風のInvitation / 渚のUターン

[1st SINGLE] 福永恵規
(1986.5.21) ポニー・キャニオン

フジテレビ「夕やけニャンニャン」テーマソング

オリコン最高1位 / 売り上げ17.6万枚

レビュー

「特選 今月の一枚」 99年5月 ピックアップ

 計4枚のリリースにおわった福永恵規のシングルは、ぶどうの粒みたいにどれも粒ぞろいの秀作である。クールな「Ignition」、味わいの「RUNAWAY」、透明感の「イントロ」とそれぞれが個性的であるが、 とくに「Invitation」は決定的な一枚だ。その第一のポイントは、なんといっても「作られていない」"SATOMI"そのものが感じられるため ではないだろうか。だろう。

 歌詞・楽曲に関しても申し分はない。おニャン子本体において、「じゃあね」「真赤な自転車」「ウェディング・ドレス」などの名作を生み出した「康・研・準」トリオが、唯一ソロのために書き下ろした曲がこの「風のInvitation」である。ライトロック系の曲調は、冒頭から要所要所のドラムが非常に心地よく刺激的であり、よく聴くとギターもいい感じで鳴っている。詩は全体の流れがスムーズで、短いながらも工夫に満ちていると言って良いだろう。中でも「絵画館から・・・」のくだりは天才的とも言えるフレーズである。

 当初、福永のデビューが冬の予定だったために、歌い出しも「木枯らしの街、忘れものの雪・・・」となる予定だったらしいが、デビューを早めたのが大正解となった。あやういところで、「冬オペ」の二番煎じになることをまぬがれたのも大きい。ジャケが若干それっぽいのではあるが・・・。

 なお、アルバム「SPLASH」に収録のリミックスは、コロコロとしたシンセ音の追加や、一部バックコーラスのカットなどでよりマイルドなミックスになっている。個人的には、より溌剌とした感じのシングルバージョンを推す。【T.Ishida】

 

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