスと比較した方が分かりやすい図式ではありますね。

ITNファンがそのままミニマルミュージックのファンと一緒くたに出来るかと言えばそれはかなり強引な意見だとは思いますが、何かしら気に入る部分はあるのかもしれません。てなわけでミニマルミュージックに興味が湧いてきた方は取り敢えずフィリップ・グラスならばこれでもかとミニマルサウンドの魅力が凝縮された、個人的にも思い入れの強い映画「KOYAANISQATSI」のサントラ辺りを押さえるのが妥当かと。はたまたスティーヴ・ライヒならば本人が自ら選曲したお手ごろなベスト盤「ライヒ・ベスト」辺りが入門としてお薦めです。

Philip glass
KOYAANISQATSI
©Nonesuch
Steve reich
Exclusive selection

©Nonesuch

アルジェの戦い / La battaglia di algeri

監督 ジッロ・ポンテコルヴォ
第2班監督 ジュリアーノ・モンタルド
脚本 フランコ・ソリナス/ジッロ・ポンテコルヴォ
音楽 エンニオ・モリコーネ/ジッロ・ポンテコルヴォ

キャスト ブラヒム・ハッジャグ/ジャン・マルタン/ヤセフ・サーディ他

1966年 イタリア・アルジェリア共同作品


©IVC
1966 Release

87年、ITNが発表したシングル「Trinity」でのトラック「Elegy」は、映画「アルジェの戦い」からインスパイアされた曲だというのはITNファンなら既に周知の事実・・・かどうかはともかく、このElegyという曲は後のアルバム「Storm horse」を予告したサウンドであったがために、ITNの歴史の中でも極めて重要な位置に存在する一曲といっても過言ではありません。
また、彼らが曲を使って明確なメッセージを聴衆に向けて放ったのはこれくらいで、そういう意味でも非常に希なケースというか、普段そんな事をしない兄弟をそこまで振るい起こした映画とはいかなるものだったのか? と長年気になっていたんですが、最近DVDで発売されている事を知り、早速購入してみました。

映画「アルジェの戦い」は、アルジェリアを独立させようとする独立開放戦線のメンバー達と、植民地支配しているフランス政府との攻防を描いた作品ですが、出てくる人達のほとんどが地元の素人、実際に開放戦線のメンバーだった人達も数多く出演しているというかなり生々しいやり方で撮られた半ドキュメント風の映画です。
独立開放なんていうと聞こえはいいですが、やってることはテロリズムであり、次々に街のフランス人警官を暗殺していきます。結果、心ないフランスの役人の手によって、アラブ系の住居区が爆弾で爆破された事がきっかけで目には目を、歯には歯をの血みどろの戦いへ発展、至る所で爆弾テロが起き、無差別殺人と化していきます。フランス政府はこれに対して軍を投入、法律を口実に次々一般市民を拘束しては拷問してテロリスト達を追い詰めていきます。
結局軍によってグループは壊滅、独立の夢は立ち消えたかと思われたのですが、その後市民の膨大なデモ運動が起き、結局フランス政府はアルジェリアの独立を認め撤退する事になるのでした。

さて、ここまで読んでもうお分かりかと思いますが、ここでの内容は現在のイラクやチェチェンで起きている問題と全く変わらないのです。911の事件だけ見ると、テロリズムを行っている者たちが悪魔のように思えるでしょうが、これも殺った、殺られたの繰り返しのあげく起きた事であって、もはや誰が正義で悪かなんて尺度では計れない事態になっているのです。 
丁度このレビューをまとめようとしているときにチェチェンで人質テロが起き、あまりにもタイムリー過ぎるよ、と思うと同時にこの問題は確実に現在進行形で行われつづけているという事を実感しました。

ハンバーストーン兄弟はこの映画を見てさぞかし頭を抱えてしまったことでしょう。曲を作りたくなる気持ちも分かろうというものです。あんな恐ろしいテロを起こした彼らは許されるべきではない、だがそもそも彼らをそこまで突き動かした責任は自分たちにあるのに、結局暴力を暴力で返して悪循環に陥ってしまう。所詮暴力は暴力しか生まず、怒りは怒りしか生まず、悲しみは悲しみしか生まない。そんな事は子供でも分かるのに、いざとなったらそれを止めれない未熟さ。
結果、ITNはこの映画に対して「Elegy」という曲で解答し、暴力・怒り・戦いの全てに対して抗議してみせたのです。


ちなみにこの映画、アルジェリア側の視点で多くが語られる内容になっているのですが、プロパガンダ映画になっていないのが立派です。双方を平等に描くよう心がけている節が充分見て取れますし、解放運動のメンバーを決して英雄扱いして捉えてはおらず、彼らが一般市民に向かって無差別に銃を発砲するようなシーンもきちんとフォローして、どっちもどっちというスタンスを崩していません。それでも当時のフランス人には結構鼻につく内容だったようで、この映画が賞を受賞するや、会場のフランス代表団が退席してしまうという事もあったそうです。まあアルジェリアが独立してまだ6年程度しか経ってない頃でしたから、フランスにとってはあまり思い出したくない出来事だったのでしょう。
ただ、最近のハリウッド映画とかは是非とも見習ってほしい物です。たかが映画でもいかに洗脳される危険性があるかはお分かりですね。


他のオルタナ・ゴシック系バンドが死や怒り・混沌をテーマに掲げていた実情に対し、ITNが初期の頃からそれを真っ向から否定する声明を発表していた事を考えると、ITNがいかにオルタナやインダストリアルの枠からはみ出ていたかが分かります。これを機に、ITNはクラシック路線へと一直線し攻撃性を弱めていきますが、やはりこの映画による影響も大きかったと考えて良さそうです。
そういえば、この映画のスコアはエンニオ・モリコーネが書いているのですが、ITNが影響を受けたアーティストの中にモリコーネが挙げられている事も無視できません。この映画による直接的な音楽的影響はあまり無さそうですが、それでも全く無関係とも思えない、というのも事実ITNを思わせるような旋律も僅かながら感じることが出来たので、多少は参考にしているのかもしれません。
モリコーネに関しては後々関連性を調べようとも思っているのですが、何しろあまりの多作ぶりに音楽性が全然見えない人なのでちょっとそれは無理かな?